【写真・画像】「残高4419円→6億円になった男性」「206億円を“山分け”した村」…“宝くじ億り人”を探しまくった記者が見た当せん者の辿った道と笑顔 1枚目
【映像】残高4419円→6億になった預金通帳
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「totoBIG(サッカーくじ)で当せんした6億円を1年で半分にした男」「当せんした206億円を165人で山分けした村」…そんな宝くじで1億円以上の資産を築いた“億り人”を多く取材した記者と共に「人間と宝くじ」の知られざる関係について考えた。

【映像】残高4419円→6億になった預金通帳

 2024年10月に定年退職した朝日新聞GLOBE元編集部員 大牟田透さんはtotoBIGで6億円を当てた唱田照八さん(ペンネーム)に取材経験がある。

 唱田さんは当せんした当時、会社をクビになっていたという。そんな中、自分の運を試そうと方位の開運学を用いて1口300円を10口買ったのだ。

 当時の状況について唱田さんは「クジを持って渋谷の売り場に行ったところ、店で何かゴソゴソしており返事が返ってこない。『何をグズグズしてるんだ』と思ったら小声で『ここに行ってください』と信用金庫を指定された。見ると渡されたレシートの数が『あれ? 0の数がおかしい』と。10、100と数えていくと6億だと気づきびっくりした」と話したという。

 一気に6億円を手にした唱田さん。だが「バッグに2000万円を詰め込んで六本木に繰り出す」「友人含めて約50人と札幌旅行」など浪費をしていたところ、1年で半分になったという。

村の至るところで億万長者が誕生

オルメン村
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 大牟田さんが会った“宝くじ億り人”は日本人だけではない。日本よりもスケールの大きい海外の当せん者にも海を越えて会いに行ったのだ。

 ベルギーのブリュッセルから東に直線距離で約70キロ。人口3500人ほどのオルメン村。ここで村人ら165人が数字選択式宝くじ「ユーロミリオンズ」を共同購入したところ、約1億4290万ユーロ(当時の為替レートで約206億円)が当たり、一人当たり約1億2500万円を手にしたのだ。

 つまり村の至るところで億万長者が誕生したのだ。

 インタビューされた村人は「プールができた家が少し増えた。新しい庭や屋根ができたり新しくペンキが塗られたりベランダが増築された家もある」と話す。大当たりを機に借家を引き払い、高級住宅地や国外に家を買った人もいたという。 

 高級住宅地や国外に家、と聞くと“一気に使った”という印象を受けるが、意外なことに多くの人は生活スタイルを変えていない。

 実は、家を持つことに憧れるベルギー人は無駄なことにお金は使わないのだという。

 その後は噂を聞きつけ、村の外から宝くじを購入しに来る人が続出。中には40キロ以上遠方から自転車で訪れる人もいたという。

行動経済学から見た宝くじ

経済学者の中川功一氏
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 ほとんどの人は当たることのない宝くじ。それでもなぜ大勢の人が買うのか? 行動経済学の観点から専門家に聞いた。

「私たちは脳の中で1%と0.1%をほとんど区別ができない」

 こう話すのは経済学者の中川功一氏。

 さらに「不確実性に直面した状況における人間の意思決定行動という形で、経済学・心理学・行動科学全般の中で議論されている。例えば、『1%の確率で当たる』を『10人に1人ぐらいは当たる』などと誤解し、少ない確率を高く評価しすぎてしまう傾向がある。また、『自信過剰理論』というのがあり、根拠なく『自分は1%に入るんだ』という無根拠な自信が発生する。脳はイメージできないことは正しく評価できない。ある種の犯罪行為についても同じことが言える。懲役20年というものがどれくらいの罪になるのか、どれくらいのことなのかイメージできないので、罪の意識を感じられず、罪を犯したり意思決定上のミスを犯してしまう」と説明した。

 当たるという謎の自信で購入してしまう。依存症にもなりかねない脳の特性。人は宝くじとどう付き合えば良いのか?

 中川氏は教育の重要性を指摘する。以前より日本は金融リテラシー・統計的リテラシーが不足しているとされており、正しく確率を認識できていない傾向があるという。

 さらに、宝くじはギャンブル依存症とも関係があるという。

 久里浜医療センターの松下幸生院長は「特にキャリーオーバーで賞金が積み上がるタイプのものはギャンブル性が高い」「借金を背負った方が“一発逆転”を狙うことは危険」と警鐘を鳴らしている。

 とはいえ、日本の宝くじは「ある意味お行儀が良い」という。

 なぜなら、宝くじは賞金を大きくすると売れることが分かっているのだが、日本の賞金はけっして大きくないからだ。

 日本はMEGA BIGの1等は12億円が最高で、賞金総額は発売総額の50%以下(原則)。一等最高額は1口の250万倍、キャリーオーバーのある場合では500万倍以下と定められている。これに対して、アメリカのパワーボールでは1等20億4000万ドル(約2970億円)で1口2ドル(約291円)の10億2000万倍が出たことがある。

「宝くじと人間」とは

朝日新聞GLOBE元編集部員 大牟田透さん
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 宝くじを追いかけてきた大牟田さん。最後に取材を通して感じたことを話してくれた。

「私たちの人生は、どんな国のどんな家庭に生まれるかに始まり、どんな人と出会うかなど、様々な運に左右されている。とはいえ、格差社会が固定化されて、個人がいくら努力しても打開は難しく『もう運にすがるしかない』と世界中で高額宝くじが売れているのだとしたら、社会はいささか不健全な方向にあるのではないか」
ABEMA GLOBE
 

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