24時間365日車のトラブルに駆け付けるJAFに密着。冬に急増するトラブル、その意外なワケとは。
【画像】タイヤがはまって動かなくなった車、走行中マフラーが落下した車も 少しの気の緩みやよそ見で痛い出費
■動かない車 原因は電動のドアの開け閉め?
24時間365日、あらゆる車のトラブルに駆け付けるJAF。栃木支部の隊員が向かったのは、美しい紅葉で人気の日光市。行楽客から車が動かないとのSOSがありました。
現場はヤマメやイワナ釣りを楽しめる人気の釣りスポットです。
隊員
「止めておいたらエンジンかからなくなっちゃった?」
依頼人
「動かなくなっちゃった。エンジンかからなくなっちゃった」
埼玉県から2時間かけて釣りをしにきたという60代の男性。釣りを始めて3時間、駐車位置を変えようとしたところ、エンジンがかからなくなったといいます。
依頼人
「(Q.釣果は?)2匹」
男性の釣竿に魚はかかりましたが、車のエンジンはかからず。隊員が真っ先に目を付けたのはバッテリー。ですが…。
依頼人
「(Q.バッテリー上がりの心当たりは?)ないです。ドアの開け閉めくらいだったので」
車は新車で購入して2年、電気の消し忘れもなかったといいます。しかし、やはり原因はバッテリー上がりでした。
隊員
「電圧を計らせてもらったんですけど、通常12.5ボルトとか出るんですが8.9ボルト。とりあえず、つないでかかるかやってみますので」
ポータブルバッテリーをつなぎエンジンをかけてみると…。
隊員
「エンジン、問題なく起動しています」
依頼人
「バッテリーだったんだ」
それにしても、バッテリー上がりの原因はなんだったのでしょうか。実は、知らないと誰もがやってしまいがちな原因があったのです。
隊員
「今回の原因としては、おそらくドアを開けたりとかを頻繁にされていたとのことなので、それが原因かもしれない」
原因は荷物の出し入れのため、頻繁に開け閉めしていた電動のドア。もちろんその都度、電力を使うためエンジン停止中はすべてバッテリーに負荷がかかっていたのです。
依頼人
「かっこいいですけどね。そんなリスクがあるともつゆ知らず」
バッテリーの充電が必要なため、釣りはここで終了。
依頼人
「2週間後にまた来るので。そこでまた、たくさん釣らせていただきます」
■車の中にカギが…寒さとの戦い
茨城県では登山客からのSOSがありました。依頼人は登山帰りの70代の男性。込み入った事情を矢継ぎ早に説明してくれました。
依頼人
「(後ろの)扉を開けたまま閉めるのを忘れたんですよ。(前のドアの)カギをかけて登山に行ったんですね。戻ってきて『閉めるの忘れたな』と思って、荷物を全部入れてバタンとやってこっちに来たんです。後ろを閉めたら、全部閉まっちゃったんです」
つまり、山登りに向かう際、車のカギはかけたものの、トランクを開けたまま出発するというおっちょこちょいを犯してしまった男性。
2時間後、帰ってきて他の扉はすべて施錠されていることを忘れ、唯一開いていたトランクから、車のカギの入ったリュックを入れて閉めてしまったといいます。
依頼人
「(Q.携帯電話は?)全部、中ですから」
「(Q.財布も?)そう」
たまたま居合わせた他の登山客に携帯電話を借りてJAFに連絡したといいます。
依頼人
「よりによって、登山で薄着にして全部脱いじゃった」
確かに男性の服装は冬とは思えないほどの薄着です。
依頼人
「頂上で休憩したり、下りてきて車に乗る時は着るんです、ダウンをね。それは中にあるの。話してるとバカみたいだね。ホントちょっとした油断でこうなっちゃうんだなー」
寒空のもと待ち続ける男性のため、隊員はドアのカギ穴からのピッキングで解錠を試みます。
隊員
「車種で一台一台(カギ穴が)違うので、すぐ開くものもあれば、ちょっとクセがあるタイプもあるので」
時刻は午後5時。日没が迫り、気温はどんどん下がっていきます。
依頼人
「冷える~さぶっ。ちょっと歩くね」
この時の気温はおよそ8℃。体が冷えないよう体を動かしながら待ち続ける男性。
依頼人
「開いたら、まず後ろにあるダウンとシャツに着替えて。あまり焦らすと、この人が大変だから」
この寒さは男性だけでなく、隊員にも大きな影響を与えていました。
隊員
「手先が冷えちゃうと感覚が…」
依頼人
「結構かかりますか、まだ?」
隊員
「通常だと開いてもいいんですけど、ごめんなさい」
依頼人
「俺の方がもう体が冷え切っちゃてるから」
男性ももはや寒さの限界…その時、見事、開錠に成功しました。
依頼人
「いい音だね~。ほんっとに、いい音だね」
男性はすぐさま暖かいダウンジャケットに着替えます。
依頼人
「今、考えていることは早く風呂に入って一杯飲んで、きょうの反省会をやる」
男性はJAF会員のため、料金は無料でした。
■ぬかるみに注意 はまった車の救出
この日、神奈川では警報が出るほどの大雨。そんな日だからこそSOSは急増します。
依頼は住宅街で車が動かなくなったというもの。一体、何があったのでしょうか。
そこには1台の軽トラックがありました。隊員が車の周りを確認すると、左の後輪が雨でぬかるんだ土にはまっていました。タイヤがスリップして動けなくなったようです。
依頼人は建築業の30代の男性です。
依頼人
「地鎮祭がありまして、車が全部で5台くらい集まるんですけど、敷地内に車を止めて、地鎮祭が終わってすべての業務を終えて帰ろうとしたらタイヤがはまっちゃった」
聞けば、ここは戸建ての建設予定地。工事の安全を祈願する地鎮祭を行っていた2時間の間に雨で土がぬかるんで車が出せなくなったといいます。
依頼人
「止めた瞬間は小雨だったんですけど、地鎮祭が終わったころには大雨で、どんどん地面がぬかるんでいった」
現場責任者である男性は後片付けのために残り、その間に大雨で土がぬかるんでしまいました。
隊員
「ウィンチで引っ張ってあげれば出ると思うので」
ぬかるんだ土に加え、雨で滑りやすく、しかも夜で視界も悪い状況。
隊員
「一層注意して作業しないと、思わぬ落とし穴があったりするので気を付けて作業したいと思います」
隊員はレッカー車と車をワイヤロープでつなぎ、引っ張り出す作戦に。
隊員
「ウィンチ巻きます」
ワイヤロープを巻き始めると車が動き出しました。左の後輪もぬかるみから脱出。およそ5分で無事、ぬかるみのない場所まで引っ張りました。
依頼人
「最初に鉄板を引いておくとか対策は取れたかなと思います」
JAF隊員は、雨が降った翌日も舗装されていない地面への進入は気を付けるべきといいます。
■一瞬の“よそ見”…驚きの理由とは
この日、隊員が向かったのは神奈川県平塚市。道路脇に1台の車が止まっています。
依頼人は50代の男性。何があったのでしょうか。
依頼人
「通勤途中に縁石にぶつけてしまって、タイヤがカラカラ音が鳴ってるので『これはパンクしたな』と思ったのでJAFさんを呼んだ」
タイヤを確認すると、空気が抜けてペチャンコに。さらにホイールには擦った傷とタイヤ側面には大きな穴がありました。
その時のドライブレコーダーの映像。見通しの良い緩やかなカーブを進行中、縁石に激突。運転中に具合が悪くなったのでしょうか。
依頼人
「妻には『めまいとか体調不良でそうなったのか』と言われたので、そういうことじゃないよと話しました。ちょっとよそ見をしてしまったので、ガンと音がしましたので」
よそ見の原因は、男性を心配した妻をあきれさせるものでした。
依頼人
「ダッシュボードの所が汚れていたので、そこを拭くためにそっちに集中しちゃいまして。止まってやれば良かったんですけど、うまくできるだろうと過信してしまった」
激突の瞬間の映像を改めて見てみると、水筒から水をたらした直後、縁石に激突。慌てて拭くティッシュを手放した様子も映っていました。
隊員
「(タイヤの)横が切れてしまうと修理は難しいので、タイヤを替えるしかないです」
男性の車は前輪駆動のため、負担の少ない後輪にレンタルのスペアタイヤを付け、その後輪タイヤをパンクした前輪部分に取り付けました。
後日、交換予定の新品タイヤはおよそ2万円とのことです。
依頼人
「年末のお金のがかかる時期に出費っていう形になりますので、妻も言いたいことはあると思いますけど、『ごめんなさい』と言うしかないですね、私の不注意なので」
大事故には至りませんでしたが、よそ見運転は絶対にやめてくださいね。
■マフラー落下 原因は塩化カルシウム!?
群馬県前橋市では、これからの季節に気を付けるべき車のトラブルが。
依頼人(40代)
「走っていたら車の音がすごく大きかったので、マフラーに穴が開いてるのかなと思って走っていたらカラカラカラと音がしだした」
車の下をのぞいてみると…なんと、マフラーが落下していました。これを見た依頼人はこのように話します。
依頼人
「マフラーが落ちて『あー!』っていうところなので」
もはや笑うしかないといった様子。
依頼人
「午前中、この車を使っていても全然気付かずに乗っちゃっていたので、こんなことが起きるなんて思わなかった」
群馬県北部にある沼田市から、買い物のため前橋市まで運転してきたといいます。
依頼人
「あしたバーベキューをしようと思っていたので、前橋の方においしい肉があって山を下りてきました。恥ずかしいですよね、本当だったら、こうなる前に気付いていれば良かったんですけど」
一体なぜ、マフラーは落下してしまったのでしょうか。
隊員
「サビが原因でボルトが劣化しちゃったことですね」
確かによく見ると、落下したマフラーはサビでボロボロになっています。ここまでサビてしまった理由、それは冬の時期に使うあるものが原因でした。
隊員
「冬場の雪で塩化カルシウムがサビの原因になる。スキー場に行く人なんかは必ずちょっとは拾ってる場合がある」
雪が多く降る時期には、凍結防止のため道路上に塩化カルシウムを散布する光景をよく目にします。この塩化カルシウムがサビの原因になるのだといいます。
隊員
「塩化と言ってる以上は、塩分を含んでいるので、それで鉄をサビさせている」
特に雪の多い地域に出掛ける場合、スタッドレスタイヤの装着はもちろんのこと、帰ったらすぐに車両の裏側まで洗浄をすることをJAFは推奨しています。
依頼人
「もっとマメにメンテナンスしていれば良かったのかなという反省点はあります」
JAF会員で牽引(けんいん)代1万850円に加え、マフラー交換に20万円以上かかったそうです。
■いつから?パンクに気付かず車運転
午後4時、茨城県つくば市の住宅街。母と娘からのSOSがありました。
隊員
「タイヤ潰れちゃっていますね」
娘(20代)
「交差点で隣の人が『パンクしてるの知っています?』って」
母(50代)
「(窓を)ドンドンドンって教えてくれました」
交差点で停車中、隣に止まった車のドライバーからパンクしていることを告げられたといいます。2人で買い物の予定でしたが、すぐ近くの公園の駐車場に緊急避難しました。
隊員
「前タイヤなので、ハンドルが重くなっちゃったりで気付くこともあると思うんですけど」
確かに左側が傾いているように見えますが、2人はこう話します。
娘
「言われてみたら確かに傾いている」
母
「全然知らないで走ってたね。そういえば傾いてるねって思いました」
娘
「(Q.心当たりは?)そう…ですね~」
母
「いつからだったのかな」
パンクの原因に心当たりがないという2人。
隊員はタイヤを外し、空気が漏れている場所を確認すると、タイヤの側面から空気が漏れていました。
隊員
「ここですね、漏れている場所。(タイヤの)横から空気が漏れていると応急修理がきかないんですよ」
パンク修理ができないため、スペアタイヤに交換することになりました。
娘
「縁石じゃない?」
母
「覚えがあるの?」
娘
「何日か前にお店に入るところで、左に切りすぎる癖があって、縁石に気付かずに多分ぶつかっちゃった」
母
「でも大事に至らなくて良かったよ」
一歩間違えれば大きな事故につながりかねないタイヤのトラブル。早めに対処できたのが不幸中の幸いでした。
母
「(パンク教えてくれた人へ)この放送を見ていたら、ありがとうございました」
娘
「大きな事故に遭わずに済みました」
【動画】冬に急増“車のトラブル”「パンクしてるの知ってる?」交差点で停車中に…