23日午後、会見に臨んだ日産とホンダ。経営統合に向けた協議入りを発表しました。そんななか、日産・元トップのこの人が会見。経営統合について「意味がない」と痛烈批判です。
【画像】3社が経営統合すると販売台数で世界3位の自動車メーカーグループに
■ホンダと日産 経営統合へ協議入り
“100年に1度の変革期”ともいわれる自動車業界で3社の経営統合は、大きな動きとなります。
ホンダ 三部敏宏社長
「本日、日産自動車とホンダは経営統合に向けた協議を、正式に開始することについて合意に達し、両社取締役会の決議を経て基本合意書を締結。また、三菱自動車については経営統合の協議に加わるかの検討を開始し、2025年1月末をめどに判断するという基本合意書を3社で締結した」
関係者によりますと、経営統合は、持ち株会社を設立してホンダ・日産・三菱自動車の3社を傘下に置く形になるといいます。
三部社長
「自動車業界を取り巻く環境がグローバルで劇的に変化するなかで、協業とは別枠で両社間で議論を行ってきましたが、両社が統合することであらゆる領域で化学反応が生まれることによる、シナジー(相乗)効果の可能性は想定以上に大きいことが再確認できた」
「共同持ち株会社の設立時点においては、取締役の過半数をホンダが指名するとともに、代表取締役また代表執行役社長もホンダが指名する取締役の中から選定する予定ですが、両社の理念やブランドは変わることなく引き続き残していきます」
3社が経営統合した場合、販売台数で世界3位の自動車メーカーグループになります。
しかし、EV=電気自動車に限れば、アメリカのテスラと中国のBYDが1位2位で日本勢はトップ5に入っておらず、後れをとっている状況です。
そこで、巨額の投資が必要なEVや自動運転、ソフトウェアの開発などで先行する海外勢に対して競争力を高めたいというのです。
しかし、経営統合に懐疑的なのが、日産自動車の会長を務めたカルロス・ゴーン被告です。ゴーン被告は2019年、保釈中に日本からレバノンへ逃亡しています。
ゴーン被告
「補完性がないんです。どちらも日本企業で、同じ分野に強く、同じ分野に弱い。両社ともに先進技術を持っているが、産業的観点ではすべてが重複している。だから産業的には意味をなさない」
一方で、ホンダと日産の経営統合を巡っては、世界の大手企業の動きも慌ただしくなってきました。
台湾の電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」が、ルノーが持つ日産の株式の買取について交渉を始めたと台湾メディアが報じました。
ホンハイはiPhoneの受託生産で成長した企業で、2019年、EV事業への参入を表明しています。
活発化する海外勢。ホンハイの狙いはどこにあるのでしょうか?
■異業種参入 ホンハイの狙いは?
経済部 北村莉子記者
「自動車業界は、スマホメーカー、精密機器メーカーなど、異業種の参入が相次いできていて、新たな局面にあるといわれています。異業種が参入するのは、EV=電気自動車がほとんど。EVはガソリン車に比べると部品数が少ない。いろんな観点があって参入するハードルが低くなっている。ただ、安全性が高いものを大量生産するノウハウは、自動車メーカーにしかない技術。スマホをつくる技術はあるが、大量生産する技術、そういったところに苦戦している新興メーカーが、自動車メーカーを買収したいという狙いはあると思われる」
また、今後3社の経営統合については…。
北村記者
「日産もホンダも海外市場で厳しい状況にあるため、統合して海外に対して競争力を強めていきたい考えがある。経営統合については、早期に合意を目指したい考え。ただ、経営統合は、株主の合意が本当に得られるのか、部品の供給網の整理がきちんとできるのか、いくつもの課題があるのが現状です。関係者の中には、必ずうまくいくわけではないし、どうなるか分からない、そういった声も聞かれています」