ゴーン被告「相互補完性が見えない」“売上高30兆円”ホンダ・日産“経営統合”へ協議
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ホンダ・日産自動車・三菱自動車。日本を代表する自動車メーカーが経営統合へ動き出しました。各社の社長が23日に記者会見し、まずはホンダと日産が経営統合に向けた協議を始めると正式に発表しました。統合が実現すれば、世界3位の自動車グループとなりますが、生き残りをかけた再編は成功するのでしょうか。

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■“売上高30兆円”「世界をリード」

3社長がそろっての会見。冒頭発言を行ったのは、ホンダの三部社長です。

ホンダ 三部敏宏社長
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ホンダ 三部敏宏社長
「両社が統合することで、あらゆる領域で化学反応が生まれることによるシナジー(相乗)効果の可能性は想定以上に大きいことが再確認できた。全体で売上高30兆円以上、営業利益3兆円を超える世界トップレベルの、モビリティーの新価値を創造するリーディングカンパニーとなることが可能であると考えている」

昨年度の営業利益
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3兆円の営業利益は、昨年度度のホンダ・日産、それぞれの数値を足したものを上回ります。“1足す1で2以上を目指す”。これがこの統合の目的といっていいかもしれません。

ロードマップ
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ロードマップとしては、1カ月後には方向性をまとめ、半年後には最終合意を締結。そこから1年後には、新設する持ち株会社が上場し、スタートするという流れになります。

また、三菱自動車が参加するかどうかも来月には答えが出るといいます。

ホンダ 三部敏宏社長
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ホンダ 三部敏宏社長
「競合の進化は速いし、競合他社の車もかなり頻度を上げてのっております。進化するスピードというのも、ものすごい早いということで、それは我々、既存自動車会社がかつて、あんまりやってこなかった以上、それ以上にものすごいスピードで進化してると私は認識をしています。どうすれば追いつき追い越せるか。最終的にはやはり、いま一度世界をリードしたいと思っております」

(Q.自動車市場はかなり変化が激しく、何が主役になるか売れる車になるかは見通しがかなりしにくい状況だが、両社長は10、20年後、自動車市場がどうなっていると考えるか)

「10、20年は多分かからない。戦う我々の力を多分2030年代ぐらいには我々自身が持っていないと、とても勝負にならないということが、もともと今回のスタートになります」

■加速の背景に“外資の影”は…

大企業同士の統合がこれほど速く動いているのも異例のことです。両社が接近した背景には、ある台湾企業の存在が作用したと報じられています。台湾の大手電子機器メーカー『鴻海精密工業』による、日産株取得の動きです。

台湾中央通信社
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台湾中央通信社
「鴻海はかねてから日産の一部株式取得を計画しており、劉揚偉会長主導で実務は関氏が担っている。関氏は日産に株式取得の意向を直接伝えたものの、日産側からは同意が得られなかったという」

関潤氏
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関氏とは、かつて日産ナンバー3であり、次期社長候補とも目された関潤氏。去年から鴻海で電気自動車事業の最高戦略責任者を務めています。その関氏が古巣のツテを使って日産の株式取得を目指したことで、日産が買収されるのではとの危機感が広がったというのが、海外メディアの見立てです。

ブルームバーグ
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ブルームバーグ
「鴻海は、会社全体を取得することを目的として日産側にアプローチしていた。日産とホンダの交渉は鴻海のアプローチを受けて加速した形だ」

鴻海をめぐる報道について、会見では…。

日産自動車 内田誠社長
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日産自動車 内田誠社長
(Q.鴻海精密工業の日産自動車への買収提案が影響したのか)
「色んな報道とか見てるんですけれども、まずそういった我々に対するアプローチの事実は一切ございません」

ホンダ 三部敏宏社長
「我々は皆さんの報道を読んで知ってるぐらいでですね。本田技研工業として鴻海さまの動きは全くつかんでおりませんので」

新設する持ち株会社の初代社長はホンダが任命することも発表されました。変革はホンダ主導になるようです。

■ゴーン被告“補完性”を疑問視

この日を意識したのでしょうか。かつて日産の経営を取り仕切っていたカルロス・ゴーン被告が、逃亡先からオンライン会見を行いました。

元日産自動車会長 カルロス・ゴーン被告
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元日産自動車会長 カルロス・ゴーン被告
「ホンダと日産には相互補完性が見えない。中国メーカーやテスラを相手に間違いなく苦戦するだろうし、トヨタも立ちはだかるが、トヨタの方がはるかに勝算がある。未来を予測はできないが、衝突とトラブルの種はもうまかれている」

■“相乗効果”強調 厳しい面も…

会見では、両社とも相乗効果を強調していましたが、一方で厳しい面も認めています。

ホンダ 三部敏宏社長と日産自動車 内田誠社長
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ホンダ 三部敏宏社長
「シナジー効果を最大に刈り取るのは2030年以降。日産とホンダが自立した2社として成り立たなければ、この経営統合の検討は成就することはない」

日産自動車 内田誠社長
「きちんと利益が出るような会社に再生する。その道筋をつけていくのが私の責務」

来年6月に最終合意を目指すとしていますが、統合は実現するのでしょうか。自動車業界に詳しい、経済ジャーナリスト・井上久男さんに聞きました。

経済ジャーナリスト 井上久男さん
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経済ジャーナリスト 井上久男さん
「ホンダ側が、日産が示す経営再建計画をどう評価するかがポイント。販売網や生産拠点の重複をどう調整するかが今後の課題。それ次第では統合が実現しない可能性も充分あり得る」

さらにカギを握るのが、日産を買収する意向があると報じられている鴻海の動きだと指摘しています。

経済ジャーナリスト 井上久男さん
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経済ジャーナリスト 井上久男さん
「正式に鴻海から買収提案があった場合、株主に対し『鴻海よりホンダとの経営統合が合理的』と説得しなければならない。結果次第では、この経営統合の行方が不透明になるのでは」

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