日本の自動車業界を代表するホンダと日産自動車が、正式に経営統合に向けた協議を開始しました。「ホンダによる救済」という見方もあるなか、会見では今回の統合に“ある条件”があることも明かされました。
【画像】記者会見の真ん中にはホンダ三部社長「1社では戦えない」
■三部社長「救済ではない」日産への注文も
3社のトップがそろって開いた記者会見。日産と三菱自動車の真ん中に立つホンダ・三部敏宏社長。これが、今の力関係を表しています。
三部社長
「来年1月末をめどに経営統合の可能性について方向性を出すことを目指し議論を深めてまいります」
世界の自動車販売台数で7位と8位にいるホンダと日産。統合が実現すれば、売上高30兆円、年間販売台数700万台を超える、世界3位のグループが誕生します。
電気自動車へのシフトや自動運転など、「100年に一度の変革期」と言われるなかで「1社では戦えない」という危機感が統合に向けて背中を押しました。
三部社長
「それぞれのブランドも等しく育成・発展させていく方向で検討していく」
あくまで両社のブランドはそのまま維持する考えですが、23日に明確になったのは、ホンダが主導権を持つという点です。
三部社長
「取締役の過半数をホンダが指名するとともに、代表取締役・代表執行役社長もホンダが指名する取締役の中から選定する予定」
直近の時価総額を見ても、ホンダが6兆円を超える一方、日産は1兆円台で、経営的にも危機に瀕しています。
そうした事情もあってか、会見では慎重な言い回しが続きました。
三部社長
「まずは検討を開始する。経営統合そのものを決定したわけではありません。成就しない可能性もゼロではありません」
そのうえで、日産に対して注文とも言える発言がありました。
三部社長
「はっきり申し上げて救済ではない。前提条件としては日産のターンアラウンド(事業再生)の実行が絶対条件になっております」
「日産が進める9000人規模のリストラなど、きちんと利益を出せる企業になること」が統合の条件だということです。
これには、日産の内田誠社長も次のように述べました。
内田社長
「どちらか片方に依存するのではなく互いに成長することで、それが掛け算となりより大きな力に変わっていきます」
■ホンハイによる日産買収提案の影響は?
会見では、こんな場面も見られました。
三部社長
「(Q.日産の「ここにほれた」ところは?)難しいな…。もちろん伝統もありますし、名車もたくさん出している名門企業ですので...」
両社が経営統合の協議入りを急いだ背景には、「台湾のホンハイ精密工業の動きが影響した」との見方もあります。
ホンハイ精密工業の日産への買収提案が与える影響については、次のように述べました。
内田社長
「そういった我々に対するアプローチの事実はありません」
三部社長
「ホンハイ様の動きは全くつかんでおりませんので、ちょっと質問にはお答えできないということです」
ホンダと日産が一緒になれば、研究開発拠点の統合や生産体制の合理化など、無駄を省く努力が必要となってきます。下請け企業にとっても、気が気ではありません。
日産の取引先企業
「ホンダ主導になると、日産の仕事は少なくなるのかなと。どう転ぶかわからないので、良いほうに転ぶのか悪いほうに転ぶのか」
今後、どのような未来が待っているのでしょうか。
三部社長
「シナジー効果というのは必ずしも減産とか削減の意味ではなく、うまく組み合わせると両社が伸びていく可能性が十分あるのではないかと。今一度、世界をリードしたいと思っていますので。きょうは“一歩目の検討”と理解していただければ」
内田社長
「5年後、10年後に『今回の決断は正しかった』と、両社の従業員を始めとする多くのステークホルダーの皆様に言ってもらうことが私の一番の願いです」
(「グッド!モーニング」2024年12月24日放送分より)
この記事の画像一覧