メジャーリーガーの菊池雄星投手(33)がこのオフ、地元の岩手に建てたのがこだわりの詰まった最新鋭のトレーニング施設です。そのこだわりには、野球の継続的な発展を願う思いが込められています。
【画像】トレーニングエリアに飾られたイチローさんのサインボールとユニホーム
■子どもたちに届ける夢の施設
岩手県花巻市。菊池雄星投手の母校、花巻東のすぐ隣に、その施設はあります。
ヒロド歩美キャスター
「早速ここからワクワクしませんか」
菊池投手
「ありがとうございます」
ヒロドキャスター
「すごい。花巻東のユニホームがあって」
「西武、マリナーズ、ブルージェーズ、アストロズ。で、ちょっとすごくここが気になって。ここにエンゼルスが入ると」
菊池投手
「そうですね、はい」
菊池投手はメジャー6年目の今シーズン、8月からアストロズへ移籍すると、登板した試合でチームはなんと10戦9勝!日本人サウスポー初のシーズン200奪三振など、地区優勝にも大きく貢献しました。
そして先月、エンゼルスへの移籍が決定!3年およそ97億円の大型契約でした。
菊池投手
「10年間ポストシーズンに進出していないけど、ここからのチームですから。オファーをもらった2秒後に『契約を取って』と代理人に伝えました」
メジャーで活躍を続ける菊池投手が、このオフ、地元の岩手にオープンさせたのが、複合野球施設「King of the Hill」です。
自身もオフのトレーニングで利用するなど、プロはもちろん、高校生、少年野球チームも使うことができます。さらに、中学生以下に向けた菊池投手プロデュースの野球スクールも運営しています。
自分も子どもたちもトレーニングができる、そんな場所を作ったのはある経験からでした。
菊池投手
「プロに入ってから野球教室を毎年1回2回必ずやってきた。7、8年前に岩手の少年野球の監督さんが『このままだと野球チームが来年廃部になってしまう』『雄星さんに全校生徒と一緒に最後に野球をやってほしい』『それで選手が集まらなければもう諦めます』って言ってたんです。みんなと一緒に野球をやったんですよ。1週間後に『20人、選手が入りました』って言ってくれたんです。年に1回の打ち上げ花火のようなイベントで満足していた。一緒に子どもたちと野球ができる場所、触れ合う場所、プロ野球選手と何かをする場所がないとダメだなと思ったんです」
■メジャーで使われる最新機器に散髪ルームも
プロ野球選手を身近に感じて、一緒に野球ができる場所が必要。そうして作られたこの施設は、菊池投手のこだわりがいっぱいの最新施設なんです。
まずはブルペンとバッティングエリア。メジャーで使われている最新機器がそろい、球速や回転数、投球フォームの解析、スイングの軌道など様々なデータを収集できるんです!
スクールの子どもたちも使っていて、最先端の野球を感じてほしいからということです。データに基づく野球をスタンダードにしていきたいという思いもあるそうです。
そして、こだわりは他のエリアにもありました。なんと、散髪ルーム!
菊池投手
「最近の高校球児、髪を伸ばしてるじゃないですか。ここで髪を切ったらどうかなと思って」
高校球児たちも使うということで、甲子園の写真が飾ってありました。細かい所にもこだわりがありますよね。
トレーニングエリアの入り口には…。
ヒロドキャスター
「イチローさんのサインボールとユニホーム」
菊池投手
「僕もそうですけど、イチローさんは全野球少年、野球選手の憧れですから。トレーニングは本当にきついんですよ。ここから入った時にイチローさんのサインを見て『よし、頑張るぞ!』。みんなもそう感じてもらえるのではないかと1番大事な所に置きました」
続いては休憩スペースなどがあるラウンジエリアです。こちらにもこだわりの品々がありましたよ!
ヒロドキャスター
「デレク・ジーターだ。バリー・ボンズ!ジャッキー・ロビンソン!?
「え!ベーブ・ルース!どうやって手に入れたんですか?」
菊池投手
「頑張りました」
名選手たちのサインをたくさん飾り、メジャーリーグを岩手の子どもたちに身近に感じて欲しい。そのウラには菊池投手の野球人生を変えたでき事が、大きく関係していました。
■『俺もできるかも』というマインド
菊池投手
「僕は元々岩手県外の高校に行こうと思っていた。北海道の駒大苫小牧が甲子園連覇して、田中将大さんをはじめ活躍されて、北海道でもできるなら岩手でもできる。大事なことは『俺もできるかも』と思うこと。岩手県で、大谷翔平選手や佐々木朗希選手、佐々木麟太郎選手など、どんどんいい連鎖で出てきているのは、『あの人ができるなら俺もできる』って、身近な存在からいろんな人が出ているから『俺もできる』というマインドになっているだけ。特別な魔法もないし、岩手県にそういう魔法はないですから」
ヒロドキャスター
「King of the Hillが、そして菊池さんが岩手の子どもたちのきっかけになりたい?」
菊池投手
「ここから育った選手たちが『俺たちもできる』となってもらえたらそんな幸せなことはない」
子どもたちだけではなく、今後は指導者の方に向けた勉強会を開催して、教える側も一緒になってレベルアップを図りたいというプランも教えてくださいました。
King of the Hillには、トレーニング施設だけでなく、キッチン、お風呂、サウナ、治療部屋もあり、これらが全部一カ所で完結できる施設は日本では珍しいのでそういった所も作りたかったと言っていました。どんな選手が育つか、楽しみです。
(「報道ステーション」2024年12月24日放送分より)