「2人で天国に行こう」。寝たきりの母親を殺害した罪に問われた息子。9日午後、裁判長は「愛情ゆえの犯行ともみられる面もあり」と求刑を大幅に下回る判決を言い渡しました。
【画像】求刑8年に対し懲役4年 裁判長が被告にかけた言葉とは…
■「生きる苦しみ限界 母を送ります」
懲役4年の判決を言い渡した裁判長は、続けて被告に…。
裁判長
「証拠によって判断しているので、あなたの言い分と違うところもあると思います。一方的に悲観せず、自殺などせず、生涯罪を償っていってほしいと思います」
寝たきりの母親を殺害した罪に問われたのは、前原英邦被告(61)。当時92歳だった母・房子さんの首を絞める際、「『2人で天国に行こう』と語りかけた」と、逮捕後の調べには、そう話していました。
前原被告自身は睡眠薬を飲み、意識不明の状態で倒れているのを、事件翌日に発見されています。
前原被告のスマホメモ(事件当日)
「生きる苦しみ限界 母を送ります」
前原被告が事件当日、スマホに残したメモです。
■裁判長「愛情ゆえの犯行ともみられる面も」
被告は仕事を辞め、母親の介護に専念。収入は母親の年金のみ、親族などからの援助はなかったといいます。
被告によると、房子さんからはこう言われていたと言います。
母 房子さんの言葉(12~13年前)
「おまえの手で最期を迎えさせてほしい」
弁護側は「殺害を依頼されたと被告は信じていた」として、同意殺人罪の成立を主張していました。
裁判長は、房子さんの認知症の状況に照らし、殺してなどと言葉を発したとは考えられないとして、犯行は介護疲れを動機としたものではなく、経済的破綻に伴い、母を道連れにするという、自己本位の考えだったと指摘。
その一方、「愛情ゆえの犯行ともみられる面もあり、酌むこともできる」と、求刑8年に対して大幅に減軽した理由を述べました。
裁判長の言葉に、本人は全く反応しませんでした。