これザクでいいんだよね?と心配になってしまうほどやせ細ったザクをご存知だろうか。ジオン公国軍のモビルスーツといえば、まず思い浮かぶのがザク。その知名度はガンダムを見たことがない人でも耳にしたことがあるほどだが、「機動戦士ガンダム」第15話に登場したザクは、それまでのザクとは明らかに見た目が異なっていた。
【映像】ほっそりスタイリッシュなドアンのザク(7分38秒ごろ~)
第15話「ククルス・ドアンの島」で、ホワイトベースが地球連邦空軍からの緊急信号を受ける。アムロ・レイ(CV:古谷徹)がコア・ファイターに乗って現地へと向かうと、現地では武器を奪われたパイロットが、傷だらけの状態で戦闘機のシートに縛り付けられていた。
アムロが状況を把握しようとしていると、岩陰から小岩が投げつけられた。投げたのは小さな子どもたちで、「さっさと帰れ!」「早くこの島から出てって!」と憎しみをぶつけられたアムロは戸惑ってしまった。
子どもたちに銃を向けるわけにもいかず、アムロはコア・ファイターに逃げ戻るしかなかった。子どもたちの暴挙が次第にエスカレートしていく中、「やめるんだ!」と制止したのは、ククルス・ドアン(CV:徳丸完)の乗るザクだった。
そう、このザクが違和感を感じずにはいられないものだったのだ。見た目がこれまでのザクより明らかにやせ細っており、軽量化した新型なのか?改造機か?それとも旧型のザクIなのか?などと思ってしまうほど。インターネットもない時代、当時の視聴者もさまざまな憶測を巡らせたことだろう。
しかし、このザクは新型でも改造機でもなく、旧型でもなかった。ただの“作画崩壊”によって生まれただけのザクだったのだ。そのユニークな見た目は、インターネットが普及した今日まで忘れられることなく語り継がれ、「ドアンザク」という特別な愛称で親しまれるまでの存在となった。
さらに2022年6月には「ドアンザク」がリファインされ、劇場版「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」として公開された。もし、第15話で登場したザクが作画崩壊を起こしていなければ、劇場版が実現することはなかったはずだ。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。
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