【写真・画像】「DeepSeek」「黒神話:悟空」…深センに続くハイテク都市・「杭州」  都市間競争で“次の中国のリーダー”が決まる? 中国式イノベーションに迫る 1枚目
【映像】本気で蹴っても倒れない中国のロボット犬

 中国のイノベーション都市といえば深セン市が浮かぶかもしれないが、AI企業の「DeepSeek」、『黒神話:悟空』など世界で絶賛されるゲームを生み出す「GAME SCIENCE」が活動するのは「杭州市」だ。

【映像】本気で蹴っても倒れない中国のロボット犬

 杭州でイノベーションが生まれ続ける背景についてANN上海支局 尾﨑文康支局長に聞いた。

━━杭州で特に勢いのあるベンチャー企業は「杭州六小龍」と呼ばれ、連日のようにメディアで取り上げられているようだが、なぜ杭州なのか?

「いろいろな分析がある。一つは、杭州は習近平国家主席が若い頃を過ごしていた地方の一つであること。習氏は杭州がある浙江省と、福建省という2カ所で事実上の地方政府のリーダーのような役割を務め、2003年に『デジタル浙江』という構想を立ち上げた。習氏がウェブやデジタル産業を育て“一大拠点”にするというこの構想を始めたあたりから、どちらかというと歴史都市だった杭州が徐々にハイテク産業で知られるようになった」

「政府はいわゆるベンチャー向けのファンドやAIタウンを作って、AI企業を誘致し、ハイテク産業を集中的にバックアップする体制を取り、それが10年ほど続いた結果、いろいろと芽が出て収穫期を迎えているのが今の杭州かと思う。なおかつ、中国の自治体は産業誘致でも互いに競争でしのぎを削っており、深センや他にもいろいろなハイテク都市はあるが、勢いでいうと杭州はその中で頭一つ抜け出してきた印象だ」

━━都市ごとの競争はそこまで熾烈なのか?

「中国のエネルギーの源泉は、都市間競争だ。外から見ると中国は共産党の一党支配で、鉄のピラミッドのような組織に見え、実際にそういう面はあるのだが、その中で地方のリーダーたちが出世争いと言うか、党の中でポジションを上げていくために重要になってくるのが、自分のいる地方をいかに経済的に活性化させて実績を作るかだ。習氏もまさに浙江省での実績をベースの一つとして、国のリーダーにまで駆け上っていった」

━━優秀な人材もハイテク都市に集まるのか?

「杭州には地元に浙江大学という数万人規模のマンモス大学があるのだが、ここが理系の強いエリート校で、世界の大学ランキングでは京都大学よりも上だ。ここの卒業生たちが、杭州でベンチャー企業をどんどん立ち上げている。DeepSeekのほか、最近犬型ロボットで注目されているDeep Roboticsもこのパターンだ。だから、人材という意味では恵まれている」

「もっと言えば、中国はここ10年以上、理系人材を育てることを国家の強いリーダーシップで進めており、大学も増やし、大学での基礎研究も含めかなりの投資をしている。また、14億人いる人口の大きな国であるため人の“層の厚さ”はやはり強いと感じる」

━━中国政府にはどのような展望があるのか?

「端的に言うと2点あると思う。1つは経済発展だ。中国は従来からもの作りの国だが、中国政府は今は『AIプラス』というワードを使う。例えば、スマホ・パソコン・家電など次の世代の商品はAI搭載が基本になってくる。中国はこれまでGDPの2割から3割を支えていたとされる不動産部門が苦しくなっているが、これに代わる経済の柱として目をつけたのがAI・ロボットではないか。実際に製造業・メーカーなどの工場にAIやロボットを入れることで生産性がぐっと上がる。だから、AI・ロボットは“一産業”というよりも、言ってみれば、『経済活動を全部底上げするような劇的な転換点』になることを中国政府は狙っていると思う」

「もう1点は『安全保障』だ。習氏自らが『デジタル技術はこれからの国際競争の重要分野だ』と公言している。先端技術は言ってみれば兵器への転用もでき、国を守るという意味で言うと他国からすると脅威でもある。アメリカが中国に対して先端半導体の輸出を規制するのは、その意味もある。先端技術を握る国が今後、世界のリーダーになることはアメリカもわかっている」

━━日本はハイテク分野でどうやって戦っていけばいいのか?

「中国では日本のような自由市場・自由社会のアイデアの中からイノベーションが生まれるというより、『ここだ!』と思ったところに国家が強力なリーダーシップでドンとお金・人材を入れて、その分野で精力的なベンチャーがイノベーションを起こすという印象で、実際にそれで成果が出ている。そもそもAIやロボットには大きな資本が必要で、放っていたらどんどん企業が育つというものではあまりない。日本はもちろんルール重視の社会だが、やはり政府が明確な方針を示し、財源を確保するのは重要だと感じる。かつ地方にはあまり元気がないが、地方自治体が地元の経済活動やその強さの一番の理解者であるのは間違いない。企業がどうやったら育つのか、面白いアイデア・人材をどうサポートできるのかを、地方がそれぞれ考え、国から権限を移譲されるような一層の分権の工夫が日本には必要なのでは」
ABEMA倍速ニュース

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