
社会問題となっている闇バイトへの関与を防止するため、学校の授業で闇バイトの手口を疑似体験することで、危険性を学ぶという取り組みが行われている。
【画像】実際の事件に基づいて闇バイトの手口を疑似体験できるゲーム「レイの失踪」
■携帯ゲームで疑似体験 高校で闇バイト対策学ぶ

若者にも広がり、社会問題となっている闇バイト。これに歯止めをかけようと、警鐘を鳴らす授業が注目されている。
取材したのは、神奈川県の藤沢西高校。講堂に多くの生徒たちが集まっていた。

手元にはスマートフォンがある。生徒たちは実際の事件に基づいて作られた闇バイトの手口を疑似体験できるゲームを行っている。一体、どんなゲームなのか?

その名も「レイの失踪」。突然いなくなってしまった高校生のレイを探すため、SNSを通じ謎を解いていくゲームだ。
去年12月にリリースされて以降、30もの教育機関や自治体が導入している。
生徒たちはまず、失踪したレイのSNSを調べることに。すると…。

闇バイトのリクルーター
「簡単なバイトに興味ありませんか?」
レイ
「興味あります」
闇バイトとは知らず、興味を示してしまうレイ。さらに、会話を追っていくと…。

闇バイトのリクルーター
「本人確認をしたいので、学生証の写真を送っていただけますか?」
レイ
「これが学生証の写真です」

仕事はスマートフォンの契約代行業務で、報酬は1台につき15万円という内容だ。やり取りを不審に思ったレイは…。
レイ
「いや、やっぱりやめたいです」
闇バイトのリクルーター
「ここまで来て?」
「もう個人情報全部送っちゃっていること理解しているよね」

レイが闇バイトに応募し、失踪してしまったことをつかんだ生徒たち。その後、闇バイトのリクルーターを追い詰めると、スマートフォンが鳴る。
闇バイトのリクルーター
「ふざけんなよ、まじでよ、おい!こっちの名前まで特定しやがってよ。ナメたマネしやがったな、お前。お前、許さねぇからな」

ゲームはこうして進み、最後に首謀者を突きとめ、通報するところで終了となる。
生徒
「私はまだバイト経験がなくて、例えば日給10万円とかちょっと、おかしいよねと疑う心をもって、これからバイト選びしていけたらいいなと思いました」
生徒
「ゲーム感覚でいろいろなことも学べたので、こういうことに注意すればいいんだというのを楽しく学べたのでよかった」
実際の事件に基づいて作られたこのゲームを開発したのは、現役大学生だ。

Classroom Adventure 代表 今井善太郎さん(23)
「人生のどこかのタイミングでやっぱりお金に困ってしまったり、相談できる相手がいない時が出てくると思うんですよね。そういう時に僕らの今回のゲームや授業を思い出してもらって、一歩踏みとどまる力をつけてほしいなと思っています」
■闇バイト対策のゲーム 若者に啓発…開発者の思い

このゲームを今井さんが開発した思いについて見ていく。
今井さんによると、「友人の知人が闇バイトに巻き込まれて逮捕された。それにショックを受けて何かしなければと思った」といい、闇バイト事件が実際に身近に迫ってきたのがきっかけになったそうだ。

その形として、なぜゲームという形を選んだのか。
その理由について、今井さんは「若者に響かなければ意味がない。楽しく学ぶ必要があったので、ゲームにした」という。
こういう発想も、制作者である作った本人も若者だからこそ生まれたものかもしれない。

そして、このゲームの今後については「闇バイト事件で新しい手口が出てきたら、その都度ゲームに反映していく」としていて、「いつ自分が巻き込まれるか分からない闇バイトの危険性をどれだけリアルに感じてもらうかが重要だ」と話していた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年3月26日放送分より)
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