
“フジのドン”と呼ばれ、40年以上君臨した日枝久取締役相談役(87)が退任することが決まりました。自ら経営刷新を望み申し出たということです。これでフジテレビの取締役は大幅に減少します。
【画像】長年続いた日枝体制…その反省点を記者に問われたフジテレビ清水社長の回答は?
■フジサンケイグループの代表も辞任の意向

フジ・メディア・ホールディングス 金光修社長
「(日枝氏の)41年間の振り返りをわずか数秒で答えることは、私の能力ではできません。日枝に対しては、長い間お疲れさまでしたという気持ちでいっぱいです」

フジテレビ 清水賢治社長
「1980年代フジテレビ躍進、それを作った方ではあります。今までの貢献に対しては感謝したいと思います」

日枝氏に対し、労いの言葉を口にした経営のトップ陣。27日に開かれたフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビの取締役会で長年経営に携わってきた日枝氏が、取締役相談役を退任することが決まりました。
日枝氏は、産経新聞グループや文化放送グループも含めたフジサンケイグループの代表についても、辞任の意向を示しているといいます。
■40年間君臨…フジテレビの黄金時代を牽引
長年、社長や会長を歴任し“フジのドン”として君臨してきた日枝氏。

フジテレビ 日枝社長(当時・59歳)
「ちょっとおこがましいですが、日本のハリウッドを目指したい」
1980年、42歳の若さで編成局長に就任すると「楽しくなければテレビじゃない」の言葉とともに、1982年から12年間にわたって視聴率3冠を達成。フジテレビの黄金時代を牽引(けんいん)しました。

1988年からは社長、2001年から会長に就任。2003年には、フジサンケイグループの代表に。2005年にはニッポン放送買収騒動の際、堀江貴文氏が率いた当時のライブドアと激しく対立しました。

フジテレビ 日枝会長(当時・67歳)
「世の中すべて、株とかそういうものでコントロールできると思うのは違うのではと僕は思う。これは人生観の違いだから仕方ない。すべてお金とかなんかで社会は動かないし、従業員とかいるでしょ。その人たちは心で動いているわけだから」
矢面に立って、ライブドアの買収を阻止しました。
フジテレビ 日枝会長(当時・67歳)
「経済人も含めてですが、公的な人は言っていることに責任を持たないといけない。もし私が違っていることがあれば、『違うじゃないか』と言ってもらって良い」

安倍元総理とゴルフをしたりするなど、政界ともつながりを深めてきました。2017年に会長から退いた後も、取締役相談役として会社に残り、40年以上にわたって人事や経営に大きな影響を与えていました。
長年続いた日枝体制。その反省点を記者から問われると、清水社長は次のように答えました。

フジテレビ 清水社長
「日枝がというよりも我々自身が、フジテレビが80年代の躍進の歴史にこれが成功体験となって、その後イノベーションのジレンマが起こってしまった。既存の放送事業があまりにもうまくいっていたので、それを壊して配信事業に全面的に行く、そういうことはなかなかやりにくい」

フジ・メディア・ホールディングス 金光社長
「私はいろいろ口答えをしたり反論をしたりしたが、それで何かよくなかったという思いは1個もないので、みんなもっと言っとけばよかったという感じがある」
■投信ファンド、今回の刷新は「ポジティブ」
フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビは日枝氏の他、取締役の数を大幅に削減。平均年齢も引き下げ、フジ・メディア・ホールディングスは71.2歳から61.6歳に。フジテレビは67.3歳から59.5歳と若返りを図りました。
他にも社外取締役を過半数にして、女性の比率は3割以上にするとしています。
早期に信頼を回復するために発表された経営刷新。先月には前の年に比べ90%も減ってしまった放送収入を、取り戻すことはできるのでしょうか。

フジテレビ 清水社長
「4月以降のことにつきましては、まだはっきりと見えているものではない。7割弱のスポンサーの方が今、判断保留ということ」
フジ・メディア・ホールディングスの株式をおよそ1%保有するイギリスの投資ファンドは、今回の刷新について、こう述べました。

ゼナーアセットマネジメント
デイビッド・ミッチンソン氏
「フジ・メディア・ホールディングスに関わる全員にとってポジティブなニュースです。取締役会は非常に決断力のある行動に出ました。今後は新しい経営陣が従業員にとって健全で尊重される文化を築きながら、視聴者が見たい素晴らしいコンテンツを作成できることを期待しています」
(「グッド!モーニング」2025年3月28日放送分より)
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