
トランプ政権の軍事情報を知り得るメンバーが、軍事作戦の詳細な動きを民間のメッセージアプリでやり取りしていました。機密情報の軽率な取り扱いだと、批判が噴出しています。
【画像】グループチャットで「空爆開始」“軍事機密”漏洩か…トランプ政権に批判噴出
■イエメン攻撃 民間人犠牲の裏で

今月15日、中東イエメンの武装組織に対してアメリカ軍が行った空爆。最高司令官のトランプ大統領もゴルフの合間に見守る、重要な軍事作戦でした。その裏で起きていたスキャンダル。



アメリカ ヘグセス国防長官(政権のグループチャット) 「東部時間12時15分:空爆の第一陣としてF18が離陸東部時間13時45分:F18による第1波の攻撃開始標的のテロリストは既知の場所にいるため、時間どおりに実行可能なはずだ」

空爆の開始前、作戦の詳細を書き込んだ国防長官。それに大統領補佐官が絵文字で返信します。

これは政権が利用するSNSのグループチャット。バンス副大統領にルビオ国務長官、ラトクリフCIA長官など安全保障分野の閣僚らが名を連ねています。

SNSでやり取りをしていることも驚きですが、さらに問題なのは、このチャットに民間人が追加されていたことです。

SNSグループに追加された アトランティック誌 ゴールドバーグ編集長
「午後1時45分、イエメンに“最初の爆弾が投下”と書かれていて、投下されるまでの2時間、それはデマだと思っていました」
実際に空爆が始まり、この投稿が事実だと悟ったといいます。
■「機密情報ではない」逃げ切り図る

少なくとも53人の命が奪われた軍事作戦が、このような温度感で進められていたという衝撃。加えて、この問題についての政権側の姿勢が事態の炎上を招いています。

アメリカ トランプ大統領 「機密情報ではない。機密ではなかった。機密情報であったなら少し違っていただろう」

アメリカ ヘグセス国防長官 「誰も“戦争”計画など投稿していない。部隊や場所、飛行経路、情報源など機密は何一つなかった」


“あの投稿は軍事機密などではなかった”という主張。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、書き込みにはイスラエルの諜報活動によって得られた機密情報も含まれていたといいます。
27日には、連邦地裁の判事が投稿内容を保全するよう政権側に命じました。機密性があることを判事も認めたことを意味します。
当初、チャットに追加された編集長も、機密性の高さから一度は公開を控えたのですが、政権の言い訳を見て、内容の公開に踏み切った経緯もあります。
■共和党内からも批判噴出
軍事情報を扱うグループチャットに記者を追加したとされるのが、ウォルツ大統領補佐官。FOXニュースに出演した際、こんな持論を展開しました。

アメリカ ウォルツ大統領補佐官 「あの記者はジャーナリストとして底辺のクズだ。彼は大統領が嫌いだ。私の電話帳には登録していない。
司会 「その電話番号がなぜチャットに?」

アメリカ ウォルツ大統領補佐官 「“連絡先”に別人の電話番号を登録した経験はないか?」
司会 「絶対ありません」
政権として、内容を公開した記者が悪質という方向に持っていきたいようです。

ホワイトハウス レビット報道官 「あの記者ほどデマを書き立て、拡散することを好む人もいないでしょう。反トランプであり、登録民主党員です。これでおしまいです」 「(Q.反トランプで民主党員の記者の番号がなぜウォルツ氏の電話帳にあったのか?)…」
軍事機密と認めず、責任転嫁で逃げ切りを図るトランプ政権。これに与党内からも批判が沸き起こっています。

共和党 コリンズ上院議員 「『起きるべきではなかった。大失態だった』と認めるべきだった」

共和党 ラウンズ上院議員 「彼らは間違いを犯した。ホワイトハウスの言うがままだ」
この問題を取り上げた公聴会の委員長からも厳しい言葉が向けられました。

共和党 上院軍事委員会 ウィッカー委員長 「事実確認を進めるが、確実に懸念事項です。委員会と両院でこの件を精査します。間違いが起きたことは明らかです」