第三者委「業務の延長線上の性暴力」年齢・容姿で“接待要員”に…フジ社長が謝罪
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フジテレビの一連の問題をめぐり、第三者委員会が31日に調査報告書を発表し「経営判断の体をなしていない」と厳しく批判しました。中居正広氏と女性とのトラブルに端を発した一連の問題について、第三者委員会は「業務の延長戦上における性暴力があった」と認定したうえで、フジテレビの対応で特筆すべきことは、「中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いた」ことだと指摘。「女性に対する二次加害行為だにあたる」と断じました。

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■「業務の延長線上の性暴力」

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
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第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「委員会は2023年6月2日に、女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退出するまでの間に起きたこと、本事案について、女性が中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定をいたしました」

当初“トラブル”と言われていた事案。第三者委員会の認定は業務の延長線上で起きた“性暴力”でした。これまで“女性”と説明されていた人物はフジテレビの元アナウンサーであることも明らかにされました。

ただし、調査は中居氏のマンションの中で起きたことについて、守秘義務の対象としたまま進められました。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「女性からは『守秘義務を解除する』というお話があったが、中居氏の側からは『守秘義務の解除を認めない』と。双方守秘義務を負っている状態で、私どもは双方に対してヒアリングをさせていただきました」

トラブルに至る詳細な状況
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報告書に書かれたトラブルに至る詳細な状況です。発端は2023年5月28日。中居氏からフジテレビの男性社員にショートメールが届きます。

「中居氏が所有するマンションで3日後にバーベキューを開催すること」「女性アナウンサーを誘って参加してほしいこと」要点はこの2つでした。

中居氏
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中居氏
「男同士じゃつまらんね。女性いるかなね。一般はさすがにね。となり、フシアナ誰か来れるかなぁ」

B氏
「アナウンサー調整してみます。何時からどこでバーベキューするイメージですか?2~3人いれば大丈夫ですかね??」

中居氏
「時間はお昼過ぎくらいかな。アナも知らない子も多く。知ってる子がいいけど。結構知らない」

こうして、以前から中居氏と面識があった女性アナウンサーAさんの名前が浮上。バーベキュー当日、中居氏のマンションに向かう車の中で、女性アナウンサーは社員から「仕事でプラスになる」という趣旨のことを言われたと証言しています。

バーベキューの後、Aさんは中居氏の求めに応じて連絡先を交換しました。そして2日後の6月2日、中居氏から食事の誘いのメールがAさんに届きます。

中居氏
「今晩、ご飯どうですか」

これに対してAさんは予定が空いていると返信。すると中居氏から次のような連絡が立て続けに入りました。

中居氏
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中居氏
「メンバーの声かけてます。また連絡します」
「雨のせいかメンバーが歯切れわるく、いないです。飲みたいですけど、さすがに2人だけだとね。どうしましょう」
「隠れ家的なお店、自信はありませんが、探してみますね」

しかし、実際には中居氏は誰も食事に誘っておらず、飲食店も探していませんでした。その後、夜になって自身のマンションでの食事を提案します。調査に対し、Aさんはこう述べています。

Aさん
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Aさん
「直前、誰も集まらない、いい店がない、それならこの前みんなでバーベキューをしたところでごはんはどうですか?と。仕事上、付き合いのある芸能界の大御所からそう言われたら、今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。社員や他のディレクターはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたから、逆らえないと思っていた」

フジテレビの産業医
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中居氏のマンションで2人きりになったAさん。Aさんから相談を受けたフジテレビの産業医は「性暴力があった」と判断し、急性ストレス反応と診断しています。

第三者委員会の結論です。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「中居氏と女性Aの関係は業務上の人間関係であったこと。仕事上の関係であって、交際関係とかではなかった。著名なタレントと入社数年目のアナウンサーで、そこには権力格差があった。フジテレビの業務の延長線上に(性暴力が)あったと認定をしています」

■「幹部が中居氏サイドに立った」

第三者委員会は、その後のフジテレビの対応についても厳しく指摘しています。

2カ月前、当時のフジテレビの幹部は会見でこう述べていました。

フジテレビ 港浩一社長(1月当時)
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フジテレビ 港浩一社長(1月当時)
(Q.国民的スターだから中居を守ろうとしたのでは)
「そういう気持ちはありません」

去年までフジテレビで専務 関西テレビ 大多亮社長(1月)
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去年までフジテレビで専務 関西テレビ 大多亮社長(1月)
「中居氏を守ろうとか、そういう意識はもうなかったですね」

しかし、第三者委員会の結論は「フジテレビの幹部が中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いた」というもの。特に問題としているのは、中居氏の依頼を受けた社員が、Aさんに見舞金として100万円を持参したことです。

調査報告書
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調査報告書
「社員はAさんの重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、Aさんの病状、心情への配慮を欠いている。Aさんに対する口封じ、二次加害行為とも評価し得る」

社員は中居氏のためにフジテレビのバラエティー部門と長年、関係のあった弁護士も紹介していました。

Aさんからのメールで状況を認識した中居氏。フジテレビの社員に次のようなメールを送っています。

第三者委員会の調査報告書
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中居氏
「また、連絡があり、接触障害(ママ)と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無くあの日を悔やむばかりと。見たら削除して。どうしようか」

これに対する社員の返事。

B氏
「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」

■「経営判断の体をなしてない」

こうした間にも、フジテレビでは中居氏の出演する番組の放送が続きました。第三者委員会は、港浩一社長らが取った一連の対応について「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と指摘。「経営判断の体をなしていない」と断じています。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
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第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「結果として中居氏の番組出演継続は間違った判断だった。間違った判断を導いたのは『編成制作ライン』と呼んでいるが、編成局長、編成担当専務取締役(大多亮)、そして港社長。この3人が編成制作の考えで、狭い考えのなかで、コンプライアンス推進室や外部の専門家に相談をせず判断をしてしまった。これが大きな間違いを生んだと考えている」

フジテレビの清水社長は…。

フジテレビ 清水賢治社長
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フジテレビ 清水賢治社長
「被害女性の心に寄り添うことができなかったどころか、本人に『会社は守ってくれない』という思いを抱かせ、『退社の道を選択するしかない』と苦しい思いをさせてしまった。被害女性をどれだけ傷つけてしまったかと思うと、本当に申し訳ない思いでいっぱいです」

(Q.中居氏に対して民事、もしくは刑事の責任を問う考えは)
「まずはフジテレビとして真っ先にやらなければならないことは改善策。その後には、あらゆる選択肢が検討には残っている」

■企業風土に問題”セクハラ蔓延”

第三者委員会の報告で認定されたことがもう1つあります。それは、フジテレビの“企業風土”に関することでした。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「役職員のアンケートでは、セクハラを中心とするハラスメントが蔓延(まんえん)している。そういう実態があったと認めている。それに対する救済メカニズム、つまりハラスメント被害を受けた方の相談・通報窓口が信頼されていない。十分に機能していないということもここで見えてきたこと」

調査から見えてきたのは「フジテレビに相談しても無駄と思わせる結果」になった、社内でのハラスメント事案でした。

報道局に在籍していた男性社員
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報道局に在籍していた男性社員。今から20年ほど前の2006~2008年ごろ、後輩女性社員2人に1対1での食事に誘い、断られると“不当な叱責を部内一斉メールで送信したり”“電話で怒鳴ったり”したといいます。

第三者委員会はこの行為が「1対1で食事に誘うものも含まれたり、職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動により、職場環境が悪化したもの」として、ハラスメントに該当し得るものとしています。

2人の女性社員は、行為者の社員から見ても上席者にあたる上司にこの行為について相談をしていました。上司は双方と複数の社員から聞き取りを行い、行為者がおおむね行為を認めたため口頭での注意をしましたが、それを女性社員が認識しておらず、当時の対応について納得するには至っていませんでした。

行為者の社員はその後、懲戒処分がなされることはなく、昇進を続け、2020年にフジテレビの執行役員に、2021年には取締役にもなっていました。今回の調査で聞き取りをされた女性社員は、声を荒げてこう話したといいます。

女性社員
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女性社員
「当時どれだけ訴えても誰も相手にしてくれなかったのに、なぜ今頃になって私の話を聞かせてくれなんて言うんですか」

■年齢・容姿で“接待要員”に

そして、社内のハラスメントについて、もう1つ。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
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第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「私どもが着目したのは、年齢・性別・容姿などに着目して呼ばれる会合が存在していると。そこに典型的にいうと、若い女性社員や若い女性アナウンサーが呼ばれることが問題だという認識」

報告書
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報告書には「取引先の歓心を得ることを期待して、年齢・性別・容姿などに着目して、いわゆる接待要員として、社員・アナウンサーを同席させ、その目的に従った振る舞いを要求すること」と記されています。

第三者委員会委員長 竹内朗弁護士
「この社内ハラスメント事案に共通していることは、会社の対応が非常に問題である。つまり社内のセクハラに非常に寛容な企業体質があった。その地続きで取引先からのハラスメント被害があったと認識」

■“日枝氏だけの問題ではない”

31日の会見を前に、経営体制の見直しを発表したフジテレビ。日枝久氏が退任するなど、刷新する動きを見せています。しかし…。

調査報告書
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調査報告書
「セクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は日枝氏だけでなく、当社の役職員全員の日々の言動から形成されたものである。当委員会は、当社の経営に対する日枝氏の影響力さえ排除すればコーポレートガバナンスが機能するかのような見方には与しない。取締役会メンバー全員が、役員指名ガバナンスを含むコーポレートガバナンス機能の強化に使命感を持ち、不断の努力を続けていかない限り、当社のコーポレートガバナンス機能の強化は図れないものと考える」

清水社長は…。

フジテレビ 清水賢治社長
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フジテレビ 清水賢治社長
「役員・社員の意識や企業風土の問題についても多くの指摘がありました。特に性別・年齢・容姿などに着目して呼ばれる会合の存在にフジテレビの人権意識が映し出されているという指摘は重い指摘です。第三者委員会の報告にありました類似事案ですが、事実確認をしたうえで厳正に対処する考えであります。経営問題については当然ながら、私も今この状況で、4月については見えていない。広告主が3月27日の人事刷新、31日の第三者委員会の報告、我々の出している改善策、これらを見て(広告主が)どのように判断されるか。そう簡単に判断が下るとは思っていない。どうやって改善策を実行していくのか。改善策を1つ1つ確実に実行して、継続的にロードマップでお見せして、確実に行って開示していく。それで初めて認められると思っています」

フジテレビで働く人は…。

フジテレビで働く20代
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フジテレビで働く20代
「前回の報道があったが、それよりもだいぶ印象は悪いというかひどいなと。自分たちより年上の人たちがそういった考えを持っている人も少ないとは言えないと思うので。そういうのが残って上の人に逆らえなかったりとか考えられる」
(Q.フジテレビは変われると思うか)
「新体制になると聞いているが、今のイメージが根強くついていると思うので、これ以上、下がりようないと思う」

■中居氏の行為「重大な人権侵害」

遠藤元一弁護士
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企業ガバナンスに詳しい、遠藤元一弁護士に話を聞きます。

調査報告書
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今回の調査期間は約2カ月で、中居氏や被害女性を含め222人にヒアリングして、報告書は394ページにも及びました。

(Q.今回の調査報告書を読んで、どんな印象を持ちましたか)

遠藤元一弁護士
「2カ月でよくここまでまとめたなという第一印象です。社内の役職員からのハラスメントにまで調査を広げたことも非常に評価していいのではないかと思います。現在の経営幹部が、かつての不適切行為を経験してきたことにも警告していることを身をもって受け止めるべきだと考えています」

(Q.“業務の延長線上”における性暴力であったと認められたことをどう評価しますか)

遠藤元一弁護士
「被害女性のAさんが業務の延長線上と認識せざるを得ない状況があったと。守秘義務は解除されていないとしても、客観的なところから認定しました。女性にそう思わせてしまうような要因がフジテレビにあったと読み取れます。これはフジテレビの重い責任の要素の1つになると考えています」

問題の発端となった中居氏と女性とのトラブルについて、報告書では厳しい指摘が行われています。

第三者委員会の報告
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【第三者委員会の報告】
▼中居氏の行為は重大な人権侵害

▼中居氏と女性の間には圧倒的な権力格差が存在。“業務の延長線上”における性暴力であったと認められる

▼被害女性のケア・救済の観点からも、フジテレビの対応は不十分

第三者委員会の報告
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中居氏の番組起用の継続について
▼港元社長ら幹部3名が、女性に命の危険が生じることを恐れるあまり“思考停止”に陥り、現状を変更しないことを決定し“責任回避”をしようとしていた

▼港元社長らが「プライベートな男女間のトラブル」と“即断”していて、対応を誤る大きな要因になった

■「事後対応が不十分」なぜ起きた

(Q.企業ガバナンスの観点から、フジテレビの事後対応でどこに大きな問題があったと思いますか)

遠藤元一弁護士
「まずは人権侵害を疑われるような非常にクリティカルな問題だという認識が全く欠けていると。テラスハウスやジャニーズ、松本人志など色んな問題をフジテレビ自身は経験しているはずで、そのなかで人権に対する対応をきちっとやらないと危機的状況に陥ると学習すべきでした。経営陣を含め、この会社がそれを認識できていなかったことが非常に問題だと思います」

(Q.グループとして人権方針を策定・公表しているのに今回の事態が起きるというのは、それが機能していなかったことになりますね)

遠藤元一弁護士
「人権方針を策定・公表しているのであれば、フジテレビが方針に準じて人権に対する対応をしているかどうかをホールディングスが見なければならない。そこもサボタージュされていることも含めると、ホールディングスの役員の責任も軽いものではないと思います」

■「人権意識低い」企業体質なぜ

調査ではフジテレビで類似事案もあったことが判明しました。

“類似事案”の判明
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【“類似事案”の判明】

▼フジテレビの一部には、社員・アナウンサーらが会合において性別・年齢・容姿などに着目され、利用されていた実態はあったというべきであり不適切

▼人権意識が低く、セクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質がある

フジテレビの企業体質
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【フジテレビの企業体質】

▼過去にハラスメント問題があった者が、役員や局長など幹部にいるため、被害を訴えづらい

▼役員指名は会長または日枝氏の“ブラックボックス化”した透明性と公平性を欠いたもので、取締役としての適性に懸念がある者がいた状態

▼こうした人事が今事案の“発生”と直接、結び付くとは言い難いが、取締役の稚拙な対応の一要因であることは否定しがたい

(Q.最大実力者とも言われた日枝氏にも言及していましたが、どう思いますか)

遠藤元一弁護士
「日枝氏に対する言及は、社会・取引先も含めて関心が高いので、ここに触れたのは必然だと思います。ただ、文量が思ってたほどなかった。それはなぜかというと、そもそも人権問題を軽視する発端は日枝氏だったのか。いつから始まったのか。それは今回の調査では調査しきれていないので、文量が多くなかったと。ただ、日枝体制が作り上げたものが、今のフジテレビの前提をなしていることについて、重い一言を示していると感じました」

(Q.フジテレビは調査報告に先立って役員人事を刷新すると発表しました。フジテレビは根本から変われると思いますか)

遠藤元一弁護士
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遠藤元一弁護士
「形式は非常に先駆的な形で、いわばパラダイムを転換したんだと思います。年齢・性別・バックグラウンドを含めた専門性、色んなメンバーを取締役に専任。執行役員には現場をよく知る人たちを集約するという形は整ったと思います。問題は、実際にガバナンスを機能させる、生まれ変わらせるだけの努力を継続できるのかどうか。経営トップが今回、こういう形をどういう目的で作ったかを、中間管理職を含めた現場の社員と何度もやり取りをしたうえで、現場に浸透させる。それがない限りは難しい。継続的な努力を今後やっていくことが期待されるべきだと思います」

(Q.第三者委員会の報告は再生のための第一歩に過ぎないということですか)

遠藤元一弁護士
「そうですね。第三者委員会に提示された再発防止策、あるいは原因分析を含め、1つ1つ検証したうえで、どこを改善すべきかを積み上げていく必要があると考えています」

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