
「シニア限定」で預金金利を上乗せする金融機関が相次いでいます。背景には何があるのでしょうか?
【画像】銀行が金利上乗せで預金を集める理由は? 日銀「マイナス金利」解除が引き金
■日銀のマイナス金利“解除”引き金に
永和信用金庫のパンフレット
「55歳以上の方、プラス0.3%」
SBI新生銀行のホームページ
「60歳以上なら、金利が約2倍」

さまざまな金融機関に広がる「シニアだけ」のうたい文句。都内にあるインターネット銀行も、その一つです。
auじぶん銀行 白井貴之調査役
「キャンペーン開始後、好調に推移していて、預入金額は当初計画の約4倍のペースで進捗(しんちょく)しています」

auじぶん銀行が今月11日に始めたのは、通常は「年0.5%」という5年もの定期預金の金利を55歳以上は「年1.05%」にするキャンペーンです。
なぜ「シニア限定」なのでしょうか?
白井調査役
「シニア客は退職金や年金などでお金を多く持っているケースが多い」

早速、100万円を預けたという人はこう話します。
100万円を預金した人(59)
「年1万円弱の利息になる。『金利ある時代』になって、定期預金も資産運用の選択肢に。為替の影響を受けない、元本が減らないところが魅力」

一方、銀行が高い金利を付けてまで預金を集める理由は?
白井調査役
「(日銀の)『マイナス金利』解除があり、各銀行が金利を上げてきた」

2016年に始まった「マイナス金利」政策の下では、銀行が集めた預金額のうち貸し出しなどに回らない余剰分にマイナス0.1%のペナルティーがかかっていました。
しかし、去年3月に植田総裁が「マイナス金利」を解除したことで、預金を集め過ぎるリスクが小さくなったのです。
白井調査役
「貸し出しが収益につながりやすくなった環境で、どこの銀行も基本的には預金を集めたい状況」
■“終活”で口座集約の動き加速

別の理由を挙げる金融機関もあります。

客の6割がシニア層だという信用金庫。背景にあったのは、人生の終わりに向けて準備する「終活」の一環で、不要な口座を解約する高齢者の存在でした。
城南信用金庫 林稔理事長
「若いころは金融機関を分散して使うものですが、お年寄りの方はまとめておいた方が楽だと。預金(口座)の集約を考えている客が増えている」

銀行にとっては、その選ばれる口座になるかどうかで預金を「総取り」するか「すべて失う」か、重大な分岐点に立たされているのです。
林理事長
「シニア層の預金は(相続で)次世代にもつながっていく預金なので、将来的にも安心して取引できるように金利を設定している」
(「グッド!モーニング」2025年4月22日放送分より)
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