来月に改正戸籍法が施行 氏名の「フリガナ」登録義務化へ 郵送される通知書で確認を
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 これまで本籍地が記された戸籍には、氏名のフリガナは記載されていなかったが、来月に法律が改正され、記載が始まる。街の人はどのように感じているのか、聞いてきた。

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■氏名の読み方分からず困惑も

個人を特定しやすくなり誤りを防ぐ
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 来月26日に施行される改正戸籍法。法務省はフリガナ記載によって個人を特定しやすくなり、誤りを防ぐことができるとしている。

 街で話を聞くと、読み方が難しい氏名の人が多くいた。

大学生(19)
「碓氷昂生と書いて、うすいこうせいと読みます。初対面で『この漢字なんて読むんですか』と聞かれたりします」

大学生(18)
「ちひろです。千に煌めくと書いてちひろって読むんです。学校の最初の授業で点呼とかあるじゃないですか、あのような時に絶対に読まれないですね。ちあきとか、当てずっぽうで呼ばれたりしますね」

 そして、友人の氏名の読み方が分からず、困惑したという人たちもいた。

中学生(14)
「東に風と書いてこちと読む人がいます。出席とる時に、初めて見ると読めないということがある」

大学生(18)
「一と書いてぜろと読みます。初めましての時にクラスとかで呼び方が分からなくて、みんな困っていました。はじめ君と呼ばれていました」

■通知書郵送で確認…疑問の声

 難しい読み方の氏名が多いなか、これまで記載されていなかったフリガナがようやく記載されることになる。

確認方法は通知書郵送
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 その確認方法は、フリガナが記載された通知書を国内に住む日本国籍を持つ人に郵送して行う。この郵送について疑問の声もある。

20代
「マイナポータルなど色々できているから、外国とかもデジタル化で手続きできることが多いのに、なぜ紙なのだろうと思います」

 「安」「見」「子」と書くあみこさんはこうに話す。

40代
「マイナンバーなども作ったので、電子の申請でもいいんじゃないかと。何のためにマイナンバーを作ったかと思う」

補正予算で213億円を計上
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 政府はこの改正戸籍法のため、2024年度の補正予算で213億円を計上している。

■登録不記載から方針転換

記載する義務は法律上ない
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 街で聞いてみると、さまざまな意外な読み方をする名前もあったが、これまで戸籍に氏名の読み方、フリガナはなぜ登録されていなかったのか。

 番組では、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。

 そもそも名前の読み方は子どもが生まれた際、出生届に記載して役所に提出する。

 しかし、明治時代に制定された戸籍法以来、名前は漢字で管理してきたため、戸籍や住民票にフリガナを登録・記載する義務は法律上ないということだ。

 戸籍にフリガナの記載はないが、出生届をもとにフリガナを記載した住民票を発行している自治体もあるそうだ。

 また、住民基本台帳で住民票を検索する際、フリガナが活用されているという。

「官公庁発行の証明書にフリガナ記載はない」
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 こうしたことから、免許証、マイナンバーカード、パスポート、国民健康保険の保険証にもフリガナは記載されていない。

 正木弁護士によると「フリガナを行政側はデータとして記録する義務がなかったため、官公庁が発行する証明書にはフリガナは記載されていない」という。

■フリガナ巡り過去トラブルも

フリガナ巡り起きたトラブル
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 ただ、このフリガナを巡ってはこれまでトラブルも起きている。

 2020年、新型コロナの拡大を受け、政府は国民に一律10万円を給付する特別定額給付金を実施した。

 その際、政府は手続き効率化のため、マイナンバーカードを使ったオンラインでの申請を推奨していた。

 しかし、振り込まれる銀行口座の名義はカタカナで記載されているにもかかわらず、肝心のマイナンバーカードには氏名のフリガナ登録がされていないため、確認に手間取って、一部の自治体ではオンライン申請を取りやめる事態となった。

 また、2007年のいわゆる“消えた年金問題”では、紙の台帳からオンラインにデータを移行する際に、氏名の読み方が誤って登録されたことも原因の一つとなった。

フリガナ登録の義務化なぜ?
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 戸籍にフリガナの登録が義務化されたことについて正木弁護士は、「個人情報を一元管理するシステムの構築を進めながらも、戸籍にフリガナを追加する作業は膨大な労力が必要なため、システムの限界がくるまで目をつむっていたのだろう。また、読み方が難解な、いわゆる『キラキラネーム』が増えてきたことも、戸籍にフリガナの登録を義務付けた一因なのではないか」としている。

■郵送される通知書で確認を

本籍がある自治体から送られてくる通知書
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 来月26日の法律の施行に伴って順次、通知書が送られてくる予定だ。

 出生届を元に、戸籍に登録される予定のフリガナが記載された通知書が届く。これは本籍がある自治体から送られてくるため、必ずしも今住んでいる自治体からとは限らない。

 フリガナに間違いない場合は、特に何もする必要はない。ただ、もし間違いがある場合は、届け出る必要があり、マイナポータルのほか、郵送や市区町村の窓口で手続きを行うことができる。期限は来年の5月25日までとなっている。これまでに確認をしないと、誤ったフリガナで登録されてしまう恐れがあるそうだ。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年4月22日放送分より)

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