
21日、スーパーのコメの平均価格が発表され、15週連続で最高値を更新した。その一方で政府が放出した14万トンの備蓄米について、先月末までにスーパーなどの小売店に渡った流通量がわずか0.3%だったことが分かった。
■備蓄米はどこへ?

21日に発表されたスーパーのコメの平均価格は5キロ4217円。15週連続の値上がりで過去最高を更新した。
SNSには「税込み5918円。もはや5キロは買えなくなりました」という声が。

なかには5キロ税込み6000円を超えるコメも。
高値を付けざるを得ないという大阪府のスーパーでは、このような声が聞かれた。

フレッシュマーケットアオイ
内田寿仁社長
「在庫がなくなるよりは、とりあえず高いけれども仕入れておこう。問屋さんも在庫がどんどんと減っているようですし」
店頭に並ぶコメを見るとあきたこまちや、つや姫などのブランド米は軒並み税込み6000円を超えている。

内田社長
「(Q.備蓄米は届いている?)今のところは一度も入荷したことがありません」
このスーパーでは政府が備蓄米放出を決定後、備蓄米の入荷を依頼していたが4月後半に入りようやく入荷のめどが立ったという。
内田社長
「私どもが売らせていただいているおコメよりも1000円近く安いですので、備蓄米に出会えたお客様は喜んでいただけるかなと思います」

農林水産省は初回の政府備蓄米放出分について先月の流通状況を発表。初回の入札による放出分はおよそ14万トン。そのうち3月17日~30日までにスーパーなど小売店に渡ったのは426トンと、全体のわずか0.3%だった。

江藤拓農林水産大臣
「備蓄米倉庫も東北に多く存在するということも事情としてあり、3月、4月というものは特に人事異動の時期であったり、トラックの手配が難しかったりする部分もあったんだろうと思います」
「スムーズだというふうに私として申し上げるつもりはありません」
■入荷のあり・なし 違いは?
備蓄米が一度だけ入荷されたという奈良県のスーパーでは。

スーパーヤオヒコ
更家篤商品部食品部長
「今現在はですね、常に注文はしているんですけども(備蓄米は)入荷がない状況ですね」

5日に備蓄米5キロ500袋を入荷。税込み3435円、1家族1袋に制限したものの、わずか3日で完売。備蓄米の次回入荷は5月下旬の予定だが、他のブランド米も去年に比べ7割程度しか入荷できず、高値が続いているという。
更家商品部食品部長
「何とか備蓄米を手に入れて。今現在、本当に家計が苦しいですから。備蓄米が入った時にはですね、販売させていただきたいなと思っております」
一方、週1回のペースで備蓄米を入荷している福井県のスーパーでは、このような声が聞かれた。
Aコープやしろ店 山上剛副店長
「かなり好評でして、4月10日に100袋、それがもう15日の午前中になくなってしまって。17日の木曜日には150袋入荷して、今残りも50袋ぐらいですかね」

これまで2回、備蓄米を入荷。21日も店頭には積み上げられた備蓄米があった。5キロ税込み3434円で販売している。
山上副店長
「7月の夏ぐらいまで、今のところ卸業者も量的には持ちそう」

備蓄米のおよそ94%をJA全農が落札。残り6%のうちおよそ2%をJA福井県が落札したため、JAグループであるこのスーパーでは定期的な入荷ができているという。
■コメ農家「消費者の皆さんに安心を」
千葉県東庄町では早くも田植えが始まっている。

コメ農家
多田正吾さん(67)
「ふさこがねという早場米」

東庄町で東京ドームおよそ17個分、80ヘクタールの水田でコメを作る多田さん。通常より早いお盆の時期に収穫できる早場米のふさおとめや、ふさこがねを作っているが、今年は田植えを1週間早めた。
多田さん
「(Q.田植えは例年に比べて?)1週間早い」
「コメ不足だから、早く消費者に届けたい。消費者の皆さんはコメ不足で心配してますけど、なんとか8月10日には新米ができます」
田植えを早めたことで、例年より早くお盆の前に収穫できるという。
多田さん
「早場米の産地として責任持って、消費者の皆さんに安心を与えるために」
■資材が高騰「コメ不足は深刻化」
コメを作って33年。コメ不足に対応するため今年、初めての試みがあった。

多田さん
「今までは8割畜産の餌(えさ)」
「(Q.今年から割合は?)今年、8割主食用」

去年まで作っていたコメの割合は、畜産用の飼料用米が8割、主食用米が2割。しかし、今年は主食用のコメを8割に増やした。
多田さん
「飼料用の(コメの)種は捨てる。800キロ捨てます。消費者の皆さんのために取り換えた」
去年のおよそ4倍となる主食用米360トンを出荷する予定だ。

多田さん
「(Q.早場米は例年いくらで取引?)だいたい(1俵・60キロ)1万2000円」
「(Q.今年、いくらくらいになると?)うわさでは3万円とか。(コメ農家は)高いのは良いけど、消費者だって敬遠する。消費者は(スーパーなどで)3000円(5キロ)の目安をもって、消費者もコメを食べてもらいたい」
備蓄米を2回放出してもなお、高値が続く状況は変わっていない。
多田さん
「(価格を)下げるのには出すしかない。新米ができてきたら(放出を)やめといて、また足りなければ放出」
コメ農家の生産量を増やすこともコメ不足解消の1つ。しかし…。

多田さん
「コメ作りも減ってる。機械が高いから。資材が高騰。資材費を補填してほしい。年取ってくると、ぼつぼつみんな…」
「5年、10年後にはコメ不足は深刻化する」
■韓国産米、過去最大輸出へ

日本がコメ不足のなか、韓国のスーパーマーケットではある異変が。ずらりと並んでいる韓国産のコメをじっと見つめているのは日本人観光客。
日本人観光客
「日本の値上がりする前の値段だなと思って」
コメの写真を撮り、家族に送ると…。
日本人観光客
「コメが欲しいって来ました」

夫
「発送するんや」
息子
「お米欲しい笑」「ない」
こちらのスーパーでは、コメ10キロがおよそ3000円で売られていた。
日本人観光客
「安くない!?」
「安いよね」
「そうか、日本に買って帰って食べればいいんだ」
持ち帰るには検疫手続きなどの手間がかかるが、今月からコメを購入する日本人観光客が増えているという。

韓国からコメを輸入する動きも出ている。日本にある韓国の食品関連会社が来月以降、韓国からコメ20トンを輸入する予定だという。

先月、輸入したコメ2トンを販売していて、価格は4キロ4104円。韓国から日本へのコメの輸出量は1990年に統計を取り始めて以来、最大となる見通しだという。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年4月22日放送分より)
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