
トランプ関税にどう向き合うのか。政府内でアメリカ産のコメの輸入拡大案が検討されていますが、前途は多難のようです。
【画像】トランプ大統領、コメに関して誤った認識「700%の関税をかけている」
■トランプ関税、日本の交渉カードは?

全米各地でトランプ大統領に抗議するデモが続いています。

就任して3カ月、50%を超えていた支持率は下がり、代わって不支持率が50%を超えました。要因はさまざまですが、一つあるのは経済問題。不透明感は増しに増し、株価は今月に入り、乱高下しています。
そんななか、トランプ大統領が攻撃の矛先を向けるのは、日本で言えば日銀総裁にあたる、FRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長です。

トランプ大統領
「物価は下がっている。上がっているといっているのはフェイクニュースだ。下がっていないのは金利だけだ。何をすべきか分かっているFRB議長がいれば、金利は下がっているはずだ」
トランプ大統領は、景気を刺激するために金利の引き下げを要求。パウエル議長の解任もちらつかせています。ただパウエル議長は、引き下げには慎重です。その訳は?

パウエル議長
「関税は一時的にインフレを引き起こす可能性が非常に高く、それが長期化する恐れもある」
トランプ関税の影響がどう出るか、まだ見えていないからです。
世界中が見えていません。

自民党 小野寺五典政調会長
「現在、トランプ関税の影響が出ている部分もございますが、問題は本格的にこれからだと思っています」

自民党は22日、日本を関税の対象から外すために外交手段を駆使するよう石破総理に要請しました。来週には、赤沢経済再生担当大臣とベッセント財務長官らとの2度目の協議が予定されています。
政府内で浮上しているのは、アメリカ産のコメの輸入拡大です。石破総理の側近の一人は…。
石破総理の側近
「コメは選択肢に入るだろう」
また別の側近も…。

石破総理の側近
「コメが交渉のテーブルに乗る可能性はゼロではない」
■農水省大臣反発「国益なのか?」
ただ、ことは簡単に進みそうにありません。佐賀県伊万里市で開かれた農協の集会。そこには、参議院の農林水産委員長を務めた自民党の山下雄平参院議員の姿がありました。

JA伊万里 田代直樹組合長
「今一番話題になっているのはコメの問題。ニュースになっているのはトランプさんの関税。相互関税とかいろいろ出ている。ぜひしっかりとその点について交渉していただいて、農業に影響がないようにしていただきたいと思っております。山下先生、ぜひ、よろしくお願いいたします」
農協の組合長からは釘を刺され、地元の農家からも。
コメ農家 百武彰規さん
「コメはやはり日本の食であるんで、やはり日本で作ったやつを日本の方に食べていただきたい」

山下参院議員
「我が国の食と農を守れるような政権であるべきと言い続ける」
百武さん
「ダメだったら(選挙に)落ちないといけないですね」
山下参院議員
「そうならないように、ちゃんと一生懸命やっていますので」
現役閣僚も反発しています。

江藤拓農水大臣
「大量に主食である、しかも自給可能なコメを海外に頼るという体制を築いてしまって、日本のコメの国内生産が、大幅に減少してしまうということが国益なのかと」

そもそもトランプ大統領はコメに関して「友人である日本は700%の関税をかけている。コメを売らせたくないからだ」と誤った認識をしています。
コメは交渉カードになり得るのでしょうか。

政治部 佐々木一真記者
「ポイントは7月に参院選を控えていることです。自民党は歴史的に農業票を重視してきたので、コメの輸入拡大となれば厳しい抵抗が待ち構える。一方で、ある政府関係者は仮に農産品を交渉カードにする場合は、今後トランプ関税の影響でアメリカ経済が悪化するので、ダメージが広がってアメリカが困ってから農産品カードを切った方が効果的との見方も示している」