
中国・上海で世界最大級のモーターショーが23日、開幕しました。
【画像】中国とEU“関税撤廃”の議論へ…EV車めぐり米中で明暗 上海モーターショー開幕
■世界最大級モーターショー開幕

世界で400万台以上を販売するEV=電気自動車メーカーのトップブランド『BYD』
■“充電5分”バッテリーの進化
成長著しい中国メーカーがしのぎを削るのは“スピード”ですが、クルマの速度ではありません。
BYD担当者 「寒い地域での充電スピードを53%向上させました。中国ブランドが電気自動車で世界をリードします」

キャッチフレーズは『油電同速』これは、給油と同じスピード感で充電できるということです。
BYD担当者 「この“フラッシュ充電”は、BYDのなかで最も重要な技術です。400キロ分の電力を5分間で充電できます。5分の充電で、上海から南京まで楽にいけます」
充電の早さには、自動車ジャーナリストも驚きです。

ハンガリーの記者 アンドラシュ・シュラビー氏 「まさに未来の一翼を担う技術ですね。個人的には、会場で一番の衝撃でした」
■日本メーカー 新型車で巻き返し
現地メーカーの圧倒的な攻勢に中国での販売に苦戦する日本のメーカーは。
井上圭太朗記者 「トヨタは中国人技術者が開発した車を発表しました。研究開発の拠点も中国に移すとしていて、商品開発の現地化を進めています」

トヨタは、単独で上海に新工場をつくり、『レクサス』ブランド10万台の生産を目指しています。


中国市場の不振などで下方修正したホンダも、新型EVに中国のAI『DeepSeek』を搭載。日産は、プラグインハイブリッドのピックアップトラックを発表し、反撃ののろしを上げます。
EVや自動運転などが発達し、“100年に一度の大変革期”とも呼ばれる自動車業界。
■テスラ7割減益 不買運動響く

華やかな展示会の裏では、アメリカのEV先駆者『テスラ』が22日に決算を発表。1月~3月期の純利益は、前の年と比べて7割減となりました。イーロン・マスク氏が、トランプ政権の仲間入りをした影響は小さくなかったようです。
追加関税を発動するなど、アメリカ市場の見通しづらさは、一層、増しています。
■EUとは“関税撤廃”の議論へ
そんななかで芽生えた新たな動き。それは、中国とヨーロッパの接近です。

中国メーカー立ち上げた新興ブランド『Zeekr』現在、40以上の国・地域へ輸出し、急成長しています。高級志向で、狙うターゲットはヨーロッパです。
欧州の名だたる自動車メーカーのデザイナーとして、長年活躍し、4年前にZeekrに合流したジーラフ氏。

Zeekrデザイン責任者 シュテファン・ジーラフ氏 「市場ごとの規制に適合するようデザインを含め、自動車を開発している。Zeekrは、欧州市場だけでなく、全世界で成功すると確信している」
近づいているのは、民間企業だけではありません。

去年、EUは、中国の自動車に追加関税が課してました。補助金によって、不当に市場をゆがめたからという理由でした。しかし、EUと中国は、今月、関税撤廃の議論を目指すことを発表しました。
■パリ市民「先入観なく」購入へ
ルノーやプジョーといったメーカーがひしめくフランス。
神志那諒記者リポート 「パリのシャンゼリゼ通りから1本入ったところにBYDのショールームを兼ねた販売店があります。2階建てで、広さは600平方メートルあります」
年間100万台の乗用車が生産される国に構えたBYDの店舗。

店舗責任者 エリック・ボーダン氏 「当初、BYDは、まったく無名のメーカーだったので、消費者も好奇心で訪れていた。最初は好奇心で、やがて品質を理解すると、BYDと欧州車を比較対象として受け入れた」
中国メーカー側は、販路の拡大ができ、ヨーロッパ側は、EV技術でおくれを取っているなかで、EU域内に先端技術の工場が建設されるなどの恩恵もあります。

経済専門家 アンヌ=ソフィー・アルシフ氏 「トランプ氏の登場と関税により、カードの切り直しが起きている。中国は、生産能力過多の状況で、製品を売るために輸出市場に活路を見いだそうとしている。これまでは、アメリカ市場だったが、高すぎる関税でダメになった。当然、中国は、購買力の高い5億以上のEU市場に関心が移る」