備蓄米3回目「卸→卸」OKで、値段はどうなるの?
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 3回目となる備蓄米放出は流通のルールが変更されます。これでコメの値段は下がるのでしょうか。現場を取材しました。

【画像】3回目の備蓄米放出 流通のルールが変更

■3回目の備蓄米入札は“ルール変更”

江藤農水大臣
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 江藤農水大臣がほおばるのは、政府の備蓄米。これまでに21万トンが放出された備蓄米。ただ、卸売業者からは悲痛な声が…。

サプライズ・マスダ 増田善光代表取締役
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サプライズ・マスダ 増田善光代表取締役
「備蓄米は、基本的には、まずは大手(卸売業者)から流れてくる。どうしてもその系列。JAの系列のAコープとかスーパーに流れてくるので。なかなか回ってこない」

 これまでも、流通の偏りは複数の卸売業者から指摘されてきました。そのため、3回目の放出から備蓄米のルールが変わります。

 これまでは、入札に参加できるのは集荷業者。そこから取引のある限られた卸売業者を通じて、小売店に届く流れでした。

卸売業者間の売買を解禁
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 今回からは、流通の偏りを是正するために、卸売業者間の売買を解禁。より多くのルートで流通させる狙いです。

 では、現場はどう変わるのでしょうか?

増田代表取締役
「こちらは追加で確保できた玄米。在庫数は少ない」

 都内で学校給食などに米を卸す増田さん。去年は、農家からの買い付けが例年の6分の1に。備蓄米も買えていません。

「(コメの)量は安定するのかなと」
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増田代表取締役
「1週間に5~10本(150キロ~300キロ)くらい精米して消費していく。(倉庫にあるのは)70本(2.1トン)ないくらいなので、10本(300キロ)ずつ使っていったら7週間くらいでなくなっちゃう。備蓄米が入れば、その分だけ(コメの)量が単純に増えるので、市場としては(コメの)量は安定するのかなと」

 都内のスーパーでは、コメ5キロで約4000~5000円で販売されています。

 コメの高値に買う側もシビアです。男性が買ったのはブレンド米。

ブレンド米を購入した人
「(Q.いくらのコメを買った?)3500円」
「産地は関係ない。値段で買っている」

40代
「どんどん見るたびに高くなっているので。目を伏せたいぐらい高くなっている」

 そんななか、このスーパーに初めて備蓄米が入るという知らせが。

届いたFAX
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スーパーさんよう 阿部芳邦取締役
「(Q.これが届いたFAX?)備蓄米、特別に出ますよと。急きょ、入る予定ですと連絡はもらってる。(66袋)でお願いした」

 来週入荷する備蓄米は5キロ66袋。その価格は…。

スーパーさんよう 阿部芳邦取締役
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阿部取締役
「(店頭価格は)3000円中盤あたり」

 備蓄米について客は…。

70代
「500円くらい違ってたら飛びつく」

70代
「備蓄米買っちゃうな、安かったら」

 一方で、今回のルール変更についてスーパー側は。

「そこまで期待できる数量ではない」
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阿部取締役
「(Q.卸売業者間での売買で変化は?)数量が数量なので。そこまで期待できる数量ではない」

 備蓄米放出後も上がり続けるコメの価格。卸売業者の増田さんは、卸売り業者同士で取引できることで逆に価格が上がるといいます。

「経費はのってくる」
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増田代表取締役
「梱包(こんぽう)代で人件費がかかることを考えれば、経費はのってくる。僕が卸業者だったら、そこにかかった経費はのせたい」

■“3回目の備蓄米”価格どうなる?

 一方で、専門家からはうれしい声が。

価格は下がる?
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日本総合研究所 チーフスペシャリスト
三輪泰史氏

「下がるんじゃないか」

 備蓄米が安くなる、だとすれば、どれくらい安くなるのでしょうか?

「50円とか100円ぐらい下がるのでは」
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三輪氏
「第1回、第2回のところでも、3500円~3700円ぐらいのものがたくさん見られた。今回、それよりも50円とか100円ぐらい下がるのでは」

 5キロあたり3500円前後と、これまでより安くなるといいます。その理由が…。

三輪氏
「今回は古米が中心になる。商品価値は今までより低いものになる。最初の値段が安めに設定されるだろう」

放出分は2023年産の古米
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 3回目の放出分は2023年産の古米。流通コストが上がっても、それ以上に値段が安くなるといいます。

江藤農水大臣
「きょうは令和6年産、5年産、今後、放出が予定される令和4年産。3つを用意した」

 農水大臣は、24日に報道陣と過去3年分のコメを食べ比べて味をアピール。

コメを食べ比べて味をアピール
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江藤農水大臣
「食べ比べをしたが、 私は分かりませんでした。私が分からないといっても…『江藤が言っていることは信用できない』という人もいるかもしれない」

 消費者は選ぶのは味か安さか?注目が集まります。

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