加工品を含むすべてのウナギ EUがワシントン条約で輸入規制案を提案準備
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 古くから日本人に愛されてきた「うなぎ」に、さらなる価格高騰のピンチです。ワシントン条約の国際取引規制の対象になる可能性が浮上し、町のうなぎ店や消費者から悲鳴が上がっています。

【画像】関東風「五右衛門蒸し」 皮目をカリッと焼き上げる関西風 国産だけを使った「八べえ」のうなぎ

■うなぎ輸入規制のピンチ

国産だけを使った「八べえ」のウナギ
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 暑くなってきたこの季節、食欲をそそられるのは炭火でこんがり焼き上げた、ウナギのかば焼きです。

 創業40年を超える、うなぎの「八べえ」。国産うなぎのみを使い、「五右衛門蒸し」という方法で蒸焼きにした関東風に、蒸さずに皮目をカリッと焼き上げる関西風も味わえる人気店です。


「おいしいです。フカフカして」
「季節の変わり目でちょっと疲れている時に食べたい」

「シラスウナギが大豊漁」
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 今月には、日本一の養殖うなぎの産地・鹿児島から「シラスウナギが大豊漁」との知らせが届き、価格低下への期待が高まっていたのもつかの間、うなぎ店では業界を揺るがす事態に困惑していました。

八べえ 二代目 山崎裕八さん
「困ります。それが実現されてほしくない」

ワシントン条約で
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 懸念しているのは、絶滅の恐れがある生物の取引を規制するワシントン条約を巡る動きです。EU(ヨーロッパ連合)が、ニホンウナギを含むすべての種類のうなぎの国際取引を規制する提案を準備していることが分かったのです。

山崎さん
「伝統的なウナギを食べる習慣、うなぎに携わる漁師、養殖する人も、うなぎ店も全部だめになる。(輸入規制)になると」

■流通量激減で価格高騰に?

加工品を含むすべてのウナギが対象
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 EUの提案では輸出する国に許可書の発行を義務付ける方針で、稚魚の「シラスウナギ」だけではなく「かば焼き」などの加工品も対象になります。国内の供給量のうち、およそ7割を輸入に頼っているうなぎ。仮に提案が認められれば、大きな影響も…。

大きな影響も
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うなぎの保全に詳しい 中央大学 海部健三教授
「提案され可決された場合、輸入されている7割強のうなぎが規制の対象になる。流通量はおそらく減少すると考えられる。流通量が減少すれば価格が上昇することが予測される」

高止まり
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 15年ほど前には1キロ2000円台だったうなぎの価格は、その後、一気に高騰し、近年は5000円ほどで高止まりしている状況です。

海部教授
「すでにうなぎの値段が相当高くなっている状態で、需要がそこまでついていけるのかという問題も生じるだろう」

八べえ 二代目 山崎裕八さん
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 今年に入り7年ぶりに値上げをしたという、うなぎ店「八べえ」。さらなる仕入れ価格の高騰は避けたいのが本音です。

山崎さん
「今年、値上げさせてもらった。コメの値段も上がっているので、もう耐えられなかった。(EUの提案を)とにかく止めてほしい。政府になんとか頑張ってほしい」

水産庁は
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 水産庁は、「すでに二ホンウナギの資源管理を行っている」として、EUに対し提案の見送りを働きかけていく方針です。

(「グッド!モーニング」2025年4月27日放送分より)

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