小池都知事
【映像】怒りをあらわにし反論する小池都知事(実際の様子)
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 小池百合子東京都知事が5日午後の会見で”都の税収を地方自治体へ再分配する仕組みを強化する”との一部報道について「きわめて不合理である」と強い口調で反論した。

【映像】怒りをあらわにし反論する小池都知事(実際の様子)

 記者から小池都知事へ「国で行われている税制改正の議論についてうかがいます。地方税収が東京都に偏在していると位置づけて、都の税収を他の自治体に再配分する仕組みを強化すると報道があった。この動きに対する東京都の主張を改めてお聞かせいただきたい。併せて報道では都民個人も納めている固定資産税も検討の対象になると報じられているが見解もお聞かせください」と質問が出た。

 それに対して小池都知事は「法人2税、固定資産税、どちらにせよ都の税収を収奪するーいわゆる偏在是正措置と言ってますけれど、これは地方分権に逆行する極めて不合理なものだと考えています。言うまでもありませんが、現在行われている法人2税、毎年1.5兆円もう国にすでに奪われている。これは本来都民のために使われるべき法人2税であり、それが地方に分配されているということであります。今回、固定資産税の5文字が出てきたが、これについては土地や建物などの資産価値に応じて行政サービスの対価として都民の皆様方にご負担いただいてまして市町村税となっております。固定資産税というぐらいですから固定してそこにある、東京にある、ということ。こうして都民の皆様方にお納めいただいている税金でございます。東京を狙い撃ちにするがごとく一方的に収奪して他の自治体に分配するということは、もはや地方税制・自治の根幹を否定するものに他ならないと思います。以前も申し上げているように一般財源額で申し上げると、人口一人当たり全国平均22万9千円で都はほぼ同水準の23万8千円でありまして、『偏在』と言うならば、『どこに偏在があるのか』と申し上げたい。都はこれまでも国がなかなか実施できない、高校授業料や給食費の無償化など国の責任において実施すべきものを先駆的に取り組んでまいりまして、それが全国に広がっているということ。まさに先駆的に行っております」と述べた。

 さらに「私も国でこういったことを、チルドレンファーストの政策を打ち出そうと様々な勉強会を開いたりと動きを取っていましたけれども、とにかく各省庁がずらーっと担当者が並んでですね、ほんとうに縦割りでにっちもさっちもいかない。その結果、『少子化で大変だ大変だ』と言っているわけです。時間はありません。今おこなっていかなければ母の数が少なくなってどうやって少子化を解決するのか。それをプラスに転じさせていくのか。プラスに転じさせるということについては、出産にしても結婚にしても個人の自由ではありますけれども、しかしその環境を整えるということで東京都はチルドレンファーストを徹底してやってきた、兵力の逐次投入ではなくて、この都民の側からその思いをしっかりと受け止めて共感を抱いてもらえるような様々な工夫をしてまいりまして、今年の上半期1~6月期で10年ぶり+0.3に出生数が転じたわけであります」と話した。

 続けて小池知事は「他の道府県も税収が実は上昇にあるんですね。国の税収もそうであります。にも関わらず都から税収を奪う議論が巻き起こること自体、そもそも地方交付税の制度、破綻に瀕しているということを言っているのではないか、他ならないのではないかと思います。一度記者の皆さまも改めて地方交付税制度をお調べいただければと思います。東京を狙い撃ちをして、そして限られたパイを奪い合う。これでは成長戦略とは言えないのではないのでしょうか。成長するところを共に伸ばしていくことが今政府がおっしゃっている成長戦略そのもので、パイの奪い合いをしている限りは成長はないということ。わが国の未来はどうなるのか、日本の成長を促すためどうあるべきなのか、地方交付税の話にしても根本的にですね、改めて破綻している状況を確認していただきたいとこのように思います」と語った。

 政府・与党は、東京都とそれ以外の46道府県で財源の格差が広がっている問題で、地方法人税や固定資産税の制度見直しによる是正策の検討に入った。東京都のみに納税する大企業の増加などが格差の拡大につながっていることから、法人事業税の制度の一部を見直す案が検討されている。また、東京23区を中心に地価が大幅に上昇していることから、固定資産税による是正策の導入も想定されている。(『ABEMA NEWS』より)

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