9日の鈴木憲和農林水産大臣の記者会見でも、おこめ券についての質問が相次いだ。
最初に問われたのは“おこめ券”の発行能力の問題。記者が「1枚で440円のものしかないということで、もし自治体が大量に発注した場合はかなりの枚数発行が必要になると思うが、このことが発行の遅れあるいは(物価高)対策の遅れにつながらないか懸念をしている方もいるが、大臣のご見解は?」と質問。
鈴木大臣は「先週自治体向けに様々な説明をし、その後も自治体の皆様からはどのような取り組みをするかということについて、『うちとしてはこのような方法でやる』ということをご相談も含めていただいているところであり、その辺もよく踏まえまして、おこめ券について言えば枚数がどれぐらい必要になるか、発行団体の方にも我々としても伝えておりますので、なるべく発行団体の方にも頑張っていただいて、自治体がおこめ券を使うということであれば、枚数が足りないということにならないように鋭意努力しているところです」と答えた。
次に、おこめ券がJAへの利益誘導策ではないか、という質問が出た。記者が「おこめ券について12月5日のプレジデントオンライン『おこめ券でJAを救済したいだけ 税金4000億円で史上最高値のコメを買わせる農水大臣とJAの癒着』というタイトルの記事の中で、農水省の事務方が検討した案ではなくて大臣独自の発案ではないかと書いてあるがこれは事実か。もう1点、山形県のJA全農会長と大臣は親密な関係にある、と。要は親密な関係のJAを救済するための利益誘導策ではないかという趣旨の記事だが事実関係を教えていただきたい」と質問。
鈴木大臣は「全農の会長は私の地元のみちのく村山農協の元々組合長でありましたので、当然様々な関係でこれまでも地域のことなどを話し合ってきたというのは事実であります。しかしながら、だからといって私がJAグループに何か利益誘導するということは全くありませんし、また今回の重点支援交付金のやり方についても、私自身よく事務方の皆さんと議論をした上でこのような打ち出しになっているということはご理解をいただければありがたいと思います」
記者はさらに「記事の中で『大臣独自の発案だろう』とあるが、これは事実か? 発案で、そのあと事務方と相談したという流れと理解していいか?」と質問。
鈴木大臣は「まさにこれはしっかりとみんなで議論した結果だというふうに考えております」と答えた。
記者が「最初は大臣の発案だったというのは間違いないか?」と重ねて質問すると、鈴木大臣は「まさに事務方の皆さんと議論をしっかりとした結果です」と答えた。
記者はさらに「結果的に石破政権のコメ増産して価格を下げるという政策から方針変更した形だが、これはまさに親密な関係のJA救済策としてこっちのほうがいいだろう、というふうにも見えるけど違うのか?」と質問。
鈴木大臣は「まずちょっと、皆さんに誤解のないように申し上げておくと、おこめ券の流通のだいたい6分の1ぐらいが全農が発行しているもので、残りのおそらく6分の5ぐらいは全米販が発行しているものということはまずご理解いただいた方がいいというふうに思います」と説明した。
これに対し、記者が「業界団体のための利益誘導策で国民の生活第一とは言えないのではないか、石破政権のときのコメ増産のほうが合理的な政策だとは考えていないか?」と質問。
鈴木大臣は「何度も申し上げておりますが、私が利益誘導を何かするということは一切ありません」と重ねて否定した。
おこめ券を巡っては、コメ価格に影響するのでは、という点も問われた。記者が「先週金曜日に発表された最新のコメ平均価格はKSPーPOS価格が最高値を更新した。価格にはコミットしないと従来大臣はおっしゃっているが、おこめ券の発行が結果的にコメ価格を下支えすることになるということは、これまで大臣が主張してきた“国がコメ価格には関与しない”という考えと矛盾しないのか」と質問。
鈴木大臣は「取引価格が高い水準にある7年産米への置き換わりが今現在進んでいる状況でありまして、そうした状況も含めてブレンド米等を中心に小売価格が上昇しているというのがこのデータだろうというふうに考えております。おこめ券については、おこめ券だけではなくてこの度の食料品の高騰への負担感を和らげるということについては、私達としては現状でなかなかコメの値段がお手頃のものがないということで買いたいだけ買えないっていうお声があるものですから、そこに対してしっかりと応えていきたいということで対応させていただくものでありまして、コメの値段どうこうをそれによって何か影響したいとかそういうことは一切ございません」と答えた。(『ABEMA NEWS』より)
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