政府が補正予算案において残り3か月しかないのに7098億円の予備費を要求していることをめぐり、衆議院予算委員会で議論となった。
【映像】「クマどんだけ出るんですか」議場から上がる声(実際の様子)
立憲民主党の下野幸助衆議院議員は、今年度の当初予算の予備費が現在2902億円残っていることを指摘したうえで、「そこに合計1兆円に合わせるために7098億円積み増す補正予算を政府が提案されてます。そこで片山財務大臣に端的にお伺いします。残り3か月予備費1兆円積み増す根拠は何でしょうか」と質問。
片山大臣は「予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられた制度でございまして、災害対応につきましても当初予算や補正予算の予算編成において、見込めるものについてはその時々で計上してきておりますが、見込めないものについてはそういったことを使用するためにあるわけで、他方で災害発生について被害の状況、被災地のニーズに合わせて機動的かつ弾力的に財政措置を講じていく観点から一定の時間を要する補正ではなくて、予備費をある程度余裕を持って積んでおくということが考えられるわけでございます。今般の予備費の追加につきましてもリスクへの備えとして、今後仮に自然災害の発生さらなる物価高等といった事態が生じた場合の予期せぬ財政需要に迅速に対応し、暮らしの安全安心などを確保するために十分な額を措置するものとしたことでございましてご理解をいただければと思います。」と述べた。
さらに下野議員は「熊本の震災でも初動対応ということで予備費は23億円です。そして今年度残り3カ月です。そこで1兆円も本当に必要なんでしょうか。」「私が予備費の追加説明を政府にお願いしましたら、A4の1枚紙でこういうのが出てきましたけれどもここに書かれていることを少し読み上げますけれども、『Q.予備費は何で追加するんですか。A.自然災害の発生、さらなる物価高、クマ被害の拡大等』って書いてあります。」と話すと、議場から「クマどんだけ出るんですか」と声が上がった。
続けて「クマはもうどんだけ出るんだ、ということですけど、クマ被害対策パッケージといたしましても129億円計上しているんですよ既に。そこで、なぜ7098億円なんでしょうか。国民1人当たりにするとさらに6000円規模の負担を強いられるということでございます。更なるクマ被害対策とは何か端的に片山大臣にお伺いいたします。」と質問。
片山大臣は「クマ以外のところから始めますと、今回能登につきましても自然災害からの復旧復興に必要な予算というのがございますが、非常に進まないと思われていた地盤の再建ですとか、公費による解体ですとか、そういったものが一気に進捗してくることがございます。そういった意味を考えますと数百億とか1000億円単位の追加的な復旧工事等の費用というのは今までにもあったことでございますので、何と言っても繰り返しになりますがリスクへの対応ですから、そういったものを大きな余裕を見て考えておるということでございまして、クマにおきましてもおそらくさまざまな統計やさまざまな手法が出ておりますが、まだ全容がわかっていない部分もあるんでしょうから、環境省のほうでそのようなものをお考えになって、それを参考にさせていただいたということでございますが、仮に3か月たって使わなければそれは国庫に返納し、それはどこかに使われてしまうということではなくて、新たにまた財源になるというものであるのが予備費でございます。」と回答した。
下野議員は11月に秋田へクマ対策の調査・視察を行った話をしながら「自衛隊の皆様延べ924人の方々が本来業務や大切な訓練を中断して、クマ除去対策を秋田県民のためにしていただきました。これ私が試算すると例えば1日1人5万円の人件費といたしますと3か月でも15億円程度といわれます。クマ対策だけじゃないと言われるんですが、この予備費の説明ペーパーにはさらなる物価高対策の次にクマ被害対策拡大って書いてあるんですよ。そんなことで残り2902億円あるんですよ。これ先ほどからも金利の話が出てましたけれども、7000億3か月金利1.9%で約35億円程度かかってこんだけあれば後に話をさせていただきますけれども学校の建て替え等も回せるんです。今一度予備費の計上を再検討いただけないでしょうか。」と高市総理に問いかけた。
高市総理は「私はですねむしろ予備費というのは今のような時代には一定程度積んだ方がいいと思ってます。仮に使い残しがあってもこれは消えてしまうお金ではなくて、国庫に戻るものでございます。特に昨日もありましたけれども大きな災害が来てそれを復旧しようというときにですね、時間とともに明らかになる被害状況があったり、復旧復興が進む中で新たに生じる課題があったりして、今回もですね、補正予算で能登半島にかかるお金を措置しました。おとつい私も能登に入りましたけれどもやはり想像を超えたお金がかかり、どうしてもこれ補助を積み増してもらわないとできないんだというお声がございました。ですからやはり自然災害への対応ですとか、今でしたらさらに物価高が進んだり、不要な事態が起きたりというようなさまざまなリスクに対応するために、早急に使える予備費というのは一定程度あったほうがいいと私は思っております。」と話した。(『ABEMA NEWS』より)
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