中国軍機による自衛隊機に対するレーダー照射問題で、中国国営テレビ系のSNSは「事前に通告した」と主張する音声を公開した。10日午前の木原稔官房長官の会見では、この点についての質問が出た。
【映像】中国側が公開した“音声データ” 自衛隊とされる音声も
記者が「中国軍機によるレーダー照射をめぐる中国側の発信についてお伺いします。中国側は訓練の海空域は事前に公表していたほか、海上自衛隊への通告時の音声記録とするものも公開していますが、これらの事実関係を政府として確認しているか、今回の中国側の主張や発信をどう受け止めているか?」と質問。
木原官房長官は「お尋ねの中国国営メディアの関連アカウントが報じた音声については承知をしているが、そのひとつひとつについてコメントすることは差し控える」としたうえで、「レーダー照射事案があった12月6日土曜日、中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に対して、訓練飛行を開始する旨の連絡があり、その内容を聞き取った旨の応答をしたのは事実です」とした。
そして、「一方で空母遼寧の艦載機がどのような空域において訓練を行うのかという具体的な情報は自衛隊にはもたらされておらず、また訓練に関するノータム(航空情報)や航行警報が事前に通報されていたという事実もございません。そのうえで、空母遼寧が所在した海域周辺には沖縄本島をはじめとする我が国の領土があり、その領空の保全および国民のみなさまの生命財産を守る責務を有する防衛省自衛隊が、空母から発艦した艦載機に対し、対領空侵犯措置を適切に行うこと、訓練に関する事前通報の有無にかかわらずそれは当然のことであります。中国軍機が自衛隊機に対してレーダー照射を行った際には、両機の距離は目視できないほど離れており、自衛隊機が接近して妨害したとの中国側の指摘はあたりません」と主張した。
木原官房長官はさらに「今般の事案における問題の本質というものは、我が国が対領空侵犯措置を適切に行う中で、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったこと、このことが問題の本質であると思っている。これは明らかに航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であります。中国側には再発防止を厳重に求めてきており、引き続き冷静かつ毅然と対応してまいります」と述べた。
続いて別の記者が「中国側が公開した音声について、日本政府として、公開された音声は本物で当日の実際のやり取りであったという認識か?また中国側の動きに対して日本側から当日の交信音声や探知したデータなどを公開する考えがあるか伺います」と質問。
木原官房長官は「先ほど申し上げたように、中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に対して、飛行訓練を開始する旨の連絡があり、その内容を聞き取った旨の応答をしたのは事実です。政府としては我が国の立場を適時適切に発信するとともに、事実に反する主張に対してはしっかりと反論、発信してきており、引き続き適切に対応していく所存です」と答えた。
さらに別の記者が「アメリカ国務省が中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について『地域の平和と安定に資するものではない』と批判し、『日本との同盟関係はかつてなく強固で緊密に連絡を取っている』とも説明している。中国との貿易交渉を重視するトランプ大統領は台湾問題をめぐる日中の対立から距離を置いている、との指摘もあるが、アメリカ政府がこうした反応を示したことへの受け止めは」と質問。
木原官房長官は「米国との間では、かつてなく強固になった日米関係を維持そして強化すべく引き続き日米で緊密に連携していくことで一致をしております。ご指摘のコメントでありますけど、まさに強固な日米同盟を示すものであり、歓迎をしております。日本政府の立場については“各国の理解を得ること”これが極めて重要だと考えます。日本政府としてこれまでも米国を含む各国に対しさまざまな機会を捉えて我が国の立場を説明してきており、引き続き我が国の立場や考えを適時適切に説明そして発信をし、米国等と連携して対応をしてまいります」と答えた。(『ABEMA NEWS』より)
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