10日の衆院予算委員会で立憲民主党の山井和則議員が医療介護業界の賃上げを訴えた。
【映像】上野大臣を「キャンセル」→国会大荒れの瞬間(実際の様子)
山井議員は「高市総理は先日の政労使会議において、5%の賃上げ定着を要請されたと。労働界の代表に対して、連合の芳野会長に対してもおっしゃったわけですね。しかし、今介護や医療の現場は残念ながら1〜2%(の賃上げ)なんですよ。ただでさえ介護や障がい者福祉の現場は8万円くらい月給が低い。それが開いているんです。開くのはまずいでしょ、どう考えたって。大幅に縮めていかないと」と語気を強めると議場内に「そうだ!」という声が響いた。
山井議員は続けて「そういう意味では私あんまり無茶なことを言う気もないんですけれど、高市総理が5%の賃上げを民間に向かって指示しているわけです。ぜひ来年4月の介護報酬の障がい福祉報酬においては、ケアマネさんとかも含む方々に対して5%の賃上げができるような報酬引き上げを目指していただきたい」と訴えた。
これに高市総理は「報酬改定の効果を前倒しして支援することで、まず補正予算案をお示ししました。介護障がい福祉の報酬改定については通常3年おきに実施しています。処遇改善については前回の改定から3年が経過する令和9年度を待っていては大変だということで、令和8年度に期中改定を行うことにしました。これはかなり前倒しをしたということはご理解いただきたい。改定の内容につきましては予算編成に向けて現在検討しております。保険料の抑制努力も継続しますけれども、介護障がい福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて適切に対応していくという方針でございます」と答えた。
山井議員は「あえてこだわりますが、失礼ながら高市総理もご自身が難病でご苦労されており、ご家族の介護をされているということをお聞きしました。介護現場が崩壊したら大変なことになるんですね。『他職種と遜色ない』というのはちょっとふわっとしていますので、高市総理、ストレートに言ってください。労働界に対して5%の賃上げ要請している以上は、介護医療障がい者福祉の分野は公定価格なんですよ。報酬を上げないと無理なんですよ現場の努力では。ぜひとも介護障がい福祉医療に関しても5%の賃上げを目指すと、目指すということぐらいぜひこの場でご発言ください」と迫ると議場内に拍手が響いた。
高市総理は「5%といいましても、民間の企業ですね、企業でもすべての企業が5%の賃上げできるわけではないです。ただ私どもは他職種と遜色のない処遇改善に向けて適切に対応していくという方針を示しておりますので、何%と今断言はできません。予算編成に向けて現在検討している最中でございます。でも努力をしていくということでございます」と回答した。
山井議員は「ちょっとこだわるようですけどね」とした上で「高市総理が5%以上上げてくださいよってお願いしているわけでしょ。率先垂範しないとダメじゃないですか。でも『自分ができる介護医療障がい者福祉は5%はちょっと無理ですわ』と言ったら、それは民間は言うことききませんよ。財源もかかります。社会保険料にも関係してきますからね。『5%やると約束してくれ』ということは私もよう言いませんけれど、せめて民間にお願いしているわけですから5%。やはり『医療介護障がい者福祉も5%の賃上げを目指せるように頑張ります』ぐらいの『5%を目指す』ということぐらいぜひとも答弁お願いします」と訴えた。
ここで、枝野幸男委員長は高市総理を指名したのだが、担当大臣である上野賢一郎厚労大臣が挙手。どちらが答弁するか2人の間で譲り合う場面も見られたが、山井議員は「高市さん、高市さん」と声を上げ、枝野委員長も再度「高市早苗さん。決意を聞いていますので、細かいことじゃありませんので。決意を聞かれていますので」と指名。議場内は大いにざわついた。
そして立ち上がった高市総理が「政労使会議では、経団連や商工会議所も含めて比較的大きな事業者さんを代表される方々に対して5%を『お願い』した状況でございます。公的に決められる価格だと言いますけれども、それでもここで『必ず5%』ということについては数字については申し上げられません。厚生労働省の決意ということでしたら、厚生労働大臣手、手を挙げておりますので答弁をさせます」と話したが、山井議員は「けっこうです。けっこうです。けっこうです」と上野大臣の答弁を望まず、枝野委員長も山井議員を指名した。
山井議員は「高市総理が決断できないものを大臣決断できないですよ。高市総理、分かりますが、今おっしゃったように、『できるよね』と今大臣におっしゃって下さったので、高市総理から『5%を目指すように厚労大臣頑張りなさい』とここでひと言指示をして頂けませんか」と促した。
高市総理は「厚労大臣には厚労大臣の、専門的な分野を担務する大臣としての考えがありますので、手を挙げているので答えさせてやってくださいませ」と発言。
ようやく指名された上野厚労大臣は「診療報酬改定につきましてはこれから政府内でもしっかり調整をしていきたいと考えておりますが、我々といたしましてはやはり他職種と遜色のない処遇改善をしっかり求めて政府間の調整に臨みたいと考えているところであります」と話した。
山井議員は「高市総理の本を読むと、『危機管理投資』と書いてございます。例えば私たちは働く現役の世代からすると親が70代80代90代になっている。私の両親もケアマネージャーさんのお世話になってデイサービス行きホームヘルパー行き、それでおかげさまで在宅で生活できている。そういう意味では高市総理は『危機管理投資は成長につながる』と。社会保障に関してはそれと“別枠”となっていますが、私が高市総理に申し上げたいのは、やはり社会保障の部分も危機管理投資だと思うんです。そういう意味では社会保障も投資だということをぜひご理解いただきたい」と訴えた。
(ABEMA NEWS)

