
クマだけではありません。イノシシによる被害も広がっています。冬眠することはなく、列島各地で暴れていて、千葉県ではキョンを襲う姿が目撃されました。
イノシシがキョンを食べる姿
イノシシが必死に引っ張っているのは、動物です。
撮影した男性
「本当にビックリしました、夢かと思いました、夜中に見たので。何を食べているか見たら“キョン”で」
男性は頻繁にイノシシを見かけていますが、初めて見る光景でした。
「あんなに大きい哺乳類をズシズシと持っていって食べちゃうのは、イノシシのイメージを大きく覆すというか驚きました」
土を掘り起こしてミミズや農作物を食べるイメージが強いイノシシですが、本来の姿だと専門家は指摘します。
日本大学 生物資源科学部
中島啓裕准教授
「動物の死骸を好んで食べることが知られています。(死骸に)一番やって来る動物の一つがイノシシだったりします」
各地で相次ぐクマの出没。記憶に新しいのが、鶏舎に入ってニワトリを襲うクマです。
イノシシは生きた動物を襲わないと言いますが、肉食化することはないのでしょうか。
「周りに餌(えさ)がない状況、トリがおいしいと学習したイノシシが出てきたら、何度も何度も襲うことが起こり得ると思う」
深刻化する農業被害「死活問題」
深刻さを増すのはイノシシによる農業への被害です。
千葉県の獣類による農作物の被害金額を見てみると、イノシシが半分以上を占め、1億4900万円に上ります。
番組スタッフ
「(イノシシ)増えている?」
御子神農園 御子神昭則代表
「増えていますね」
取材したのは、食用の菜花を育てている農園です。炒めものや、おにぎりにも使われます。
「3列目と4列目と同じような感じでなっているはずなんですけど」
2月の収穫に向けて、先月に種を植えたばかりの畑ですが、緑はなく、土が目立っています。掘り起こした痕跡や足跡が残っていました。
「種をまいたんですけど、すぐさまほじくり返されて、もう1回(種を)まいて」
毎年イノシシに悩まされている農園。鉄柵を設置して畑を守ろうとしてきましたが、何度も壊されてしまい、被害が集中した箇所に電気柵を導入することにしました。
「(今でも)50万~60万円は使っていると思います。これ以上増えたら、(被害)面積が拡大したことを思うと死活問題になりますね」
泳いで渡ってきた? 網地島で初目撃
冬眠をせず、冬も活動するイノシシ。その姿は、全国各地で目撃されています。
新潟県では、すでに1990頭を捕獲。過去最多となった昨年度の同じ時期に比べ、200頭上回るペースとなっています。
環境省の調査です。赤色が最近新たにイノシシが確認された場所ですが、東北や千葉、茨城、東京の西側など、生息分布は40年間で1.9倍に拡大しています。
宮城県石巻市の網地島では先月、初めてイノシシが目撃されました。
網地島長渡中地区 高橋秀一郎行政区長
「初めての出来事なのでびっくり。泳いできたしかないんでしょうね」
これまでも、海を渡る様子が目撃されてきたイノシシ。
島でイノシシが目撃された直後、早くも農業被害が生まれていました。
「地域おこしの一環で、網地島産のサツマイモを全国発送しているので。(先月は)全部収穫していない人もいて、やっぱり荒らされた」
その後、1頭を捕獲。それ以降、イノシシ出現の情報はありませんが、島民の不安は募ります。
「もし1頭(今も)いるとすれば親じゃないのって。体当たりされたら大けがしてしまうし、声かけとかしながら1日、何回も回っている状況が続いています」
(「グッド!モーニング」2025年12月11日放送分より)
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