小泉進次郎防衛大臣は12日の記者会見で、アメリカのヘグセス国防長官と電話会談し、中国のレーダー照射問題について話したことを明かした。
小泉大臣は会見冒頭、「本日6時ごろから約40分間、アメリカのヘグセス国防長官との電話会談を実施いたしました。12月6日に沖縄本島南東の公海上空で発生した中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射という危険行為や、それに続く中国、ロシアの共同飛行を含め、急速に厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢について率直な意見交換を行いました。私からは、我が国として、我が国周辺海空域における警戒監視活動を引き続き粛々と実施し、いかなる不測の事態にも冷静かつ毅然に対応していく旨を述べた上で、ヘグセス長官との間で、中国の行動は地域の平和と安定に資するものではなく、地域において緊張を高めるいかなる行為についても深刻な懸念を表明するとともに、日米間で緊密に意思疎通し、連携していくことで一致いたしました。また年明けにヘグセス長官と対面での会談を行うべく、必要な調整を進めることで一致いたしました。今後とも、ヘグセス長官との緊密な連携を通じて、日米同盟の抑止力対処力を一層強化してまいります」と述べた。
続いて記者が「10日の大臣の発言に対し、中国側は『日本側は事前通告を受けていなかったと主張していたが、今は事前通告を受け取っていたと認めている。矛盾している』と主張している。大臣の受け止めと、国際社会にどのように訴えていくか」と質問。
小泉大臣は「私は一貫して中国側からノータムや航行警報を含め、どのような空域において訓練を行うのかといった具体的な情報はもたらされていなかったということを説明してきており、事前通報の説明について、矛盾しているとの中国側の主張は当たりません。また訓練に関する事前通報の有無に関わらず、我が国の領空の保全と国民の生命財産を守るため、領空侵犯の恐れがあると認められた場合には、戦闘機を緊急発進させて対応することは当然のことです。いずれにせよ本件における問題の本質は、我が方が対領空侵犯措置を適切に行う中において、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったこと、これが本質であります。これは明らかに航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であります」と主張。
そして、「今般の事案について、我が国政府の立場について各国の理解を得ることは極めて重要であり、これまでイタリアのクロセット国防大臣やNATOのルッテ事務総長とビデオ会談を行った他、先ほど申し上げたようにアメリカのヘグセス長官とも意見交換を電話で行ったところであります。国際社会に対しては、我が国の立場や考えを適時適切に説明、発信していくとともに、中国側に対しては、再発防止を厳重に求めていきたいと思います。同時に、これは繰り返し申し上げておりますが、先般の日中防衛相会談で、私から董軍国防部長に対して伝えた通り、日中間では具体的かつ困難な懸案から目を背けず、むしろ懸念があるからこそ、率直な議論という一つを粘り強く重ねることが必要不可欠であります。防衛省としては、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期していくとともに、引き続き防衛当局間においてもしっかりと意思疎通をしてまいりたいと思います」と話した。
記者がさらに、「中国側が音声を出してきているが、日本側として物的証拠を出していく考えはあるか?」と質問。
小泉大臣は「これは必要な情報提供・情報開示は、適時適切に行うのは当然のことだと思います。そしてそれを今やっております。本事案の発生以来、自衛隊の運用に支障を生じないことを確認した上で適時適切に情報開示しながら、中国側の主張への反論も含め、我が国の立場を丁寧に発信してきています。また国際社会に対しても広く我が国の立場を発信する観点から、英語での発信にも力を入れており、10日の私の臨時会見のやり取りは当日中に英訳をして発信をいたしました。そしてまた今、様々、あちらが音声などを公開してるという話がありましたが、最初の質問でお答えをした通り、今回のレーダー照射事案、このことについての問題の本質というのは、やはり中国側が約30分間にわたって断続的なレーダー照射を行ったこと、ここがやはり国民の皆さんにも、ことの本質、この問題の本質は何なのかということを、決してずらされることなく一貫して説明をすることの必要性を感じています。ですので、それについて決して何が今回の問題の本質なのかということについての必要な情報提供、情報開示が大事なのではないかなというふうに思ってます」と答えた。(『ABEMA NEWS』より)
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