
21日は東京都内で飲酒運転の車が事故を起こして線路内で立ち往生するなど、12月に入って交通事故が多く起きています。交通事故が起きた交差点を取材しました。今の時期に特有の事故の理由が見えてきました。
【画像】事故後すぐ立ち去った車…「12月ならではの理由」とは
猛烈な勢いで突っ込む車
神奈川県綾瀬市、日の出前の午前5時ごろ。猛烈な勢いで白い車が突っ込み、破片が飛び散ります。しかし、運転手は車を降りることなく、バックを開始。そのまま逃走してしまいました。
21日、東京・北区では飲酒運転の車が事故を起こし、線路上で立ち往生。都電荒川線は1時間以上にわたって運転を見合わせました。
先週、東京・小平市では乗用車がトラックに突っ込む事故が発生。歩行者3人が巻き込まれました。
京都市では、乗用車が突っ込み、車5台が絡む事故が起きました。
目撃者
「正直な話、ノーブレーキ」
師走の事故なぜ多い
12月に入り全国各地で相次いでいる交通事故。
警察庁によると、月別の交通事故件数が最も多いのが12月で去年はおよそ2万9000件。単純計算で1日およそ1000件近くの事故が起きています。
なぜ12月に交通事故が多いのでしょうか?
今月13日、神奈川県綾瀬市で発生した中古車販売店に車が突っ込んだ事故。午前5時ごろ、車道を外れ店に突っ込んできた白い車。止めてあった車に次々と衝突し、衝撃で破片が飛び散ります。
運転していた人物は車を降りることなく、5秒後にはバックをし、そのまま走り去っていきました。
中古車販売店の社長
「すごい爆発的なドーンという音が聞こえて、下りてみたらこんな光景だった。逃げたのは許すことができない」
事故の現場となったのは、緩やかなカーブの先にある店。一体なぜ事故が起こったのでしょうか?
この事故を交通事故鑑定人の中島博史さんに分析してもらいました。
「速度自体は、1台前で普通に道路走っている車と、そんなに速度差が大きいわけではないので、スピードが速すぎたために曲がり切れなかったというよりも、単純に曲がる操作が遅かったような感じに見えます」
中島さんが注目したのは、事故を起こした後の行動。ここに「12月ならではの理由」があるのではないかと推測します。
「後退して、姿勢を立て直して、車道に戻って走っているんですけど、ここにためらいがみられない。逃げる気満々と言うと言い方が変ですけれども、全く事故処理をするつもりがない様子に見て取れます」
事故を起こしているにもかかわらず、すぐに立ち去ります。
「ためらわずに逃げているところからすると、飲酒運転の可能性は高いのではないかと個人的には思います」
忘年会など飲酒する機会が増える12月。飲酒運転による交通事故が多くなると指摘します。
「(事故現場は)郊外ですので、自動車でないと家に帰りにくいことから、飲酒運転への誘惑はあるかもしれません。お酒を飲んで運転するのは絶対にやめてほしいというのは、繰り返し訴えたいことです」
歩行者は服装に注意
そしてこちらは12月の深夜に撮影されたドライブレコーダーの映像。
東京・池袋の交差点。青信号を進み右折をしている車。暗い中、横断歩道を渡る歩行者に気付くのが遅れ急ブレーキ。歩行者とぶつかる寸前でした。
事故には至りませんでしたが、中島さんは映像から、この時期特有の理由があるのではないかと推測します。
「冬場、特に男性は暗めの服を着ることが多いです。ズボンやコートが黒系、黒紺、ダークグレーのような服装であると、ヘッドライトに照らされても、暗いために背景に溶け込んでしまって非常に発見しづらい。ヘッドライトの向きによっては本当に見えない」
中島さんは横断する歩行者にも注意が必要だと指摘します。
「歩行者の側も発見されやすい工夫。反射材付きの靴、携帯用の反射バンド等を使って、事故に遭わないような工夫をしてほしいと思います」
小5男児死亡 見通し良いのになぜ
そして先週、東京・板橋区でも痛ましい交通事故が起こりました。
16日午後3時半すぎ、横断歩道を渡っていた小学5年生の松原千明さん(10)がトラックにひかれ死亡しました。
警察はトラックを運転していた運送業の横山浩二容疑者(65)を、過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕。
事故から4日がたった20日も、現場には手を合わせる人が訪れていました。
現場近くに住む人
「近隣の小学校に子どもも通っているので、本当に自分も他人事とは思えなくて」
中島さんに現場を見てもらうと…。
「信号機のない横断歩道で、幹線道路から入ってきた所をずっと直線で走ってこられるような道。横断歩道の手前にはダイヤマークがあって、横断歩道が近くにありますよということをきちんと説明している。見通しのいい、普通に歩行者が利用する場合には比較的安心して使える横断歩道だと思います」
見通しの良い直線道路。一体なぜ事故が起きたのでしょうか?
横山容疑者は仕事で週に2~3回この道を通っていて、事故当時も小学校の教材を積むために板橋区内の倉庫に向かっていました。
横山容疑者
「進路の遠方を見ていて児童に気が付かなかった」
中島さん
「トラックは視線の位置が高いので、歩行者とかというのも見やすい。直線道路に入ってしまって、先の方へ行くということだけに、注意が向いてしまっていて、とにかく早く着こうというようなつもりで、スピードを出していて歩行者に気付かなかった。(ブレーキが)間に合わなかったというような状況だと思います」
近くに住む人に話を聞くと…。
「割と皆さん車のスピードを出していると思うので、見慣れた風景といえば見慣れた風景ですね」
ここは幹線道路をつなぐいわゆる“抜け道”として使われる道路です。
中島さん
「ここは直線道路で、あまり信号が多くないということと、あと幹線道路を挟んでいるところで“抜け道”的に使えるような道路。なので急いでいるような場合に、平日とかだと結構スピード早めに通過する車もいます」
12月の心理状態 専門家指摘
“抜け道”を使う人は早く着きたいという意識からスピードを出してしまう人が多いと中島さんは指摘します。取材中にも…。
警察官
「歩行者の方渡られますよ」
スタッフ
「今歩行者を無視した車に警察官が注意をしました」
横断歩道では歩行者が横断中もしくは横断しようとする場合、車は一時停止しなければいけません。しかし、この交差点では一時停止をしない車があとを絶ちません。
中島さんは、この時期特有の心理状態が事故の原因になっている可能性を指摘しています。
「12月の年内にというようなことで、仕事が過密になって急ぐというような状況が起きやすい。遅れが生じたりすると焦りというのもあります」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月22日放送分より)
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