
大規模な太陽光発電施設、メガソーラーを巡って、事業者と行政や住民との間でトラブルとなるケースが相次いでいる。
ドライバー「いくらでも事故が…」
北海道北斗市のキャンプ場で、去年から3度にわたり土砂が流入する問題が発生。市はメガソーラー建設で雨水の対策が不十分だったことが原因としている。
福島市でもメガソーラーによる問題が起きた。5日に退任式を迎えた木幡浩前市長はこのように話す。
「(Q.メガソーラー問題について)今のような姿になることは想像できなかった。私としても後悔がある」
福島市では、多くのメガソーラーが建設され景観が損なわれたとして、市はおととし8月に日本で初めて「ノーモアメガソーラー宣言」を出した。
さらに、景観だけではなく、別の問題も…。
「正面の交差点だからね。あっち(光)に気を取られていくらでも事故が…」
「危ないね。信号に重なるよね」
市内の様々な場所から見える、吾妻連峰の先達山斜面に設置された、およそ9万6000枚もの太陽光パネル。福島県の許可を得て建設されたものだが、住民たちから、ある苦情が出ている。
福島市民 20代
「運転中とか光を目に受けちゃうと危ないんじゃないかなと。人的被害が出る前にできる限り早めに動いてほしい」
日が傾くと太陽光がパネルに反射。その光でドライバーから「危険だ」という苦情が相次いでいるという。
福島市民 70代
「車乗ってる人、ドライバーはみんな言っています。本当に見えなくなっちゃうんだって。前が」
市に対して改善要求を出したという団体、先達山を注視する会・梅宮毅共同代表はこのように話す。
「なぜかこのエネルギー政策っていうのが、地方が痛みを感じるような構造になってしまって、一方的に我々が痛みとか涙とか我慢を強いられて、これが本当に明るい脱炭素社会だろうかと」
県の許可を得て計画通りに建設されているため、福島市は法令違反には問えないとし、7月に事業者に対して改善を要請したが、いまだ何の手立てもされていないという。
事業主である「AC7」に、番組が光の反射に対しどう対応するのかを問い合わせたところ、次のような回答があった。
「当社は今後も発電所の安全な運営を最優先に、行政と協議を継続しながら、引き続き適切に対応してまいります」
政府、支援の対象外とする方針へ
メガソーラーの導入推進を巡って政府は様々な支援を行ってきた。
2011年の東日本大震災での福島第一原発の事故をきっかけに、政府は太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入拡大を推進してきた。
当初は、太陽光で発電した電気を大手電力会社が国の決めた価格で事業者から買い取ることを義務づける制度のほか、固定資産税の減税、環境アセスメントの簡素化などを打ち出し、多くの事業者が太陽光発電所を建設した。
その結果、資源エネルギー庁によると、10月時点で電気事業者が運営する太陽光発電所は全国に6783カ所あるという。
こうした中、メガソーラーの開発を巡ってトラブルが相次いでいるという。
朝日新聞や一橋大学などがメガソーラーについて全国およそ1300の自治体に行ったアンケート調査によると、景観や環境破壊などのトラブルが「過去に発生していた」「発生していないが、今後の発生が懸念」「現在発生している」と答えた自治体は51.0%で過去最高だったという。
北海道の釧路湿原周辺のメガソーラー計画では、土壌汚染対策法違反など3つの法令違反が明らかになり、工事が一時中断する事態となっている。
こうした中、今月に政府も新たな動きを見せている。
高市早苗総理大臣は15日、大規模な太陽光発電施設、メガソーラーへの支援の見直しに前向きな考えを示した。
朝日新聞によると、政府は新たに建設するメガソーラーなどについて、補助金による支援の対象外とする方針を固めたという。
また、環境アセスメントを必要とする施設の規模の見直しや、審査の厳格化も検討するという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年12月23日放送分より)
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