
首都高速道路は24日、来年10月からの新たな料金案を公表しました。
【画像】首都高「維持管理コスト上昇」で“1割値上げ”へ さらなる値上げも 運送業者は…

開業から50年もの間、均一料金が続いていた首都高。当初は50円でしたが、1994年には700円に。その後は、距離に応じて段階的に料金が変わる『距離別料金制』や『距離単価制』が導入されました。現在、普通車の場合は、1キロあたり29.52円、1950円が上限です。
来年10月からは、距離単価を1キロあたり32.472円に値上げ。上限も2130円に引き上げます。

首都高速道路 寺山徹社長
「1キロあたり普通車の場合で約3円、1割引き上げます」
1964年の東京オリンピックに向け、急ピッチで建設された首都高。最初の区間が開通したのは、オリンピックの2年前でした。

現在は27路線、総延長327.2キロ。実に、その半分以上が築40年を超えています。
維持管理のコストは、この10年で約1.4倍に上昇しているそうです。

首都高速道路 寺山徹社長
「維持管理コスト上昇への対応が、喫緊の課題」

ただ、今回の値上げは、今後5年間の維持管理に対応するため。長期を見据えた場合には、さらに大幅な引き上げが必要になるとしています。
首都高を、毎日、使っている運送会社。
去年、時間外労働の上限規制が設けられ、社員の負担を増やすわけにもいかないと話します。

東邦運輸 尾辻勲常務
「時間の問題があるので(首都高は)使うしかない。改定があったときに、荷主側に転嫁できるのかが課題」
◆全国に広がるほかの高速道路は、いま、どのような状況なのでしょうか。
全国の高速道路は、主要6社によって管理されています。

徴収した高速道路料金は、その使い道が、国によって決められていて、大きく分けて2つあります。
●道路建設に使われた借金の返済(利息含む)
●道路の維持管理費(例えば、清掃・点検、道路の舗装、トンネル・橋などの修繕、リニューアル工事など)
そもそも国は、将来的に高速料金を無料にする方針でした。

2005年、道路公団民営化の際、徴収した料金で高速道路の建設費の返済などを賄い、2050年までに無料化するという方針を示しました。
しかし、2012年、中央道・笹子トンネルの天井板崩落事故が発生。巨額の“老朽化対策費”確保が必要となります。
2014年、老朽化対策のため、有料期間を2065年まで延長する法改正が行われました。そして、2023年、修繕箇所などが増えたため、有料期間を、さらに2115年まで延長する法改正がされました。

NEXCO3社の資料によりますと、完成から40年以上経過した道路は、2023年末で約4割、10年後には約6割に増加するといいます。
道路が劣化する理由として、重量違反車両や降雪、ゲリラ雷雨の増加、海岸から飛来した塩分などの影響としています。
◆今後、どうなるのでしょうか。
交通政策に詳しい城西国際大学の佐滝剛弘教授に聞きました。

佐滝さんは「有料期間はのびたが、その先も再び補修が必要になる。日本は地震も多いので、“終わりなき修繕”になるのでは。“いつかは無料に”という幻想はやめて、公共インフラとしての建付けに変える議論が必要では」と指摘しています。

ただ、首都高速道路は24日の会見で、今回の値上げの理由について、大規模な修繕ではなく、日常の維持管理のためと説明していました。首都高速道路は「本来なら、延長期間で得られる財源を補修費用にも充てるつもりだったが、ここ数年の物価上昇が想定以上で、費用を賄いきれなくなったので、今回値上げに踏み切った」としています。
