【衆院選】政党「ショート動画」公示1週間で視聴5000万回 政策発信や人柄アピールも

選挙戦において、若年層にまで情報を届けるためには、SNSや動画の活用は不可欠となっている。今回の衆院選でANNが調査したところ、公示後1週間で政党公式チャンネルに投稿された動画はすでにおよそ800本。このうちショート動画がおよそ5割を占め、視聴回数はおよそ5000万回となった。

【グラフ】各党の戦略は?注目の政策は?「動くグラフ」で解説

ANNが2025年7月の参議院選挙で行った出口調査でも、10代から30代のおよそ6割が「投票の際にSNSや動画サイトの情報を重視した」と回答していた。今回の衆院選で、各党がYouTubeでどのような動画を発信しているのか、政党のすべての投稿動画を対象に分析した。

(テレビ朝日選挙本部・竹田美月 秋本大輔)

◇調査概要

【分析対象】
自民党、中道改革連合、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党、社会民主党、チームみらいの公式チャンネルが投稿した動画
※減税日本・ゆうこく連合は公式チャンネルが確認できなかった。

【期間】
1月27日から2月3日まで

◇投稿動画数は800本超、52%が「ショート動画」

ANNの調査によると、衆院選公示日の1月27日から2月3日までに、政党公式チャンネルに投稿された動画は合わせて800本以上。総視聴回数は1億3000万回に及んだ。

最も投稿数が多いのは日本維新の会で、241本だった。次いで、れいわ(144本)、中道(103本)、共産(87本)、参政(76本)、国民(71本)、自民(47本)、みらい(33本)、社民(13本)、保守(7本)となっている。

さらに、全動画のうち52%を「ショート動画」が占めていた。最もショート動画の投稿数が多いのも日本維新の会で、150本だった。次いで、共産(60本)、中道(59本)、れいわ(56本)、国民(35本)、参政(27本)、自民(25本)、社民(8本)、みらい(8本)、保守(4本)となっている。

ショート動画は15秒から1分程度と短く、手軽に共有できるのが特徴で、各党がタイムパフォーマンス、いわゆる「タイパ」を重視する世代へのリーチを強化していることが伺える。ショート動画の総視聴回数はすでに5000万回ほどとなっている。

このようなショート動画を各党がどのように活用しているのか。政党ごとに視聴回数が多い上位3位までの動画を中心に分析すると、各党が有権者らに何を発信しているか違いが見えてきた。

◇自民 高市総理を前面に打ち出した動画を発信

自民党が投稿したショート動画は25本で、最も視聴されたのは「就任から3か月の高市内閣の取り組みと実績」だった。視聴回数2位・3位には高市総理の演説動画が並び、25本の動画すべてに「高市」と記載があるなど、高市総理を前面に押し出しているのが特徴だった。

【自民:視聴回数1位】就任から3か月の高市内閣の取り組みと実績【リンクはこちら】

◇中道 イラスト用いた「政策図解」

中道改革連合は59本のショート動画を投稿し、最も視聴されたのは「止まらない円安・金利上昇…日本を守る『賢い財政』とは?」だった。視聴回数2位・3位においても、「食料品消費税ゼロプラン」や、政治とカネの問題に切り込んだ「政治改革」に関する動画が注目されており、中道が打ち出した政策を、イラストなど用いて解説する動画が中心だった。

【中道:視聴回数1位】止まらない円安・金利上昇…日本を守る『賢い財政』とは?【リンクはこちら】

◇維新 「政策転換」や連立での「アクセル役」をアピール

日本維新の会は最も多い150本を投稿しており、視聴回数が多かったのは「大きな政策転換をして進めて行く #日本維新の会 #藤田文武 #12本の矢」だった。これに続く上位の投稿では高市総理の解散表明への見解や、党の立場を「アクセル役」とする内容が目立ち、自民党との連立パートナーとしての在り方を強調している。

【維新:視聴回数1位】大きな政策転換をして進めて行く #日本維新の会 #藤田文武 #12本の矢【リンクはこちら】

◇国民 食事シーンを通じて代表の人柄をアピール

国民民主党が投稿したショート動画は35本で、最も視聴されたのは「美味しいものは〇〇でできている? #国民民主党 #玉木雄一郎」だった。視聴回数1位・2位はいずれも、クッキーや蕎麦など、玉木代表が食事をする動画で、代表の人柄をアピールする内容だった。3位には榛葉幹事長が期日前投票のやり方や投票用紙の書き方について説明する動画がランクインした。

【国民:視聴回数1位】美味しいものは〇〇でできている? #国民民主党 #玉木雄一郎【リンクはこちら】

◇共産 解散のタイミング批判や減税・賃上げを主張

日本共産党が投稿したショート動画は60本だった。最も視聴されたのは「この寒空に突然の #解散 #総選挙 ?あんまり自分勝手じゃない?」で、田村委員長が高市総理の解散の是非について視聴者に語り掛ける形式の動画だった。これに続く投稿では、減税や賃上げについての訴えや政治の右翼化を止めるといったテーマについて主張していた。

【共産:視聴回数1位】この寒空に突然の #解散 #総選挙 ?あんまり自分勝手じゃない?【リンクはこちら】

◇れいわ 中道の合流について追及 党の歩みにも言及

れいわ新選組は56本のショート動画を投稿し、最も視聴されたのは1位「中道? 国民をダマすの、やめてくれますか【 #山本太郎 】 #れいわ新選組 代表 #比例はれいわ #衆院選2026 #衆院選 #選挙 (2026年1月21日 会見より)」だった。2位は候補者の演説、3位は多発性骨髄腫の療養のため参院議員を辞職した山本代表が、今後の党の歩みについて言及する動画だった。

【れいわ:視聴回数1位】中道? 国民をダマすの、やめてくれますか【 #山本太郎 】 #れいわ新選組 代表 #比例はれいわ #衆院選2026 #衆院選 #選挙 (2026年1月21日 会見より)【リンクはこちら】

◇参政 候補者の紹介や「投票用紙の書き方」説明

参政党は27本のショート動画を投稿していた。最も視聴されたのは「参政党の候補者はこんな人たち! #ひとりひとりが日本 #日本人ファースト参政党」で、神谷代表が応援演説に訪れ、候補者を紹介する動画だった。一方、2位には「投票用紙の書き方」を説明する投稿動画がランクインした。3位は選挙戦7日目を迎えた神谷代表のコメント動画だった。

【参政:視聴回数1位】参政党の候補者はこんな人たち! #ひとりひとりが日本 #日本人ファースト参政党【リンクはこちら】

◇保守 「移民反対」の発信

日本保守党は4本のショート動画を投稿し、最も視聴されたのは「日本保守党「多文化共生は欺瞞」」だった。これに続く投稿では、「労働者不足は嘘」「移民はもういらん。」などと主に移民反対の立場から主張する演説動画が並んだ。

【保守:視聴回数1位】日本保守党「多文化共生は欺瞞」【リンクはこちら】

◇社民 候補者らの街頭演説動画で訴え

社会民主党は8本のショート動画を投稿した。最も見られたのは「【社民党は、迷ってるみなさんの受け皿です】ラサール石井」で、中道改革連合の主張に対して批判的な演説映像だった。これに続く動画では候補者の街頭演説が並ぶなど、議員や候補者が出演して、直接訴えかける動画が並んだ。

【社民:視聴回数1位】【社民党は、迷ってるみなさんの受け皿です】ラサール石井【リンクはこちら】

◇チームみらい 実業家からの評価をアピール

「チームみらい」が投稿したショート動画は8本で、最も見られている動画は「【なぜ応援?】#田中渓 がチームみらいに期待すること #安野貴博」で安野党首が実業家と対談する動画だった。他にも、マニフェストをアピールする動画や、候補者による対談動画が並んだ。

【みらい:視聴回数1位】【なぜ応援?】#田中渓 がチームみらいに期待すること #安野貴博【リンクはこちら】

◇個性を生かした発信 動画主戦場の時代

調査から見えてきたのは、「ショート動画」がネット上の選挙戦で主戦場になっているという点だ。各党は短い時間でいかに印象を残すか、党ごとの個性を活かした発信で競い合っている。「タイパ」重視の戦略は、若年層などを中心に情報を届けるきっかけとなっている。

外部リンク