
世界が「力による支配」に傾く中、衆院選でも問われる「外交・安全保障」について見ていく。
トランプ氏2期目就任から1年あまり
まずは、アメリカのトランプ大統領が打ち出した外交政策について見ていく。再任から約1年。多くの外交政策を打ち出してきた。
トランプ大統領は、去年1月の再任後すぐ、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱や「WHO」からの脱退に署名。去年4月には、全世界の国と地域に一方的に関税を課す“トランプ関税”を発表した。そして今年に入り、ベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束。先月6日には「グリーンランド領有に向けて、米軍の活用も検討する」と表明するなど、再任からわずか1年ほどで、さまざまな対外政策を打ち出してきた。
「国家防衛戦略」発表 同盟国には”要求”、中国には”配慮”か
そして任期があと3年ある中で、先月23日、アメリカ国防総省が公表した、第2次トランプ政権初となる「国家防衛戦略」。この文書では、アメリカ本土の防衛を最優先課題と位置づけ、「西半球」でのアメリカの権益を守るとしている。
日本は2025年度の防衛費をGDP比2%まで前倒しで引き上げることを達成したが、今回の「国家防衛戦略」では同盟国へは負担増を要求。日本を含む同盟国などにNATOの防衛費GDP比5%(関連費含む)の水準に引き上げるよう要求すると明記している。今後、日本への圧力が強まる可能性があるという。
中国に関しては「あらゆる指標で米国に次ぐ世界第2位の強国」と位置づけ 「我々の目的は中国を支配したり、締め上げたり、屈辱を与えたりするものではない」として、対話推進を掲げている。
ただ中国抑止は維持するとし「第1列島線に沿って強力な防衛体制を構築する」としている。第1列島線とは、日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ中国が考える防衛ラインのことだが、真ん中に位置する「台湾」について言及はなかった。
その背景は、中国への配慮があるとも報じられている。
去年11月、“台湾有事”に関する高市総理の国会答弁で関係が悪化している日本と中国。朝日新聞によると、トランプ大統領は、中国への明確な批判を避けるなど、日中どちらにも肩入れしない姿勢を示した。
こうした中、4日、米中電話会談が行われた。トランプ大統領は貿易や軍事、台湾問題や中国によるアメリカ産石油・ガスの購入について協議したとSNSで明らかにしたうえで、4月に予定されている中国訪問を「非常に楽しみにしている」とした。
一方で中国外務省によると、習主席が中国にとって台湾問題が「最重要の問題だ」と断言した。
各党の主張は?
外交・安全保障政策を巡る各党の主張を見ていく。
自民党
日米同盟を基軸。力による一方的な現状変更などへの対応を抜本強化
日本維新の会
日米同盟の一層の深化。反撃能力を持つ長射程ミサイル等の整備
中道改革連合
日米同盟を基軸。積極的な対話と平和外交の一層の強化
国民民主党
日米同盟を堅持・強化。「自衛のための反撃力」を保持
共産党
軍事費の大増額に反対。アメリカと共に戦争するための大軍拡に反対
れいわ新選組
戦争ビジネスには加担しない。平和外交
参政党
自立的な防衛を確立。対等な日米同盟などを推進
減税日本・ゆうこく連合
日米地位協定の抜本改定。日米同盟を対等かつ新しい形へ(ゆうこく連合の公約)
日本保守党
自由、民主、法の支配等の価値観を共有する国との連携強化
社民党
在日米軍基地の撤去などをすすめる。日米地位協定を抜本改正
チームみらい
国家を守り抜く積極的なサイバー防衛を展開する
「ミドルパワー」外交とは?
混迷する世界に向き合うカギと言われているのが「ミドルパワー」と呼ばれる中堅国同士の連携だ。今、大国との駆け引きでインドの外交が注目されている。
今月2日、アメリカのトランプ大統領とインドのモディ首相が電話会談。これまでインドに課していた関税を50%から18%に引き下げるとして、見返りにインドはロシア産の原油の輸入を停止し、アメリカやベネズエラ産を輸入すると約束した。
ウォールストリートジャーナルによると、インドがトランプ関税軽減を獲得した背景には、「ミドルパワー戦略」があるという。
ミドルパワー戦略とは、主要国などの圧力に対抗するため中堅国が連携することをいい、インドはアメリカ以外の国々との貿易協定を大々的に発表していった。
去年7月、インドはイギリスと「FTA=自由貿易協定」に調印。インドはイギリスからの輸入品の9割、関税を引き下げたことで、イギリスのスターマー首相は「イギリスがEUを離脱して以来、最大かつ最も経済的に重要な貿易協定」だと発言した。
さらに、先月27日、モディ首相はEUのフォンデアライエン委員長と会談し「FTA」を妥結。承認されれば世界のGDPの4分の1に近い巨大市場が誕生する。こうした動きがあり、アメリカはインドへの関税を引き下げた。
そんな中、日本もインドに接近している。
去年12月、国際協力銀行が発表した、企業の海外展開に関する調査で、日本の製造業が選ぶ中期的に有望な事業の展開先として2位のアメリカを大きく離し、4年連続でインドが首位に選ばれた。
そうした中で、日本からインドへの投資も加速している。
2022年からの5年で5兆円という官民投融資を、わずか3年で達成。そこで、去年8月の日印首脳会談で、新たな民間投資目標額として、2035年までに10兆円を設定した。
しかし、インドには懸念もある。ロイター通信によると、モディ首相の後継者に懸念があるという。
高い人気で12年近く政権を維持してきたモディ氏だが、現在75歳で後継者に政権を譲る可能性もあるという。しかし、どの後継者もモディ氏ほどの支持基盤を維持するのは困難とみられる。また人気取りのための現金給付などに頼り、財政規律を損なう恐れもあるという。
(2026年2月5日放送分より)
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