
衆議院選挙は8日、投開票日を迎える。日本では非正規雇用が増え、格差が拡大し続けている。働いても貧困から抜け出すことができない状況に、政治はどう向き合うのか?
【画像】アンダークラスを待ち受ける高齢化…最大の懸念は「貧困による健康リスク」
増える非正規雇用「アンダークラス」とは?
まずは、日本の格差社会の現状をみていく。拡大しているのが、「アンダークラス」と呼ばれる層だ。
早稲田大学教授の橋本健二さんが作成した資料をもとに作った図によると、一般的に資本主義の社会には、4つの階層が存在するとされてきた。
より収入が多い順に企業経営者や役員などの「資本家層」。エンジニアなど専門職のスペシャリスト(フリーランスも含む)や企業でも重要な位置にいる管理職などの「新中間層」。また企業の雇用者・被雇用者ではないため、この図に含まれないのが、自営業者など「旧中間層」。
そしてもう一つが、「労働者層」だったが、雇用形態の違いによって、「労働者層」の中にも格差が生まれ、今では2つに分裂しているという。
まずは、正規雇用の会社員、公務員などの「正規労働者層」。そして、橋本さんが「アンダークラス」と呼ぶ層。今では全体の13.9%を占め、およそ890万人に上るという。
この「アンダークラス」とは、世帯でみた所得が低い非正規雇用の労働者のこと。
その実態はというと、個人年収は平均216万円で、これは正規労働者の4割強程度。
さらに、月額16万8000円以下で生活する人の割合、貧困率は37.2%。未婚率は男性74.5%、女性68.4%。男女とも正規労働者と比べると非常に高い。
背景に「就職氷河期」
では「アンダークラス」が生まれた背景には何があるのか?
日本の雇用が大きく変化したのが、1993~2004年の就職氷河期。バブル崩壊後、企業が新卒採用などの正規雇用を減らしたことで、就職できない若者が急増し、期間が定められている有期やパート、派遣などの非正規雇用が増えた。
また2003年、労働者派遣法が改正。それまで禁じられていた製造業への派遣事業が解禁され、非正規雇用の割合は3割を超えた。
さらにその後も非正規雇用は増加を続け、2016年には2000万人を突破した。
待ち受ける高齢化
そんな「アンダークラス」に今後、待ち受けるのが、高齢化。
10年以内に、就職氷河期世代が60歳以上になる。すると、どうなるか?橋本さんは「巨大な貧困高齢者層が形成されることは避けられない」と指摘する。
最大の懸念が「貧困による健康リスク」。貧困のため健康状態が悪くなれば、働くこともできず、医療費や社会保障費が増加。財政を圧迫しかねないという。
衆院選で各党の政策
格差拡大を止められるのか?各党が掲げる政策で主な格差対策をまとめた。
自民党
正規雇用、非正規雇用の格差是正に向け、同一労働同一賃金を徹底
日本維新の会
就職氷河期世代の安定雇用と個々の能力開発を支援
中道改革連合
中低所得者の負担軽減と格差是正に向けた「給付付き税額控除制度」の早期導入
国民民主党
ベーシックインカムなど、行政主導による公務員・民間企業などの正規就労確保
日本共産党
「非正規ワーカー待遇改善法」を制定。同一価値労働同一賃金、均等待遇を徹底
れいわ新選組
就職氷河期世代の安定雇用を実現。不安定雇用を生み出した雇用法制を見直し
減税日本・ゆうこく連合
消費税廃止により格差を是正していく
参政党
労働者派遣法改正による非正規雇用の正規雇用化
日本保守党
移民を抑制し、減税で可処分所得を増やし、正規雇用促進を補助
社民党
非正規労働拡大に歯止めをかけ、正規労働への転換を強力に進める
チームみらい
ベーシックインカムなどセーフティーネットの土台を整える
さらに、このほか多くの党が「最低賃金の引き上げ」を掲げている。
「アンダークラス」の政治意識
一方で、アンダークラスの人たちは、どのような政治意識を持っているのか?
橋本さんの研究によると、「国政選挙でいつも投票する」と答えた人は34.1%。「支持政党なし」と答えた人は68.8%いたという。
「自分のような普通の市民には 政府のすることを左右する力はない」という質問には、「とてもそう思う」が32.3%、「ややそう思う」が35.1%で合計67.4%だった。
(2026年2月6日放送分より)
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