肩乗りおしゃべりロボ 車いす生活の女性が遠隔ガイド 最先端技術が支える“働き方”
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 遠隔操作ができるロボットとスーツケース型のナビゲーションロボットです。こうした最先端の技術が人間の移動や、働き方を支えています。

【画像】「AIスーツケース」予め設定した目的地まで利用者を先導

“分身ロボット”で働く喜びを

ロボットが神社の歴史や参拝方法まで説明
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 “おしゃべり”ロボットを肩に乗せ、日本橋を歩く外国人観光客。ロボットが神社の歴史や参拝方法まで説明します。

 ついにAIが観光ガイドまでする時代にと思いきや、実はこのロボットはAIではなく、加地彩さんが操作し会話しているのです。

ロボットはAIではなく…
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ロボットを遠隔操作 加地彩さん
「アメリカのどこから来たの?」

観光客
「アメリカのシアトルよ」

 23歳の時に難病を患い、その後病気が進行し、車いす生活を余儀なくされた加地さん。一時は働くことをあきらめた時もありましたが、遠隔操作ロボット「OriHime(オリヒメ)」を使い、観光ガイドなどの仕事をしています。

「OriHime」を使い働く人は、全国各地に100人以上
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 加地さんのように「OriHime」を使い働く人は、全国各地に100人以上います。

両手を使って感情表現もできる
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 「OriHime」はアプリを使って操作します。頭を動かし、ツアー参加者と同じ視点で周囲を見回し、両手を使って感情表現もできます。

 自分の“分身”としてロボットを使いこなし、慣れた様子でガイドする加地さん。しかし、苦労もあったといいます。

苦労もあった
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加地さん
「正直、直接行ったことがある場所と、ない場所がありまして。(行く場所の)勉強はしました」
「(Q.英語は元々できた?)しゃべるほうは、ほとんどできてなくて。何とか頑張った感じです」

 1人で出かけることが困難なため、ガイドする現場は映像を見て勉強。英語も独学で身につけました。

加地さん
「(OriHimeと出会う前は)家の中にいてうつうつとして、天井を眺めて泣くような日もあって。でもなんか人のために働きたいなって思った時に、この働き方だったら、もしかしたらできるかもしれない」

 身体が思うように動かなくても、「OriHime」を通じて社会と関わることで、よろこびを感じるといいます。

社会と関わることで、よろこびを感じる
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加地さん
「ツアーどこがよかったですか?」

観光客
「全部がベストよ。あなたはツアーのベストパートナーよ。どうもありがとう」
「(日本語で)ありがとう」

加地さん
「ありがとう」

「AIスーツケース」で移動支援

大規模な実証実験の様子
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 大阪・関西万博の会場内を歩く女性。実は視覚障がいがあり、周囲の状況がほとんど見えていません。

視覚障がい者の女性
「すごい、軌道修正した。おぉーなるほどね」

 去年、視覚障がい者の移動支援を目的として行われた大規模な実証実験の様子です。

視覚障がい者の移動支援が目的
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視覚障がい者の男性
「おぉ速い、速い、速い。すごい、すごい、すごい。こんなに速く歩けるってありがたいな」

視覚障がい者の男性
「ずっとこういうので歩けたら快適やろうな」

日本科学未来館などが開発を進めている
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 人が行き交う場所でもスイスイ歩けるのは、手にしている“相棒”のおかげです。

 その“相棒”の名は、自律型ナビゲーションロボット「AIスーツケース」。日本科学未来館などが開発を進めていて、ハンドルを握ることで作動し、車輪が回転。予め設定した目的地まで利用者を先導してくれます。

視覚障がい者の男性
「私たちには何もできないことが、これによってできるようになるので非常にありがたい」

障害物や人を正確に認識
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 秘密は、搭載された特殊なセンサーとカメラ。障害物や人を正確に認識することで安全なルートを即座に計算し、歩行をサポートします。

 そこで今回、松岡朱里アナウンサーをゴール地点に設定した展示ゾーンまで、日本科学未来館を案内してもらいました。

迂回するような動きも
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 人が飛び出すとピタッと止まって危険を回避。迂回するような動きも見せます。

松岡アナ
「アイマスクを着けて歩くっていうのが初めてだったんですけど、安心感があって、人と一緒に歩いているかのような感覚でした」

AIスーツケースの考案者
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 AIスーツケースの考案者は、日本科学未来館の浅川智恵子館長。中学時代にけがで視力を失いながら、世界的なテクノロジー関連企業IBMに入社し、日本人女性として初のフェローに就任した“全盲の工学博士”です。

浅川館長
「スーツケースの中にコンピューターや様々なセンサーを搭載すれば、新たな旅のお供になるのではないかと考えたのがきっかけです」

 ふとした思い付きから2017年ごろに開発がスタート。直近の目標は、ショッピングモールやミュージアムなどでレンタルして見て回り返却する、そんなビジネスモデルの実現です。

視覚障がい者は、目的がない場所で散歩するのが難しいという
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 そして、「AIスーツケースの行き着く未来」は…。

浅川館長
「(AIスーツケースが)自宅に置いてあって、そのまま出かけていける。例えば公園を散歩したり、(視覚障がい者は)目的がない場所で散歩するっていうのがすごく難しいんですね。なので、そういう今までできなかったことを、AIスーツケースと一緒にできるようにしたい」

(2026年2月25日放送分より)

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