
イラン情勢が緊迫する中、早くも日本の原油価格に影響が出始めています。さらに問題が生じるのは「3カ月後」と専門家は指摘しています。
【画像】ホルムズ海峡を通過する船に…イランのイスラム革命防衛隊が繰り返しメッセージ
高市総理「法的評価差し控える」
共産党 田村智子委員長
「主権国家を先制攻撃し、国家体制の転覆を行うなどということが認められてしまったら、戦後の平和の国際秩序は崩壊してしまいます。総理、アメリカとイスラエルに国連憲章、国際法違反の先制攻撃をやめるよう求めるべきではありませんか」
高市早苗総理大臣
「これが自衛のための措置なのかどうかも含めて、詳細な情報を持ち合わせているわけではございません。我が国として、法的評価をすることは差し控えさせていただきます」
共産党 田村委員長
「先制攻撃を行っているアメリカとイスラエルに攻撃中止を求めて、双方が外交交渉に戻るよう求めるべきではありませんか」
高市総理大臣
「他国の方々と意見交換をする。そして何とか、中東地域の平和を取り戻す。そのための精一杯の努力をする予定を組んでいる。もしくは、すでに始めている状況でございます」
日本時間の1日、アメリカとイスラエルが開始したイランへの大規模な軍事作戦。懸念されているのが、エネルギー価格への影響です。
国民民主党 浅野哲議員
「今回の事態は、中東から遠く離れた日本にとっても決して対岸の火事ではありません。特に日本が輸入する原油の約90%は中東産であり、その大半がイランとオマーンの間に位置するホルムズ海峡を通過します。ホルムズ海峡の封鎖は事実でしょうか」
高市総理大臣
「ご指摘のホルムズ海峡封鎖につきましては、事実関係について情報収集を行っているところです」
「今後、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えるために必要な対応、これは機動的に講じてまいりたいと思っております」
ホルムズ海峡が事実上の閉鎖
ホルムズ海峡。エネルギー輸送において、世界で最も重要な要衝のひとつです。
あるのはイランとアラビア半島の間。世界で消費される原油のおよそ2割は、この海峡を通過します。
原油の多くを中東に依存する日本に至っては、およそ8割がここを通って輸入されています。
また世界最大級の液化天然ガス(LNG)の輸出国であるカタールは、ほぼすべてのLNGをこの海峡で輸送しています。
そのホルムズ海峡を通過する船に対して、イランのイスラム革命防衛隊が繰り返しメッセージを発信しています。
イラン・イスラム革命防衛隊海軍(1日)
「全船舶に告ぐ。全船舶に告ぐ。こちらはイラン・イスラム革命防衛隊海軍。これよりホルムズ海峡の航行を禁止する。いかなる船舶も次の通知があるまでは、通過は許可されない」
海峡の封鎖を警告したのです。
日本郵船と商船三井もメッセージを確認し、船舶を安全な海域に待機させています。
すでに石油タンカーが攻撃を受ける事案は相次いでいます。
イランの国営メディアが1日に公開した映像。ホルムズ海峡を通過しようとした船がイランのミサイル攻撃を受けたと伝えています。
またオマーンの海洋当局も1日、パラオ船籍の石油タンカーが攻撃を受け、乗組員4人がけがをしたと発表しました。
カギは“3カ月後”
原油価格への影響は、もう出ています。日本時間の2日午前、原油先物は前の週の終わりと比べ、一時12%以上急騰しました。
慶応義塾大学大学院 田中浩一郎教授
「ホルムズ海峡閉鎖の影響は、日本にとって軽微ではない。原油に関しては、国家備蓄がそれ相当のものがありますので、すぐに困るということにはなりませんし、足りなくなるということもありません。しかし、価格の面で影響を免れることはできません。灯油やガソリンなどの燃料価格に跳ね返ってくることになります。閉鎖が一定期間以上、例えば3カ月とかを超え始めると、東南アジアの国々や一部のOECDの国では戦略備蓄が底をつくような事態になって、困るところが出てくるのは間違いない」
石油について、日本政府はおよそ8カ月分の備蓄。LNGについては、およそ3週間分の在庫があるとしています。
木原稔官房長官
「石油備蓄の放出について、現状では具体的な予定はない」
ただ長期化すれば、影響は避けられません。
田中教授
「自国内で多くのエネルギーを生産することができるアメリカと、外にエネルギー供給を完全に頼らなければいけない日本とでは立場が全く異なります。日米の差が一番あらわれるのは、中東に対する外交・戦略。日本とアメリカは多くの共通項があって同じ方向を向いて協力しているということは間違いないんですけれども、対中東政策という点においては、日本とアメリカはかなりかけ離れた存在であるというふうに認識するべきです」
イラン攻撃巡り国会で質疑
自民党 高木外交部会長
「船舶については3月1日時点ということで、ペルシャ湾に43隻の日本関係の船舶が入域しておりますと。それから現時点で日本関係船舶に被害が生じたという報告はありませんと」
1月のベネズエラへの軍事行動に続いて行われた今回のイランへの軍事攻撃。いずれも政治体制の転換を目的とした“力による現状変更”との指摘もあるなか、日本政府は明確なアメリカ支持を打ち出してはいません。
高市総理大臣
「イランによる核兵器開発。これは決して許さないというのが、我が国の一貫した立場でございます。我が国としてはイランに対して核兵器開発及び周辺国への攻撃を含む地域を不安定化させる行動をやめるとともに、交渉を含む外交的解決を強く求めるものです」
木原官房長官
「今回のイスラエル及び米国による攻撃については、我が国は詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、確定的な法的評価を申し上げることは差し控えさせていただきます」
自民党内からは、こんな意見も…。
自民党 鈴木宗男参院議員
「アメリカにもきちっと悪いことは悪い、良いことは良いと言うのが真の同盟ではないのかと。私はやっぱり今回の件でもベネズエラの件でもちょっと一方的だと」
政治部官邸サブキャップ 大石真依子記者
「イラン攻撃への評価を避けるポイントは2つです。まず、アメリカによるイラン攻撃は批判しない。一方で、イランに対しては『核開発は許されない』と非難する。これはG7(主要7カ国)各国で足並みをそろえた形です。イギリス、フランス、ドイツの首脳は、イランによる報復攻撃を非難する共同声明も出しました。もう1つのポイントは、高市総理は再来週にはワシントンを訪問し、トランプ大統領と会談します。巨額の投資案件や対中国で足並みをそろえることなど、大きな課題が待っています。会談を前に、アメリカに対し批判的な発信はしづらいという事情もありそうです」
1月16日の時点でイラン全土の危険情報を最も高いレベル4(退避勧告)に引き上げている外務省。イランには約200人の日本人が滞在していますが、これまでのところ被害は確認されていません。
政府は周辺国にいる約7700人についても、退避の準備を進めています。
(2026年3月2日放送分より)
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