
アメリカのトランプ大統領はイランの海軍や空軍などをほぼ壊滅させたとして、「防空能力を失ったイランはさらに大きな痛手を受ける」と攻勢を強める考えを示した。
支持者から批判の声
イラン攻撃について、アメリカ国内の反応をみていく。
ロイター通信によると、トランプ大統領を強く支持するいわゆる“MAGA派”からも批判の声が上がっているという。
“MAGA派”の一部有力者らは今回の攻撃に「反対」を表明しており、11月に控える中間選挙で共和党が不利になると警告しているという。
選挙で不利となる理由について“MAGA派”のインフルエンサーらは「イランの人々を解放するために(トランプ大統領に)投票したのではない」「若い世代は国際紛争への深入りより国内政治への関心の方が強い」と指摘しているという。
実際、トランプ大統領は2024年の大統領選の公約に、「戦争を始めない」ということを掲げていた。“MAGA派”の支持者らは今回のイラン攻撃が共和党にとってのリスクになると主張しているという。
出口戦略とは
イランへの攻撃を続ける「目的」について、トランプ大統領の発言に変化がみられるという。
トランプ大統領はこれまでより大規模な攻撃を行うと発言している。
また2月28日、イラン攻撃直後には、イラン国民に「我々の仕事が完了したら政府を転覆させるんだ」と体制転換に向けて行動を起こすよう呼びかけていたが、2日の会見では、今回の軍事作戦の目的を4つ挙げている。
(1)イランのミサイル能力を破壊すること
(2)イラン海軍を壊滅させること
(3)イランに核兵器を持たせないこと
(4)イランによるテロ組織への支援を阻止すること
一方で、イランの“体制転換”についての言及はなかった。このことについてアメリカメディアでは、トランプ大統領が目的をイランの「体制転換」から、イランへの「軍事的な打撃」に修正しつつあるのではないかとの指摘も出ている。
というのも、トランプ大統領は、イランの次の指導者について、アメリカが注目していた候補の大半が攻撃によって死亡したと明かしており、そのうえで最悪のケースは「ハメネイ師と同じくらい悪質な人物が、権力を握ることだ」と指摘。次の指導者は、イラン国内の混乱を避けるため反体制派ではなく、現体制の中の人物が適切との認識を示している。
また、トランプ大統領は、イランに対して地上部隊を派遣するという選択肢を排除していないという。
トランプ大統領はニューヨーク・ポストとのインタビューで、「地上部隊に関して不安はない。すべての大統領が『地上部隊は投入しない』と言うが、私は言わない」と地上部隊の派遣を排除しない姿勢を示した。
アメリカの苦い歴史
アメリカには中東への地上部隊の投入を巡って苦い歴史がある。
2001年に始めたアフガニスタンへの「対テロ戦争」では、地上部隊を派遣しておよそ2カ月でタリバン政権を崩壊させたが、2021年のアメリカ軍の完全撤退までおよそ20年もかかった。
また、2003年に始めた「イラク戦争」でも地上部隊を派遣。およそ9カ月でイラクの大統領だったフセイン氏を拘束したが、過激派組織「イスラム国」の台頭もあり駐留を継続している。2021年に戦闘任務を終了するまで20年近くかかった。
アフガニスタンもイラクも、地上部隊を派遣するなど介入を強めたことで、長期化したとも言われている。
トランプ大統領はこれまで、中東への長期介入について「終わりのない戦争」で「膨大な血と財産を無駄にしてきた」と批判してきたため、今回のイラン攻撃が過去の主張と食い違っているとも指摘されている。
(2026年3月4日放送分より)
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