
運転手不足による路線バスの廃止の波が、東京都心にも押し寄せています。豊洲市場の利用者が多い都営バスの一部や、駅と病院を結ぶ民間の路線も今月で廃止となり、利用者が困惑しています。
【画像】2年連続で運転手の採用人数100人ほどに増加 横浜市交通局の取り組みとは?
行きだけ在続して帰り廃止
4日、江東区の東陽町駅では、豊洲市場へ向かうバス停に、雨の中、朝から長い列ができていました。平日はいつもこの混雑ぶりだといいます。
途中の停留所から乗るという地元住民(50代)からは、こんな声が上がりました。
「運転手に乗車拒否(乗れないといわれる)されることが多かった」
朝のピーク時には始点から満員になるため、途中で乗車できないことも多いといいます。本数が最も多い朝の8時台でも、1時間に3本と少なく、増便も望まれていましたが、今週、信じられない知らせが届きました。
地元住民(50代)
「帰りはもう全く運行休止になってしまったので、その交通費を誰が払ってくれるんだと、今とても悩んでいるところです」
東京都は来月から、「運転手不足」を理由に東陽町駅から豊洲市場へ向かう片道のみを運行し、豊洲市場から東陽町に向かうバスを運休することを発表しました。
出勤で利用(60代)
「いつ決まったんですかね。いつ?悩んじゃいますね、本当に」
出勤で利用(40代)
「(代わりは)自転車か、電車」
「(Q.バスと比べると?)30分くらいかかります」
各地で廃止や値上げ
運転手不足の影響は、さまざまな地域に広がっています。
西国分寺駅から学校や病院にもつながる西府駅行きのバスですが、今月末で廃止となります。
1時間に1本運行していたこちらの路線。廃止の決定に利用者からは…。
家族で利用(40代)
「子どもたちの通学ができない。他のルートを考えなきゃいけないので、すごく困っている」
出勤で利用(20代)
「運賃を上げてでも廃止はちょっとやめてほしい」
低賃金で長時間労働といわれていた中、コロナ禍の利用者減と働き方改革の「2024年問題」というダブルパンチが襲い、バスの運転手不足は深刻化しました。
2030年には3万6000人が不足すると予想され、さらに減便や廃線が増えるとみられます。
こうした中、吉祥寺や三鷹エリアを走る「関東バス」は、人件費を確保するため、今月から普通運賃を10円値上げしました。
家族で利用(40代)
「10円もちりも積もればという感じ。家族もこの路線を使うので、じわじわと家計に響いている」
シニア運転手を活用
運転手が離職しない取り組みを行っている企業もあります。
東京、埼玉エリアを走る国際興業は、雇用期間を拡大。60歳以上の運転手には、通常より2時間ほど短いシフトを用意。これを利用して現在38人のシニア運転手が在籍しています。
国際興業バス シニア運転手
谷川光彦さん(67)
「世の中全体がそうでしょうけど、高齢者が多くなりつつあるのが実感して分かるので、体が許す限りは働こうと思っています」
公共交通機関のバス。雇用拡大に成功している自治体もあります。神奈川県横浜市では去年から、運転手の住居手当を毎月5万円に増額。月給もおととしから13%増えています。
毎年50人ほどだった運転手の採用人数は2年連続で100人ほどに増加し、人手不足による路線の廃止をゼロに抑えることに成功しています。
生活を支える“足”として欠かせないバス。深刻化する人手不足の中、企業と自治体がどう運行を守っていくのかが問われています。
(2026年3月5日放送分より)
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