
殺害されたイランの最高指導者ハメネイ師の後継として、次男のモジタバ師が有力視されていると報じられた。また、NATO加盟国のトルコにイランからのミサイルが飛来。戦火のさらなる拡大に懸念が高まっている。
【画像】イランの安価な兵器がアメリカのミサイル資源を削っている
次男モジタバ師とは?
最高指導者ハメネイ師の後継者について見ていく。
ニューヨーク・タイムズによると、3日、イランでは次の最高指導者を選ぶ専門家会議の会合が開かれたという。その会合では、殺害された最高指導者ハメネイ師の次男モジタバ師が最有力候補として浮上したとしている。
モジタバ師は56歳で、最高指導者の資格を満たす「アヤトラ」という宗教上の階位にある。また、最高指導者が率いる革命防衛隊との関係が深いとされている。
イラン革命防衛隊 創設のわけ
イランには2つの軍がある。
イギリス・国際戦略研究所によると、イランの政府系統の指揮にある「国軍」。規模はおよそ35万人。部隊は陸軍、海軍、空軍などがあり、任務は国防などを行う。
そして、もう一つが、最高指導者直轄の「革命防衛隊」。規模はおよそ19万人。部隊は陸軍、海軍、空軍、対外工作などを行うコッズ部隊などある。そして国軍とは任務が大きく異なり、治安維持なども行う。
さらにこの治安維持に、民兵組織「バシジ」およそ60万人が傘下におり、国民の監視やデモ鎮圧などを行っている。
では、この革命防衛隊がどのように作られたのかというと、1979年のイラン革命時、革命の指導者ホメイニ師が「国軍」が革命に抵抗する可能性があるとして「革命政権の維持とクーデター防止」の目的で創設された。そのため、イスラム原理主義への忠誠度が非常に高い。
また、傘下には100以上の企業があり、土木・石油開発・IT・医療などの経済活動も行っている。
新体制で影響力強まる?
そして、新体制ではさらに影響力を増す可能性があるという。
ウォールストリートジャーナルによると、アメリカのリスク助言会社の創業者が「(ハメネイ師の死去で)体制内で最も強硬かつ軍事的な勢力の影響力が高まった。閉鎖的な軍事国家に近づく可能性がある」と指摘。
革命防衛隊が主導権を握る軍事独裁体制へと移行するのではないかという見方もある。
さらにイラン当局者らによると、イラン情報機関は革命防衛隊の軍事司令官が体制を掌握する計画を策定しているという情報もあるという。
ドローンを大量製造
兵器製造に関しても革命防衛隊が深く関わっている。
デイリー・メールによると、イラン製ドローン「シャヘド」をおよそ8万機~10万機保有。しかも月に200機~500機を生産する能力があるという。
ニューヨーク・タイムズによると、有能とされる「シャヘド-136」は1機あたりおよそ3万5000ドル(日本円でおよそ550万円)で、射程は長く2000キロ、高価な防空システムをすりぬけることもできるということで、コストパフォーマンスに優れている兵器。
また、米財務省によると、このドローンは、革命防衛隊の傘下にある企業「シャヘド航空産業研究センター」などが設計・製造している。
つまり、今回の戦場で多く利用されているドローンの製造にも革命防衛隊が関わっているということだ。
イランの継戦能力は?
そして、対峙するイスラエル、アメリカがイランの攻撃をどこまで受けきれるのかという懸念もある。
ブルームバーグによると、イランのドローン撃墜に1発400万ドル(日本円でおよそ6億3000万円)の迎撃ミサイルを発射。イランの安価な兵器が、アメリカのミサイル資源を削っているという。
デイリー・メールは「このペースで迎撃が続けば、数日以内に在庫が危険なほど低下するのではないかと、当局が懸念している」と伝えている。
さらにルビオ国務長官は2日、「イランは月に100発以上のミサイルを生産でき、数千機の攻撃ドローンも保有している」とした。
一方、「アメリカは月に6~7発の迎撃ミサイルしか生産できない」とし、イランの継戦能力は高くアメリカも警戒している。
レバノンに地上部隊展開
そして、イランの革命防衛隊は周辺国にも代理勢力があり、親イラン武装組織ヒズボラがいるレバノンでは、イスラエル軍による地上侵攻が行われるなど、戦闘が拡大している。
イランの革命防衛隊は周辺国にも代理勢力があり、各地で戦闘が起きている。
イスラエル軍は3日、隣国のレバノン南部に地上部隊の展開を発表。イスラエルのカッツ国防相はSNSに「ヒズボラからの攻撃を防ぐため(部隊を)前進させレバノンの戦略的要地を制圧するよう指示した」と投稿した。
なぜレバノンかというと、レバノンにはイランと協力関係にある親イラン武装組織「ヒズボラ」の拠点があるからだ。
ヒズボラとは1982年にイラン革命防衛隊によって設立された、中東におけるイランの主要な同盟組織で、イスラエル、ヒズボラ双方の攻撃が続いている。
戦火は今後さらに拡大か
そして、革命防衛隊の影響はイランやレバノンだけではありません。
カタール国営通信によるとカタール当局が、イラン革命防衛隊のために活動したと疑われる10人を拘束したと報じた。
そのうち重要施設と軍事施設の情報収集に7人、破壊工作の実行を3人が命じられていたといい、革命防衛隊が中東各国に入り込んでいることが分かる。
そして戦火は周辺諸国に拡大しています。イランは、周辺の湾岸諸国にある米軍施設にも攻撃しており、それに伴い民間施設への被害も出ています。
UAEでは3日までにミサイル180発以上、ドローン800機以上が撃ち込まれ、空港や高級ホテル、エネルギー施設などに被害が。
サウジアラビアでは2日、世界最大級の製油所にドローン攻撃があり火災が発生。操業を一時停止した。
トルコも、イランからの弾道ミサイルが領空に侵入し、NATOのミサイル部隊により迎撃されたと明らかにした。周辺国によるイランへの反撃が行われる可能性もある。
アメリカのニュースサイト「アクシオス」は3日、複数の情報筋の話として、UAEがイランへの攻撃を検討していると報じた。
またイスラエル当局の話によると、サウジアラビアも報復攻撃に踏み切るとの見立てもあり、実現すれば、湾岸・中東情勢は更に悪化する恐れもある。
(2026年3月5日放送分より)
この記事の画像一覧
