
混迷を極める中東情勢。イランに対し「無条件降伏を求める」と主張する、トランプ大統領。対するイランは、徹底抗戦の構えを崩していません。戦火はどこまで広がるのでしょうか。(3月7日OA「サタデーステーション」)
トランプ大統領「無条件降伏を」イランは反発
アメリカとイスラエルの先制攻撃から1週間。日本時間7日、イランの首都テヘランの空が何度も赤く染まります。イスラエル軍は、テヘランへ大規模な攻撃を行ないました。一方のイスラエルのテルアビブ。未明から、テルアビブでは空襲警報が鳴り響き、何度も爆発音が聞こえます。
核協議の最中、アメリカとイスラエルが始めたイランへの攻撃。トランプ大統領はSNSで…。
トランプ大統領のSNSより(6日投稿)
「イランとの合意は、無条件降伏以外にはあり得ない!」
それに対し、イランのペゼシュキアン大統領は…。
イラン ペゼシュキアン大統領(日本時間7日午後4時半ごろ)
「イランが無条件で降伏するというのは、アメリカが墓場まで持っていくべき夢にすぎない」
両者が噛み合う様子はありません。さらに、この1週間の戦果について、アメリカ中央軍は6日、この7日間でイランの軍事施設など3000カ所を超える標的を攻撃したと発表。
アメリカ トランプ大統領 (5日)
「アメリカ軍は世界最強だ。武器を捨てなければ、死あるのみだ」
増える犠牲者 学校や病院も相次ぎ被害に
一方のイラン政府の報道官は6日、3000を超える住宅や500以上の商業施設、それに14の医療施設が攻撃を受けたと発表しています。また、イランで医療活動を続ける赤新月社は、イラン側の死者は1332人に上ると発表。そのような中、イランの報復攻撃は日に日に拡大し、きょう時点で10カ国以上に対する攻撃が確認される事態となっています。イラン国内はいま、どうなっているのでしょうか。
「赤新月社」担当者(イラン・テヘラン 6日投稿)
「この通りのほとんどの建物は崩壊しています。住民は避難する時間さえなかったようです」
テヘランの住民(イラン・テヘラン 6日投稿)
「この辺り一帯に血を流している人がいて、頭から血を流している人もいました」
また、ロイター通信は、女子児童ら160人以上が犠牲となったイラン南部の小学校への攻撃を巡り、米軍の調査担当者は、米軍が関与した可能性が高いとみていると報じています。
そして、アメリカのメディアCNNが、イラン国内で取材を始めました。
CNNフレッド・プレイトゲン特派員(イラン・テヘラン 6日)
「私たちは今、国境を越えイランに入りました」
テヘランでは…。
CNNフレッド・プレイトゲン特派員(イラン・テヘラン 6日)
「金曜日の祈りの後、イランの指導者たちは、何千人もの国民をテヘランに集めました。イスラエルとアメリカの空爆に対する怒りの声を上げています」
集まった人々は、最高指導者ハメネイ師の死を悼み、アメリカとイスラエルを非難する声をあげています。そして、目にしたのは瓦礫と化した病院です。
CNNフレッド・プレイトゲン特派員(イラン・テヘラン 6日)
「ここはテヘラン市内のガンジー病院です。空爆で大きな被害を受けています。近くの建物も攻撃を受けていますが、病院も同様に攻撃された模様です。空爆の対象となり、上空のジェット戦闘機の音を耳にしている国民にとって今は非常に困難な時です」
被害の実態について、人権団体の担当者に話を聞きました。
米人権団体HRANA スカイラー・トンプソン副代表(日本時間7日午前3時すぎ)
「今も民間のインフラに対する攻撃が続いていますが、その近くの学校や病院も、直接的にも間接的にも被害を受けているような状況が続いています。病院が標的になっていることは明らかで、病院に行くことがとても恐ろしい状況になっています」
カギ握る米世論 MAGA派女性の本音は
泥沼の様相を呈してきたアメリカとイランの戦闘。アメリカ国内はどう受け止めているのでしょうか。番組が取材したのは、共和党支持者のエレーナさん。一昨年の大統領選の投票所で撮影された写真には、笑顔のエレーナさんが写っています。
共和党支持者 “MAGA派”エレーナさん(44)(米ミネソタ州 日本時間7日午前11時ごろ)
「写真の私の笑顔は、トランプ氏がこの国のために何を成し遂げるかへの興奮と希望に満ちていました」
過去3度の大統領選、いずれもトランプ大統領に票を投じたというエレーナさん。ところが…。
共和党支持者 “MAGA派”エレーナさん(44)(米ミネソタ州 日本時間7日午前11時ごろ)
「アメリカがイランを攻撃したと聞いたとき、失望しました。“MAGA”の価値観にはないのです」
「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」、略して“MAGA”。外国への軍事関与を抑制し、国内問題を最優先するトランプ氏の看板スローガンです。その熱狂的な支持者は“MAGA派”と呼ばれています。
「戦争を始めない」、こう約束し、大統領の座に返り咲いたトランプ氏。ところが、今回イランへの攻撃に踏み切ったことで、一部の“MAGA派”から反発の声が上がっています。世論調査では、攻撃を「支持しない」と答えた人が54%と「支持する」を上回る結果に。
専門家は国内の支持が得られていない現状をこう分析します。
同志社大学大学院 三牧聖子教授
「人々は物価高対策とか内政の行き詰まりを打破してくれることを求めているんですが、懸念の方が大きい軍事作戦に踏み切ったということで、米国内も色々な衝撃、不安が聞かれているような状況」
そんな中、中間選挙に向けた動きが本格化しています。エレーナさんは…。
共和党支持者 “MAGA派”エレーナさん(44)(米ミネソタ州 日本時間7日午前11時ごろ)
「岐路に立っています。民主党は気に入らない点がたくさんありますが、イランとの戦争は望まないので、同意せざるを得ません」
三牧教授も、イラン攻撃は中間選挙に影響すると指摘します。
同志社大学大学院 三牧聖子教授
「(軍事作戦は)実際には、いまむしろ中間選挙には負の影響。トランプ大統領も膨大な戦費がイランの軍事作戦に費やされる前に撤退したいというのが本音なのではないか」
判断示さぬ高市総理 専門家は
イラン情勢の悪化を受け日本政府は、周辺の湾岸諸国4か国に滞在する日本人についてチャーター機を手配し出国する支援活動を始めました。
チャーター機を申し込んだ女性(サウジアラビア・リヤド 6日)
「まだ何も連絡も来ず、飛行機に乗れるかどうかもわからない状態」
家族3人でチャーター便を申し込んだサウジアラビア・リヤドに住む女性のもとには、毎日のように日本大使館から攻撃情報を知らせるメールが届いていました。
チャーター機を申し込んだ女性(サウジアラビア・リヤド 6日)
「あれだけ迎撃したという事は、それだけミサイルとドローンがどんどん飛んできているということなので怖いです。どんどん迎撃されているという連絡を受けると余計に怖くて、早く出たいです」
この取材からおよそ10時間後。チャーター機の抽選に外れたという連絡が届きました。
チャーター機を申し込んだ女性(サウジアラビア・リヤド 6日)
「ショックです。期待していただけに。また1からかという感じです」
現地の大使館などによると、帰国希望者が多かったため、一部の希望者は搭乗できず、今回のフライトは、妊婦や子ども連れ、高齢者らが優先的に搭乗することになったとしています。今後ついては、改めて周知するとのことです。
日米首脳会談を控えた日本は、この中東情勢とどう向き合うべきなのでしょうか。
同志社大学大学院 三牧聖子 教授
「国際法上極めて問題がある軍事行動に、トランプ大統領から日本が何か協力できないかと言われた場合にどうするのか、というような問題も浮上している中で、まだこの軍事行動自体に関して(高市)総理が判断を示していないというのは、やはり問題なのではないかと思います。この依存関係でいいんだろうかという、やはり健全な疑問は持ち続けるべきだと思います」
