
アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を開始してから1週間。今後、軍事衝突はどのような展開をみせるのか。専門家に聞きました。(3月7日OA「サタデーステーション」)
“無条件降伏”を要求 その意味は
高島彩キャスター
「アメリカの外交・安全保障に詳しい明海大学・小谷哲男教授にお話しを伺います。トランプ大統領が『無条件降伏以外ありえない』としていますが、その言葉の思惑と、イランがこの条件を受ける可能性についてはどう見ていますか?」
明海大学 小谷哲男教授
「この軍事作戦を始めた直後、トランプ大統領はイランの国民に蜂起を呼びかけました。しかし、イラン国民からはそのような動きがみられないという事で、やり方を変えているところだと思います。今年1月、ベネズエラに侵攻してマドゥロ氏を拘束し、ベネゼエラの中では副大統領が暫定大統領となってアメリカと取引をする事になり、『石油の利権はアメリカに渡す』という事になった訳ですが、まさにこれを“無条件降伏”と、トランプ大統領はおそらく定義をしていて、イランに対しても同じことを求めているんだと思います」
高島彩キャスター
「ベネズエラのような形に持っていきたい?」
明海大学 小谷哲男教授
「ハメネイ師亡き後のハメネイ体制の中から後継者が現れて、トランプ大統領の望む政策・方針をとってくれるという事なんでしょうけど、トランプ氏の望まない方針をとる後継者であれば、ハメネイ師のように“排除する”ということがあり得るという事で、軍事的圧力を強めながら無条件降伏を迫るという事になると思います」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「トランプ大統領としては、長期化させたくないんですよね?」
明海大学 小谷哲男教授
「そうですね、既に原油価格もかなり上がってきていますし、マーケット、株価もかなり下がり始めていますので、やはりマーケットを気にするトランプ大統領としては、一刻も早く無条件降伏を勝ち取ったということで、この軍事作戦をやめたいというところだと思います」
米国とイスラエルに“思惑のズレ”も?
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「一方で、トランプ政権はイスラエルと共同作戦を取っていますが、イスラエルとアメリカの間で“思惑のズレ”も指摘されていますが?」
明海大学 小谷哲男教授
「トランプ大統領は“ディールメーカー”を自称していますので、ディールすることが目的なんです。ディールさえできれば、中身についてはそれほど気にしないところがあります。ところが、イスラエルのネタニヤフ首相はディールの中身を一番気にするので、アメリカとイランが安易にディールすることになれば、おそらくイスラエルはそれを認めない。トランプ大統領と交渉するイランの新しい指導者を殺害するという事も十分にあり得る」
高島彩キャスター
「イスラエルが“イランに望む中身”とは、どういったものなんでしょうか?」
明海大学 小谷哲男教授
「『イランが二度とイスラエルにとっての脅威にならない』ということです。核開発計画の放棄はもちろん、イスラエルを攻撃出来るミサイル、ドローンも保有させない。イスラエルに被害をもたらすかもしれない代理勢力、ヒズボラなどへの支援をやめるということが最低条件。イスラエルの本音は、イランがいつまでも内部で混乱し続け、復活できないということだと思います」
今後のターニングポイントは
高島彩キャスター
「そうなると長期化の気配がありますが、トランプ大統領としては、今後の政治日程を考慮して『このくらいで決着をつけたい』というのはあるんでしょうか?」
明海大学 小谷哲男教授
「7月4日がアメリカ独立から250年で、大々的なセレモニーを計画しています。ここで『自らが史上もっとも偉大な大統領だ』とアピールしたいと考えているはず。イランとの関係も40~50年近く敵対関係だったのを変えたのは自分だとアピールしたい。そこまでにイランとのディールをしなければこの戦闘が続いたまま、11月の中間選挙に入ってしまうので『出来るだけ早くやめたい』ということだと思います」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「もし中間選挙で共和党が負けることになると、トランプ大統領は3度目の弾劾訴追の可能性も出てきますが、これをなんとしてでも避けたいという思いは強いのでしょうか?」
明海大学 小谷哲男教授
「7月4日に『自らはもっとも偉大な大統領だ』と言ったにも関わらず、何度も弾劾された大統領はいませんので、このような汚名はなんとか避けたい。この中間選挙に勝つために、おそらくこの夏以降は国内問題に集中したいというのが本音で、そのためにもイランに対する攻撃をやめるための口実を探しているところだと思います」
高島彩キャスター
「今後、1週間の注目点を教えて下さい」
明海大学 小谷哲男教授
「来週以降、米軍がさらに態勢を強化するとみられますので、しかもイラン上空の制空権を掌握しつつありますから、かなり激しい空爆が行われるという事になると思います」
