イスラエル軍事施設に大規模攻撃…“徹底抗戦”の構え モジタバ師“初声明”思惑は

イスラエル軍事施設に大規模攻撃…“徹底抗戦”の構え モジタバ師“初声明”思惑は
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12日、新たな最高指導者となったモジタバ師が後継者に選出されてから初めて声明を発表しました。

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テヘラン市内
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テヘラン市内の一画に大きく書かれた絵。モジタバ師が、革命防衛隊を率いている様子です。モジタバ師の声明が出されたあとに公開されたそうです。

イラン・イスラエル攻撃の応酬

モジタバ師が声明で訴えた徹底抗戦。それに対し、テヘランへの大規模空爆を表明したイスラエル軍。

イスラエル ネタニヤフ首相
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イスラエル ネタニヤフ首相
「古い独裁者を抹殺しました。新たな独裁者であり、革命防衛隊の手先のモジタバは、その顔を見せることすらできません。テロ組織の指導者たちの命は保証しない。テロの黒幕です」

イラン軍は「イスラエル軍の軍事施設に数時間に渡る大規模攻撃を開始した」と発表しました。最高指導者の声明を引き金に、双方の応酬が激化しています。

そのモジタバ師の声明です。

イラン最高指導者 モジタバ師の声明
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イラン最高指導者 モジタバ師の声明
「ホルムズ海峡を封鎖、これは行われるべきものだ。敵の弱点でもある“ほかの戦線”を開くことも。この戦争が継続するならば、国益を考慮して、活性化させるべきだ」

イラン最高指導者 モジタバ師の声明
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主にイラン国民に向けたものですが、強調したのは3点です。『ホルムズ海峡の封鎖を続ける』『死亡した国民一人一人に伴う報復を行う』『敵国には賠償金を求める』というものでした。

ただ、周辺国に対しては友好的メッセージも出しています。

イラン最高指導者 モジタバ師の声明
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イラン最高指導者 モジタバ師
「我々は、陸や海を通じて、15の国と隣接している。これらの国々に対して、攻撃する意図はなく、あくまでもアメリカ軍基地のみを攻撃した。今後も、やむを得ない場合には、この措置を続けていくことになる。それでも、私たちは、自国と隣国の間に交友関係が必要だと考えている」

周辺国を攻撃 世界経済に打撃

ドローン
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しかし、この声明のあとにも、ドバイの金融街や工業地帯にドローンが飛来。軍部からはこんな脅しも。

イラン軍司令部報道官
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イラン軍司令部報道官
「エネルギー、インフラ、港湾に少しでも攻撃すれば、強力で壊滅的な打撃を受けるだろう。そのような侵略行為があれば、域内の欧米諸国のすべての石油・ガス施設に火が放たれ、破壊されることになるだろう」

イラン側には、革命防衛隊の支援を受ける別の武装組織も参戦していて、連日、周辺国の軍事施設にドローン攻撃をしかけています。

12日には、イラクの米軍基地に駐留していたフランス兵1人が死亡する事案も起きています。

そして、最大の懸念はホルムズ海峡の封鎖。

革命防衛隊
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12日にペルシャ湾で攻撃を受け、炎上した2隻のタンカー。革命防衛隊は、防衛隊の海軍のミサイルが攻撃したと表明しました。さらに、イラン側は、小型ボートを使って、ホルムズ海峡に機雷を撒き始めたという報道もあります。

事実であれば、撤去のために月単位の時間を要する事態も想定しなければなりません。

新たな最高指導者が掲げた海峡封鎖の継続による、世界経済への打撃が現実味を帯びてきています。

トランプ氏“翻意” 対ロ制裁解除

楽観視していたトランプ大統領。

アメリカ トランプ大統領(11日)
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アメリカ トランプ大統領(11日)
「原油価格の上昇は戦争にはつきもので、ほぼ予測可能だ。上昇幅は予想以下だし、これから驚くほど値下がりする。原油価格は、想像を超えて一気に下がっていく」

この発言から1日で、態度を豹変させました。

アメリカ トランプ大統領のSNSから
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アメリカ トランプ大統領のSNSから
「アメリカは、世界で断トツの産油国なので、原油価格が上がれば、がっぽり儲かる。しかしだ、大統領として、私が何よりも重大だと考えているのは、悪の帝国イランが、核兵器を手に入れ、世界を破壊するのを阻止することだ。これだけは絶対に許さん」

一方で、ロシア産原油に対する制裁を一時解除するという、矛盾した政策も行っています。

CNNによりますと、イランへの攻撃作戦を立案する際、トランプ政権は、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性を軽んじていたといいます。

CNN
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CNN
「トランプ政権の国家安全保障チームは、“最悪のシナリオ”とささやかれる事態の潜在的影響を十分に考慮していなかった」

“テロの脅威”アメリカ国内も緊張高まる

アメリカでは、もう一つ、懸念すべき事態が起きています。

ユダヤ教の礼拝所
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12日、ユダヤ教の礼拝所にトラックが突っ込み、乗っていた男と警備員の間で銃撃戦となりました。容疑者はレバノン出身で、周囲に「イスラエル軍の空爆で家族が死亡した」と話していたといいます。

前日には、「イランが太平洋沖の船からカリフォルニア州にドローン攻撃を仕掛ける危険性がある」と、アメリカメディアで報じられたところです。

今週末にはアカデミー賞の授賞式も控えています。テロに対して敏感にならざるを得ないのが、いまアメリカが置かれた状況です。

トランプ大統領は、いまだモジタバ師の声明に対する明確なリアクションはありませんが、SNSにこう投稿しています。

アメリカ トランプ大統領のSNSから
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アメリカ トランプ大統領のSNSから
「この常軌を逸したクズどもがどうなるか見ているがいい。こいつらは、世界中で罪のない人たちを殺し続けてきた。そして、いま、アメリカ大統領である私が、こいつらを殺しているのだ」

◆ハメネイ師亡き後、新たに最高指導者に選ばれた次男のモジタバ師が初めて声明を出しました。その声明の中身を読み解いていきます。

イランの政治・社会情勢に詳しく、イランの日本大使館で専門調査員などを務めた中東調査会・主任研究員の斎藤正道さんに聞きました。

15の隣国
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斎藤さんは気になる部分をいくつか挙げていて、その1つが『イランの一貫した政策は、15の隣国との温かく建設的な関係を築くこと』という部分です。この15の隣国というのは、斎藤さんによりますと、UAEやクウェートなどの中東諸国や、パキスタン、ロシアなど、イランと陸や海を接する国々を指すとのこと。モジタバ師の声明では、『これらの国々に対して攻撃を行う意図はない』としています。

その思惑について、斎藤さんは「近隣諸国との関係を改善し、戦後の経済復興につなげたいという願望では」とみています。

UAEやクウェートなど、15の国々の中には、イランに攻撃された国もあります。これらの国々には、欧米諸国が軍事基地を置いていました。その基地について、声明では『私たちが攻撃したのは基地のみであり、今後もやむを得ない場合は同様の措置を取り続ける』としています。

斎藤さんは「これがイランの真意なら、ハメネイ師を殺された復讐という感情的な面や、アメリカへの抑止力として、今後も軍事基地への攻撃を続けると明確に述べたことになる」といいます。

モジタバ師
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もう1つ、斎藤さんは『このまま戦争状態が続いた場合は、敵にとって脆弱な別の戦線を開く』という部分についても注目しています。

“別の戦線”について、斎藤さんは「ホルムズ海峡とは別の、テロ活動を警告しているのでは。中東地域に限らず、欧米諸国やイスラエル関係者・関係機関を狙ったテロを示唆していることも考えられる」としています。

◆イラン国内では、モジタバ師の声明はどう受け止められているのでしょうか。

イラン国民
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斎藤さんは「モジタバ師の体制を強く支持する国民は少ない。戦闘の継続は、イラン経済にとって大きな打撃になるので、『早く終わってほしい』というのが、国民の大多数の思いではないか」とみています。

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