米軍がイランの石油拠点の島を爆撃 在日米軍部隊の派遣も 日本への影響拡大懸念

米軍がイランの石油拠点の島を爆撃 在日米軍部隊の派遣も 日本への影響拡大懸念

アメリカは新たに、イランの石油輸出の拠点となる島を爆撃しました。対するイランも報復の構えを見せていて、紛争がこれ以上長引けば、石油を中東に依存する日本への影響がさらに広がる恐れも…。(3月14日OA「サタデーステーション」)

石油資源めぐり攻防激化

日本時間14日に公開された映像。アメリカ軍が、イランの石油積み出しの拠点、カーグ島にある軍事目標を次々と攻撃しています。

CNNの記者(日本時間14日午前9時放送)
「アメリカ軍の当局者は、カーグ島へかなり大規模な空爆を行ったとしています。この島は極めて重要な場所で、イランの原油の90%はここから輸出され、イランは世界の原油供給量のおよそ4%も占めているという事実も見逃してはいけません」

攻撃の対象についてトランプ大統領は。

トランプ大統領のSNS(13日投稿)
「イランの宝であるカーグ島のすべての軍事目標を完全に壊滅させた。“節度”を持って石油インフラは破壊しないことにした」

イランへの脅しの意味もあるのかもしれません。

トランプ大統領のSNS(13日投稿)
「もし、イランや他の誰かが、ホルムズ海峡を通る船舶の自由かつ安全な通航を妨げた場合、直ちにこの“節度を持った決定”を考え直すことになる」

原油輸出の拠点の島を攻撃されたイランは、報復の構えを強調。ロイター通信によると、イラン軍は、「イランの石油・エネルギーインフラに対するいかなる攻撃も、中東地域で米国と協力している石油会社が所有するインフラへの攻撃につながるだろう」と警告しました。

アメリカとイスラエルによるイラン攻撃から2週間。世界の原油生産のおよそ3割を占める中東で、その石油資源をめぐる攻防が激しくなっています。ホルムズ海峡は実質的に、イランによって封鎖された状態で、船舶に対する攻撃が相次いでます。

トランプ大統領は、ホルムズ海峡で船舶を護衛することに言及しました。

トランプ大統領(13日 米メリーランド州)
「(Qアメリカ海軍はホルムズ海峡でタンカー護衛を始めるのか?)まもなく行われるだろう。戦闘が終わればすぐに、ガソリン、ガス、その他エネルギーに関係するあらゆるものの価格が大幅に下落する」

在日米軍部隊の一部を中東派遣へ

ホルムズ海峡をめぐり、イランは強硬姿勢を崩していません。新たな最高指導者となったモジタバ師は、就任後、初めての声明でこう強調しました。

モジタバ師の声明(12日放送 イラン国営テレビ)
「我が同胞の戦士たちよ。イラン国民が望むのは、敵に後悔させる効果的な戦闘の継続である。さらに、ホルムズ海峡封鎖という手段は、確実に継続して行使されねばならない」

この声明で注目されるのは、モジタバ師は姿をみせなかったことです。

アメリカ国務省は、モジタバ師ら10人に関する情報提供に対して、最大1000万ドル、およそ16億円の報奨金を支払うと表明しました。

そして、アメリカはこれまで慎重だった地上戦への動きも見せ始めています。

CNNキャスター(日本時間14日 午前8時放送)
「多くの米海兵隊員が中東へ向かっています。米国防総省は、同地域に海兵隊員2500人余りと軍艦を追加派遣します」

複数のアメリカメディアは13日、国防総省が、アメリカ海軍佐世保基地に配備する強襲揚陸艦や、沖縄に駐留する海兵隊の部隊を含むおよそ2500人を中東方面に向かわせたと報じました。

ガソリン急騰 政府対策の効果は

“ホルムズ海峡の封鎖を続ける”と宣言したモジタバ師。機雷が敷設されたなど情報が飛び交うなか、イランへの攻撃以降、原油価格は乱高下し最新の値で1バレル98ドルと、100ドルの大台に迫る勢いです。日本国内でも影響が出始めています。

シンエネ八幡山SS 佐藤大店長(東京・世田谷区 14日)
「先週が155円から2円上がって157円になって、その後、12日に28円上がって185円になった」

今月下旬以降は原油の輸入が大幅に減少し、1リットルあたり200円を超える可能性もあります。170円程度に抑えるため、政府は元売り各社に、補助金を支給する方針です。さらに政府は、過去最大となる石油備蓄の放出を表明。まず、来週月曜に民間備蓄を15日分放出し、今月下旬から来月上旬にかけ国家備蓄1か月分を放出するとしています。この狙いについて専門家は。

野村総合研究所 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
「ガソリンがなくならないんだということを示して、買い急ぎとかしないようにという心理的な効果を狙っている面が大きい」

原油高 身近な商品に影響も

ガソリン以外にも、影響が出始めているものがあります。番組が取材したのは、プラスチック容器などを作る会社。

マサキ工業 金井俊助社長(千葉・市原市 13日)
「これが(原料の)ポリエチレンですね。実際シャンプーの容器だとか、医薬品とか、色んな容器に使われているのかなと思います」

しかし、ポリエチレンを作るのに欠かせない原油の供給が不安定となっているため、ポリエチレンの仕入れにも影響が出ています。

マサキ工業 金井俊助社長(千葉・市原市 13日)
「1~2週間くらいで結構(仕入れ先の)メーカー側から案内が来ている。『サウジ、3月積みより出荷が難しい』とか」

5月までの在庫は確保していますが、長期化による価格の高騰を懸念しています。

マサキ工業 金井俊助社長(千葉・市原市 13日)
「高い原料でも買わなきゃいけないのかなというところはあるかなと思います。製品単価をすぐには値上げできないので、自社の利益を削る状態になる」

ポリエチレンから作られる商品は他にも。

日本サニパック 井上充治社長(東京・渋谷区 13日)
「様々な商品がございまして、ゴミ袋、食品保存の袋、あるいはチャックが付いているフリーザーバッグなど、当社では800アイテムぐらいある」

中東からポリエチレンを輸入し、海外の自社工場で製造しているこちらの会社でも、原料を乗せた船がホルムズ海峡を通過できない状態が続いています。

日本サニパック 井上充治社長(東京・渋谷区 13日)
「(攻撃前の)2月末と比べて、今週は国際的なポリエチレンの価格が40%も大きく上昇しています。これまで経験したことがないような原料およびコストの大幅な上昇と、円安の進行などにより、当社の企業努力だけでは対応がなかなか難しい」

原料・商品の在庫はあるものの、今の状況が続けば 、5月以降は30%以上価格を引き上げざるを得ない可能性もあるといいます。会社では、石油への依存度を下げる取り組みを強化していく方針です。

日本サニパック 井上充治社長(東京・渋谷区 13日)
「ポリエチレンだけでなく、天然ライムストーン、石灰石を24%ほど入れており、石油に依存しない原料も使っております」

石油不足はいつまで続くのでしょうか。

野村総合研究所 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
「(11月のアメリカ)中間選挙がある種の期限、(夏ごろが)一つめどだと思ってはいますが、それまでに原油価格が本当に150ドルになるとか、それを受けて世界的に株が暴落する、アメリカでもいわゆるトリプル安のような状況が見られてくると、トランプ政権の戦略の転換が早まるということはある」

19日に日米首脳会談 トランプ氏の要求は

高島彩キャスター
「米軍は、沖縄の海兵隊などの中東派遣を決めました。今後、どのような展開が想定されるのでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー
「アメリカの外交・安全保障に詳しい明海大学・小谷哲男教授に聞きいたところ、今回、派遣される海兵隊や強襲揚陸艦は上陸作戦を担う部隊です。そのため米軍は、イランでの地上戦も視野に入れている可能性があるといいます。目的としては大きく2つあり、1つはホルムズ海峡にあるゲシュム島。イランのドローンや対艦ミサイルが配備されていて、この拠点を叩く狙いがあると言います。もう一つがカーグ島で、イラン最大の石油輸出拠点があり、13日にも米軍が攻撃していますが、石油利権の確保も視野に海兵隊投入の可能性が高いのではないかということです。そして、こうした動きの背景には、トランプ大統領の「原油価格を下げたい」という思惑があると、小谷さんは見ています」

高島彩キャスター
「アメリカによる攻撃開始から2週間が経ちましたが、柳澤さんは、今の状況をどうご覧になっていますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「トランプ大統領は、やはり原油高騰がかなり効いているなという印象を持ちます。最近のトランプ大統領の発言を見ていると『イランの脅威を取り除いた』と強調して、早く勝利を宣言して、とりあえず今回の攻撃の幕を引きたいという思惑が透けて見えているような気がするんです。一方でイランですが、トランプ大統領が目指していた体制転換の兆しが全く見えていません。長期戦をいとわずドローン攻撃を繰り返して、ホルムズ海峡を事実上封鎖した状態で世界に対して揺さぶりをかけ『アメリカへの圧力を強めたい』との考えが見えてきます」

高島彩キャスター
「そうなると、長引きそうな印象を受けますが、こうした中、19日には日米首脳会談が予定されています。今回の紛争前から決まっていた訪米ですが、このタイミングでトランプ大統領が高市総理に対して、何らかの対応を求めてくる可能性はあるのでしょうか?」

板倉朋希アナウンサー
「小谷さんによりますと、11日のG7オンライン会議で議長国のフランスから『各国で連携し、ホルムズ海峡の航行の自由を確保すべき』との提案がされたことを受け、トランプ大統領からは『日本に何かできることはないか?』と、要請される可能性はあるということです。その場合、対応は大きく2つあり、一つは自衛隊を派遣する場合ですが、日本ができるのは中東での警戒監視、情報収集を提案することくらい。もう一つ、自衛隊を派遣しない場合、提案できる策としては『資金提供』です。現在、ペルシャ湾を航行する船の保険料が上昇していて、アメリカが約3兆円の保険を提供すると発表しています。日本も連携して補償額を増やすことで、自衛隊派遣を回避できる可能性もある、と小谷さんはおっしゃっていました」

高島彩キャスター
「柳澤さんは、日本はどんな対応ができると考えますか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「イタリアが参考になる気がするんです。イタリアのメローニ首相は、トランプ大統領と親しい関係だということなんですが、今回のイラン攻撃については、メローニ首相は『国際法の範囲外で、イタリアはこの戦争に参加していないし、これからも参加するつもりはない』と、きっぱりとトランプ大統領にNOを突き付けているんですよ。日本も2015年、安保法制の国会議論の中で当時の安倍総理が『国際法上認められない行為を支援することはない』と、当時の岸田外相も『先制攻撃も認められない』と言っている。今回のアメリカ、イスラエルのイラン攻撃については、国際法に違反しているという見方が大勢を占めていれます。過去の日本政府の対応を例証しながら、トランプ大統領に対しては『できること・できないこと』を明確に伝えるという方法があると思います」

高島彩キャスター
「トランプ大統領に面と向かってNOと言えるんですか?」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「国益うんぬん、となると難しいと思うんです。そこは日本のお家芸とも言われますけども、お茶を濁す、ノラリクラリという形でかわすという手もあると思います」

高島彩キャスター
「来週の日米首脳会談で、日本にどんな決断、判断が求められるのか。日本の立場が問われる局面になりそうです」

外部リンク
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