
高市早苗総理大臣が19日午前アメリカに到着、日本時間20日午前0時すぎから日米首脳会談が行われる。艦艇派遣を巡り発言を二転三転させるトランプ大統領に、高市総理はどう対応するのだろうか?
日米首脳会談の行方は
まず、日米首脳会談のスケジュールから見ていく。
日本時間の19日午前、高市総理がアメリカに到着した。日本時間の20日午前0時すぎから日米首脳会談、日米首脳ワーキングランチの予定だ。
20日午前は日米首脳夕食会が行われ、日本時間の21日は第二次世界大戦の戦没者が祭られているアーリントン墓地を訪れ、その日のうちに帰国するという。
自衛隊の艦艇派遣は?
トランプ大統領の態度が二転三転している。
トランプ大統領は14日、SNSにホルムズ海峡の安全確保のため多くの国が軍艦を派遣するだろうと、各国の艦艇派遣に期待を示す趣旨の投稿をしていた。
ただ17日、自身のSNSで、「我々はNATO諸国の支援を必要とせず、また望んでもいない。日本、オーストラリア、韓国についても同様だ」と述べ、態度を一変させた。
さらに日本時間の18日夜、トランプ大統領はニューヨーク・ポストの記事を引用する形で「アメリカの同盟国は冷静さを取り戻し、ホルムズ海峡の通航確保に向けて積極的に協力すべきだ」と投稿。二転三転する中、20日の日米首脳会談を迎えることになる。
そして各国がトランプ大統領の要請に消極的な態度を示しているが、日本側は水面下で動いている可能性があるという。
日本が現状のホルムズ海峡に自衛隊の艦艇を派遣するには要件がある。一つが、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」。これを認定し、他に適当な手段がない場合「集団的自衛権の行使」が認められるが、政府判断では該当しないとしている。
そして、存立危機事態手前の「重要影響事態」。認定すれば、米軍などへの給油など後方支援が可能になるが、戦闘行為がある場所では実施しないことが定められている。
また、「海上警備行動」として、自衛隊が海の上で“警察権”を発動できるという方法があるが、国または国に準する組織には派遣できないなど、このどれも法的にハードルが高い。
この法的に難しいということについて、18日、高市総理は国会で「先方(米国)も日本の法律をよくご存知のはずだ」とアメリカも理解していると説明している。
では、日本ができる交渉材料は何があるのだろうか。
2019年、アメリカとイランが対立し、ホルムズ海峡でタンカーへの攻撃が続いた。第1次トランプ政権は、日本など各国に協力を要請し、民間船舶を守るため「有志連合」への参加を打診した。
当時の安倍政権は、アメリカと伝統的な友好国であるイランに配慮し「有志連合」には参加せずに、「調査・研究」という名目で、自衛隊をホルムズ海峡ではなく、中東海域へ独自派遣した。
朝日新聞によると、この時、日本は隊員をバーレーンのアメリカ中央海軍司令部(有志連合の心臓部)に派遣し、アメリカとの情報共有も進めることで折り合ったという。
米は迎撃ミサイル不足?
アメリカは軍事作戦開始当初から、弾薬不足が指摘されている。
ワシントン・ポストは9日、国防総省関係者2人の話として、イランへの軍事作戦開始2日間で推計約8800億円相当の弾薬を使用したという。
こうしたことを受けてか、アメリカ軍が韓国に配備している高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」と、インド太平洋地域などにある地対空誘導弾「パトリオット」の一部をイランへの防御態勢強化のため、中東に移転したと報じている。
またポリティコによると、アメリカの防衛関連企業では労働力不足も問題になっている。製造には、高度なスキルを持った従業員が必要だが、防衛関連企業の75%が適格な従業員の確保に苦労している。
そんな中、期待されるのが日本でのミサイル製造だという。
ロイター通信は13日、日米首脳会談で日本がミサイルを増産し、アメリカへ供給することが議題となる可能性があると報じた。
日本はこれまでにも「パトリオット」を受注製造。去年11月、アメリカへ輸出が完了したと発表した。
また日本は、2023年の改正で、殺傷力のある防衛装備品について、戦闘が行われていると判断される国への供与は認めないとする一方、ライセンス生産品は、特許保有国に輸出可能に。完成品に殺傷力があっても部品の輸出は可能としている。
“脱中東”の秘策となるか
ホルムズ海峡での緊張が続く中、日本が対米投資の一環としてアラスカ州の原油増産に向けて協力する方針だという。
イラン情勢を受け、原油の調達先の多角化が喫緊の課題となる中、日米首脳会談でアラスカ州の原油の増産に向けて日米で協力し、日本側はその原油を調達する意向をアメリカに伝える方向で調整しているという。
このアラスカ州産の原油とは、原油生産量は1日当たり約6万3000キロリットル。これは25メートルプール約200杯分とされ、日本の1日の消費量の10%程度だという。
日本が輸入する原油の9割超は中東産が占めていて、朝日新聞によると、アメリカ産の輸入を増やすことで、中東依存度の低下を目指すということだ。
アラスカ産原油のメリットとしては、中東からタンカーが日本に到着するまで約20日かかるのに対し、約12日と短い日数で運ぶことができる。
さらに、ホルムズ海峡や、海賊などが出没するマラッカ海峡など、地政学上の要衝を経由せず、輸送上のリスクも少ない点があげられる。
一方で懸念もある。アメリカ産の原油は中東産に比べて凍土対応の維持管理コストが増大傾向という懸念を指摘する声が上がっている。
(2026年3月19日放送分より)
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