
先行きが見えないイラン情勢、それに伴って急激に上がる原油価格。世界的な問題は、軽油で走る日本各地の路線バスにも大きな不安をもたらしています。
【画像】「価格転嫁できない」補助金でも“焼け石に水”か…“軽油急騰”路線バス会社の不安
「燃料補助金」投入で値下げも…
広島県のガソリンスタンドでは19日も、大幅な価格の変更が行われていました。北海道でも…。

大原麻潤記者
「レギュラーガソリンの価格が切り替わりました。169円と表示されています」

政府は、石油元売り各社に30.2円の補助金の支給を開始。ただ、19日に仕入れる分から適用されるため、この値下げは各スタンドの企業努力によるものです。

今回の『燃料補助金』は、ガソリンを含む4つの油種が対象で、バスなどに使う軽油も対象です。

片山さつき財務大臣
「財務省としては、しっかり財源を確保することは1ミリも揺るがずにやっている。どうぞよろしくお願いします」
路線バス会社の不安

19日、自民党本部で行われていたのは『自民党バス議員連盟総会』。2000社以上が加盟する日本バス協会の会長も出席し、現場に広がる“燃料の供給不安”を訴えました。

日本バス協会 清水一郎会長
「(卸の)売り惜しみとか。バスは結構、軽油を使っている。それがないと動かないので、なんとかお願いします」
愛媛県松山市にある伊予鉄グループの社長も務める清水会長。
日本バス協会会長 伊予鉄バス 清水一郎社長
「油の問題は全国的に大きな問題になっていますけれど、特に公共交通のバスが止まるようなことがあれば大変」

ひと際目立つ、オレンジ色が特徴の伊予鉄バスは市民の大切な足です。

男性
「必要不可欠でしょうね」
(Q.どれぐらい必要不可欠)
「ないと生活できない」
「やっぱり田舎だから、どうしても。駐車場も高いので、バスは非常に便利。普段から移動手段で使っています」
市内で200台が稼働していますが、その給油方法は…。

所村武蔵アナウンサー
「営業所に帰ってきた路線バスが今、自社の敷地内にある給油所で軽油の補給を行っています。こちらのバス会社では、多い時で月に30万リットルの軽油を使用するといいます」

事業所の敷地内に専用の燃料タンクを設置する『インタンク』。燃料元売りからまとまった量を一度に買う分、安く手に入れるメリットがあります。補助金が入ったとしても、かつてないほどの値上げが経営を圧迫します。

伊予鉄バス 中川智之取締役
「直近の通知を受けてる金額で試算したところ、数千万から億の単位まで経費が増える見込み。我々としては早期に供給の安定化・価格の安定化ができていくような、そういう方向に向かってもらえればと」
公営バス“入札不調”相次ぐ

行政が運営しているバスの中には、燃料の調達に苦慮している地域もあります。京都市営バスは市内を中心に810台が走っていますが、京都市交通局によると、石油の卸売り会社など3社が入札に訪れるも、2社が入札を辞退。残る1社も市の予定価格を上回ったため、入札は不調に終わっています。
長期化への苦悩「価格転嫁は…」

東京都交通局でも今週、入札を行いましたが、こちらも不調に終わっています。都内でバス会社を経営する社長。市と事業者らで開く会議の場でも、出たのは「燃料価格の先ゆきに関する話」だったといいます。そうです。

バス会社『銀河鉄道』山本宏昭社長
「(市とは)燃料も上がって大変。人手不足で大変。せっかく4月から暫定税率廃止で、色々プラスのところに向けようと思っていたところ“絵に描いた餅”になっちゃうわけで」
専用のタンクではなく、一般のスタンドを使うため、価格変動の影響も受けやすいといいます。また、ドライバーからこんな心配も…。

ドライバー
「これから夏になって暑くなってくると、エアコンかけますよね。そうすると燃費が変わってきます」

もともと利益を取ることが目的ではない路線バスですが、一月に使う燃料は6000リットル以上、金額にして120万ほどになります。

バス会社『銀河鉄道』山本宏昭社長
「観光バスは損がないように、バス会社がいくらですと値段を自由につけられる。路線バスはそうはいかない。仕入れ原価が上がった分を価格転嫁できない特殊な産業です」
1L=190円“過去最高値”

資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの店頭価格は、全国平均で1リットルあたり190.8円(16日時点)です。前の週から大幅に上がり“過去最高値”を更新。5週連続の上昇となりました。

こうした事態を受け、19日に政府のガソリン補助金が再開されました。政府は、店頭価格を170円程度に抑えるために、石油の元売り会社に対し、1リットルあたり30.2円の補助金を支給します。(19~25日)
その元売り会社からガソリンスタンドには、補助金分が割り引かれた卸売価格で納入されます。そして、ガソリンスタンドから消費者に対しても、値下げされた店頭価格として販売されるということです。
すでに、先行して値下げしている店舗もありますが、一般的には、店頭価格が170円程度になるまでに1~2週間程度かかるということです。
財源不足の恐れは?

片山財務大臣は、ガソリン価格が今の水準のままの場合「170円程度に抑えるためには、月3000億円程度かかる」としています。政府は、その財源に激変緩和のための基金2800億円を充てるとしていて、これで1カ月程度は賄えるとみられています。
この基金を使い切ったらどうするのか。片山財務大臣は、予備費を使う可能性に言及しています。予備費というのは、災害対応など想定外の事態に備えるためのお金で、来年度は1兆円になる見通しです。ただ、原油高が長期化すると、別の財源が必要になるなど国の財政が悪化する恐れもあります。
