
燃料費の急騰は私たちの暮らしに身近なところにも影響を及ぼしています。地元で長年愛されてきた老舗の銭湯は、57年の歴史に幕を下ろす苦渋の決断を下しました。
老舗銭湯が悲鳴「値上げできない」
すぐ近くで富士山を仰ぐことができる、富士見湯。昭和の香りを色濃く残し、長年地元に愛されてきた老舗銭湯ですが、今、かつてない苦境に直面しています。
富士見湯 吉川隆之オーナー
「これがバーナー。これでお湯を沸かしている」
「(Q.燃料は何を使っている?)重油を使っています。心臓ですよ。血液と一緒」
ボイラーの燃料として用いられる「重油」。緊迫するイラン情勢の余波を受け、その価格が急騰しています。
これまでは1リットル100円程度でしたが、富士市では今月12日の時点で130円まで大幅に値上げされました。
「これ以上上がってしまうと、とてもじゃないけどやっていけない。いきなり下がるものではないし、このまましばらく何カ月間かは頑張らなきゃいけないというのが現実」
このまま高止まりが続けば、燃料費だけで年間およそ60万円もの負担が増える恐れも…。さらに、ここで銭湯ならではの「ある事情」が追い打ちをかけます。
「生活の中の銭湯であるものですから、(入浴料の)最高金額が決まっています」
いわゆるスーパー銭湯とは違い、生活に必要な「一般公衆浴場」に分類される富士見湯は、静岡県の決まりで入浴料の上限が520円に定められています。現在、こちらの入浴料は、500円です。重油の値上がり分をカバーするためには、本来650円ほどに設定しなければ採算が合いません。
「(客からは)『10円でも厳しいよ』という意見もやっぱり聞きます。毎日来ているお客さんに迷惑がかかるわけだから、こちらも我慢しなきゃいけない」
57年の歴史に幕
先行きの見えない重油価格。同じ悩みを抱える銭湯が増える中で、すでに惜しまれながらも廃業を決めたところも…。
1968年に創業した青森市の「桂木温泉」。平日でも利用客が1日200人を超える街の社交場です。
桂木温泉 山口昌良社長
「実は3月の時に、重油の購入先の方から値段が上がる連絡が来たんですよ。その次の週にまた上がるということで、毎週上がってきている。本当は続けていきたいが、現状が現状。閉湯という形を取らせていただいた」
今月に入ってからの度重なる重油価格の上昇に加え、ポンプやサウナ設備などの維持費が重くのしかかり、57年の歴史に幕を閉じることになりました。
利用者
「40年近く来てるのかな、結構長く来てます」
「いいお風呂だったけど残念です」
世界中を騒がせるイラン情勢。地域に根づく「憩いの場」にも、暗い影を落としています。
(2026年3月22日放送分より)
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