
攻撃の猶予期間が5日に延ばされた裏で、イランに近づいているのがアメリカ軍の強襲揚陸艦です。イランも警戒する、この強襲揚陸艦。そもそも、どんな船なのでしょうか。
【画像】イランの生命線「カーグ島」 長い桟橋には大型タンカーも接岸
27日にも中東の海域へ?
甲板から飛び立つ戦闘機。全長257メートル、船の上に滑走路を備えるのは強襲揚陸艦「トリポリ」です。
この巨大な軍艦が12日に台湾沖で、17日にはマレーシア沿岸付近を航行している様子が衛星から捉えられました。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは政府高官の話として、27日に中東地域の海域に入る予定だと伝えています。
佐世保基地配備の強襲揚陸艦が今、なぜ中東を目指しているのでしょうか?
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「揚陸艦というのは、地上部隊を上陸させるための船。強襲とは、平和な時ではなく危険が伴う状況で地上部隊をあげる時に使う。それが強襲揚陸艦」
「ものによってはホーバークラフトで上陸するが、ドック型という船体の前面が開くものは、それだとかなり沿岸近くまで行きます。トリポリは空中機動型。海兵隊約2000人、乗組員含め3000人を収容。居住スペースはかなり必要。航空機の格納庫がずらっと、20~30機ほどの航空機を積んでいる」
強襲揚陸艦は上陸作戦を実行するための戦艦です。それが中東へ向かう狙いは、イランへの圧力だと黒井氏は指摘しています。
「この後、どうなるか分からないのでプレッシャーをかけるため、海兵隊の地上強襲部隊を準備しておこうと」
“イランの生命線”カーグ島とは?
中東に迫るアメリカの強襲揚陸艦「トリポリ」。地上上陸作戦に適した軍艦です。
その攻撃目標の一つと報じられているのが、ペルシャ湾に浮かぶ20平方キロメートルほどの小さな島「カーグ島」です。
衛星写真からでも石油施設が密集していることが分かります。長い桟橋には大型タンカーも接岸でき、イランの原油輸出の9割を扱うイラン経済の生命線です。
CNNは、革命防衛隊の厳しい管理下にあり、イラン国民の間では「禁断の島」と呼ばれていると報じています。
黒井氏
「(目標が)カーグ島と言われているのは、イランの石油精製・輸送の一大拠点だから。アメリカ軍統合参謀本部が、いろんなシチュエーションで計画を立てるので、選択肢の中の一つとして、この後どれだけ拡大するかも分からない。いざという時に、『海兵隊を出す』と決めて『あす』はできないから準備」
上陸作戦 実行の可能性は?
専門家は、もしカーグ島への上陸作戦を実行すれば“戦闘が泥沼化する引き金”になると指摘しています。
明海大学 小谷哲男教授
「カーグ島を占拠してアメリカがイランの石油の輸出をコントロールすれば、ホルムズ海峡の開放につながる可能性はある。イランもカーグ島を奪われるくらいなら、他の石油施設にも攻撃をするはず。そうなってくると原油価格は相当あがるとみられる。国際社会はアメリカに対する批判を強める。仮に上陸作戦が成功しても、イランも占拠した米軍部隊に沿岸部からの攻撃を強めますので、これをやってしまうと泥沼化する可能性が高まる」
こうしたリスクがあるうえで、アメリカ軍は本当に実行するのでしょうか。
「カーグ島を占拠すると、アメリカが決めているわけではない。まずは軍事的な圧力を強化するということが目的。今の段階でいつ攻撃を始めるかというのは決まっていないと考えられる」
(2026年3月24日放送分より)
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