米軍の強襲揚陸艦が中東へ 欧州も射程のイラン中距離弾道ミサイルを実戦初使用 モジタバ師はロシアで治療中?

米軍の強襲揚陸艦が中東へ 欧州も射程のイラン中距離弾道ミサイルを実戦初使用 モジタバ師はロシアで治療中?
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 アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を始めてから間もなく1カ月。中東に向け、軍を増強しているトランプ大統領が24日、ホルムズ海峡を巡ってイラン側から何らかの譲歩を得たと示唆しました。

【画像】戦闘終結を巡るアメリカとイラン、双方の主張

イラン 民間施設が被害

人命もインフラも甚大な被害
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 まずは、イランの被害状況についてです。

 医療活動を行うイラン赤新月社(23日)は、住宅や学校、商業施設、医療センターなど8万1365カ所の民間施設が被害を受けたとしています。

 AFP通信(23日)によりますと、イラン当局は国内の水とエネルギーのインフラ施設が甚大な被害を受けていると発表したということです。

 また、アルジャジーラ(24日)によりますと、これまでにイランで約1500人が死亡。イラン保健省によれば負傷者は約2万1000人に及ぶと、イラク通信(21日)が伝えています。

地下ミサイル施設の損害は?

地下施設の入口の77%以上が爆撃された
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 このように大きな被害が出ているイランですが、地下にあるミサイル施設への損害は明らかになっていません。

 CNN(21日)によりますと、イランは地下施設から中東にあるアメリカ軍の拠点などにミサイルを発射する計画だったといいます。

 CNNが32カ所の衛星画像を分析したところ、イランの地下施設の入口の77%以上が爆撃されており、少なくとも15基のミサイル発射装置が破壊されていたということです。

 では、もっと深い場所にある地下施設も破壊されたのでしょうか。

 安全保障の専門家であるカーネギー国際平和財団のパンダ氏によりますと「アメリカとイスラエルには、これらの施設を完全に破壊するだけの兵器はない」と指摘。CNNの分析でも一部の地下施設の入口に修復の痕跡が確認されたといい、今後もミサイル発射は続くとみられています。

欧州も射程内?新たな脅威

イランが中距離弾道ミサイルを実戦で使用
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 そんな中、ミサイルの脅威がヨーロッパにも及ぶ可能性が出てきました。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(21日)によりますと、イランのミサイル部隊が約4000キロ離れたアメリカとイギリスの共同基地に向けて中距離弾道ミサイル2発を発射したといいます。1発は不具合を起こして墜落し、もう1発は迎撃されたということです。

 イランが中距離弾道ミサイルを実戦で使用したのは、これが初めてだということです。

 標的となったとみられるのはインド洋でイギリスが領有するディエゴガルシア島にある基地で、ここにはアメリカ軍の戦略爆撃機や原子力潜水艦などが配備されています。

 今回、イランが使ったとみられるのは中距離弾道ミサイル「ホラムシャハル4」で、イラン側はこれまで射程2000キロだと主張していましたが、専門家はこれを改造し、射程を4000キロに延ばしたものではと指摘しています。

 イランから「射程4000キロ」といいますと、ロンドン、パリ、ベルリンといったヨーロッパの主要都市にも届くことになります。

 このミサイル発射について、イスラエル国防軍は「ヨーロッパ、アジア、アフリカの数十カ国にとって脅威となる」と警告していると、イギリスのガーディアン紙(23日)は伝えています。

強襲揚陸艦が中東へ集結

強襲揚陸艦
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 そして、アメリカ軍がイランのカーグ島に地上侵攻を計画しているとの指摘もあり、その作戦に使う揚陸艦を中東に向けて続々と送り込んでいます。

 その一つが、長崎の佐世保基地に配備されていた強襲揚陸艦「トリポリ」です。

 CNN(17日)によりますと、この艦船にはF35Bステルス戦闘機やオスプレイなどを搭載しているほか、海兵隊約2200人が乗船していて、トランプ大統領が攻撃猶予の期限として設定している27日に中東に到着予定だといいます。

 また、18日にアメリカ西海岸を出港した強襲揚陸艦「ボクサー」は、2隻の軍艦を率いて中東に向かっており、海兵隊を含む4500人規模となっているとのことです。出港から3~4週間で中東に到着するとみられています。

空からの強襲作戦?

空からの強襲作戦が行われる可能性も
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 この揚陸艦を使って地上侵攻する可能性も伝えられています。

 アメリカのニュースサイト・アクシオス(20日)は4人の情報筋の話として、トランプ政権がペルシャ湾に浮かぶイランのカーグ島の占領を真剣に検討していると報じています。

 ブルームバーグ(21日)によりますと、このカーグ島はイラン原油輸出の約9割を担う要衝で、実際に占拠すれば、イランにホルムズ海峡の封鎖解除を迫るうえで重要な交渉カードになり得るということです。

 では、実際にこの島をどのように占拠するのでしょうか。

 強襲揚陸艦「トリポリ」は上陸艇(=上陸するための船)を収納するドックをなくし、その分、多くの航空機を搭載しているといいます。

 この「トリポリ」で島を占拠する場合、垂直離着陸が可能な最新鋭のステルス戦闘機F35Bを最大20機搭載することができ、輸送機オスプレイも12機搭載できるため、空からの強襲作戦が行われる可能性もあります。

他の海峡封鎖も示唆

アメリカ軍がカーグ島を占拠すれば…
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 ただ、この島を占拠した場合、新たな混乱の引き金となる可能性も指摘されています。

 イランのタスニム通信(21日)によりますと、イラン軍の関係筋は、アメリカ軍がカーグ島を占拠すれば、イエメン沖のバベルマンデブ海峡や紅海などを不安定化させることも選択肢になると警告しているといいます。

 ブルームバーグ(5日)によりますと、サウジアラビアはペルシャ湾から行ってきた原油の輸出を「紅海ルート」に変更しています。また紅海やスエズ運河は、アジアとヨーロッパを結ぶ世界の海上貿易の要衝でもあります。

 その紅海周辺はイエメンの親イラン武装組織であるフーシ派の活動地域で、安全面のリスクが懸念されているというルートです。

戦闘終結の条件は?双方の主張

戦闘終結を来月9日に設定か
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 戦闘が長期化する中で、各国が出口戦略を模索しています。

 イスラエルメディア・Ynet(23日)は、イスラエル当局者の話として「トランプ政権がイランとの戦闘終結を来月9日に設定した」と伝えています。

 では、戦闘終結を巡るアメリカとイラン、双方の主張を見ていきます。

双方の条件
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 アメリカのニュースサイト・アクシオス(21日)によりますと、アメリカ側は以下の条件を挙げており、核開発やミサイル開発をやめさせることに主眼を置いています。

・核施設の廃止
・ウラン濃縮ゼロ
・核開発 監視の受け入れ
・ミサイル開発計画の5年間停止
・ミサイル保有数の制限
・武装組織への資金提供の禁止

 一方、イラン側の条件についてです。

 レバノンメディアのアルマヤディーン(22日)が報じたイラン高官の話では、以下の条件を挙げているといい、イランにとっての脅威を排除することが中心となっています。

・戦争が繰り返されない保証
・近隣のアメリカ軍基地の閉鎖
・イランへの賠償金支払い
・あらゆる戦線での戦闘終結
・ホルムズ海峡の新しい法的枠組みの確立
・イランに敵対的なメディア関係者の訴追・引き渡し

情報錯綜 交渉の行方は?

依然として不透明な状況が続く
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 また、停戦に向けた協議は行われるのかという点でも、情報が錯綜しています。

 アメリカのニュースサイト・アクシオス(23日)によりますと、パキスタンで戦闘終結に向けた協議をすることで調整が進んでいるといいます。アメリカ側からはバンス副大統領らが、イラン側からはガリバフ国会議長が出席する可能性があるということです。

 一方、イラン側の交渉窓口とされたガリバフ国会議長は24日、自身のSNSに「アメリカとの交渉は行われていない。アメリカとイスラエルは泥沼から抜け出すためフェイクニュースで金融市場や石油市場を操作している」と投稿するなど、アメリカとの協議自体を否定しています。

「モジタバ師がアメリカとの交渉に同意」との報道も
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 ただ、イスラエルメディア・Ynet(24日)は、情報筋の話として、「イランが提示する条件にもとづく戦闘の早期終結のため、モジタバ師がアメリカとの交渉に同意した」と報じています。

 この報道について、イラン側は反応しておらず、実際に協議が行われるかどうか依然として不透明な状況が続いています。

モジタバ師…ロシアで治療中か

モジタバ師の行方は?
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 そんな中、モジタバ師について、さまざまな憶測が飛び交っています。

 CNN(11日)は情報筋の話として、モジタバ師は先月28日の攻撃で足を骨折し、左目の周囲を打撲、さらに顔に軽い切り傷を負ったと報じています。

 ただ、最高指導者に選出されてから公の場には姿を見せていませんが、一体どこにいるのでしょうか。

 クウェートメディア・アルジャリダ(15日)は、モジタバ師に近い高官筋の話として、極秘作戦としてロシアの軍用機でモスクワに移送され手術を受け、現在はロシア大統領官邸内の医療施設で治療中だと報じています。

(2026年3月25日放送分より)

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