基準は?「緊急性のない救急搬送」に費用徴収 “呼び控え”の問題も

基準は?「緊急性のない救急搬送」に費用徴収 “呼び控え”の問題も
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 救急医療の現場が逼迫(ひっぱく)する中、緊急性のない場合に患者から費用を徴収する動きが広がっています。費用がかかる、かからないの判断は、一体誰がどのように決めるのでしょうか。

【画像】「徴収の可能性」がある症状例

緊急性のない搬送は有料へ

 長崎市内の3つの病院は、緊急性のない人が救急車で搬送された場合、追加で費用を徴収すると発表。実はこの取り組み、全国で広がりを見せています。

70代
「やむを得ない部分があると思う。救急車をタクシー代わりに使う人もいると聞くので」

 当然、緊急性があれば費用は徴収されないわけですが…。

80代
「(搬送時)どういう状態か自分には分からない。判断できればいいけど…」

 その“境界線”はどこにあるのか?緊急性の有無について、ある判断基準がありました。

 事態は深刻化しているといいます。30日に長崎市で行われた会見。

長崎市
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長崎市 地域医療室
大塚貴伸室長

「緊急性が認められない患者が救急車で来院する実態がある」

徴収金額は7700円
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 長崎大学病院など、長崎市内の3つの基幹病院では、緊急性がないのに救急車で搬送された場合、患者から治療費とは別に追加で費用を徴収することが決まりました。

「開始日は令和8年(2026年)7月1日。徴収金額は7700円」

 背景にあるのは救急搬送の増加と、それに伴う医療現場の逼迫です。

半数近くが軽症の患者
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 全国で見ると、おととし1年間で救急搬送された人の数はおよそ677万人と過去最多に。ただ、そのうちの317万人、半数近くが軽症の患者でした。

長崎大学病院 早川航一教授
「運ばれてきた以上は適切に診ているが、明らかに緊急性の低い症例が運ばれてくると、(現場の)モチベーションの低下にもつながる」

長崎大学病院 尾崎誠病院長
「真に緊急性の高い患者の受診環境を守るため。また、不要不急の救急車利用を抑制し、医師などの医療従事者が重症患者の治療に集中できる環境をつくる」

“呼び控え”の問題も

 実はこの取り組み、長崎以外にも…。

三重県と茨城県でも…
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 三重県松阪市の3病院ではおよそ2年前に導入し、最初の1年間で救急搬送された患者のおよそ1割から追加で費用を徴収しています。また、茨城県でもおととし12月から取り組みを開始。こちらは1年間で全体の3.5%から徴収しています。

 当時、導入の訳について、茨城県・大井川和彦知事は…。

「救急車が無料のタクシー代わり」
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「こういう例がございます。『包丁で指先切っちゃったので救急要請しました』『風邪の症状が3日間続いたので救急車が呼びました』あるいは『発熱・のどが痛い・頭が痛い』そういう症状だけで救急車を呼んでしまっている。ある意味、救急車が無料のタクシー代わりになってしまっている」

 この制度を導入した後、松阪市の3病院では軽症患者の搬送が前の年に比べ5%以上減りました。茨城県では14.3%も減っていて、それぞれ救急搬送の全体数も減少しています。

70代
「(Q.追加徴収について)賛成」
「本当に緊急な人に(医療が)届かないのはよくない」

80代
「(追加徴収は)いいと思います。『タクシー使ったほうが安い』と思わせないと、救急車を呼ぶことに」

 一方で…。

80代
「あんまり(救急車を)呼ばなくなるかもしれない、我慢するようになるかも」

70代
「“緊急性の判断は、どこでするのか”が問題」

 救急車の“呼び控え”にもつながりかねないこの制度。緊急性があるかないかの基準は、どこにあるのでしょうか?

大塚室長
「緊急性の評価はガイドラインを作成し、それに基づいて救急車要請時の緊急性を医師が判断する」

「徴収の可能性」がある症状例
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 あくまで基準は医師の判断ですが、具体例として、軽い切り傷やすり傷は緊急性を認めず、微熱や打撲、便秘なども認められない可能性があるとしています。

 対して、ものをのどに詰まらせて呼吸が苦しい、急な息切れ・呼吸困難、顔色が明らかに悪いなどの場合は、緊急性があると判断される可能性が高いということです。

 長崎市などは「必要な時にはためらわず救急車を要請してほしい」と呼びかけています。

早川教授
「結果として、救急医療逼迫が緩和されて、適切な救急医療が提供できるようにできたらな」

(2026年3月30日放送分より)

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