入院機能“廃止”で診療所として再スタート…地域から“消える”病院

入院機能“廃止”で診療所として再スタート…地域から“消える”病院
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赤字などを理由に倒産したり、休業したりする病院が全国で相次いでいます。

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新潟県十日町市
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今年、記録的な大雪に見舞われた新潟県十日町市。
その山間に、人口4000人の地域を支える唯一の病院がありました。

県立松代病院
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入院機能を廃止
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24間体制で患者を受け入れてきた県立松代病院。今月で、39のベッドすべて廃止することが決まりました。

背景にあるのは、深刻な経営の悪化。

県立病院
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県立病院
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新潟県には、全国で2番目に多い13もの県立病院があります。豪雪地など、民間病院がない地域が多いためです。しかし、赤字は年々拡大。46億円にまで膨れ上がりました。

病院の再編
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こうしたなか、急ピッチで進められているのが、病院の再編です。入院機能を集約し、医師や看護師を効率的に配置する。その対象の一つとなったのが、県立松代病院でした。

長年、僻地医療に携わってきた松代病院の吉嶺院長は、この決定に、複雑な胸の内を明かします。

県立松代病院 吉嶺文俊院長
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県立松代病院 吉嶺文俊院長
「僻地まで面倒を見るという県立病院だったので、いまの時代になって見直しかなと。僻地をどこから閉じるかと言ったときに、比較的、閉じやすいと思ったかもしれない状況的に」

入院患者
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人口の減少とともに、入院患者は減っていて、20年ほど前と比べると、昨年度の入院患者は半分ほどです。それでも、この病院を拠り所にする住民は数多くいます。

救助された女性
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雪で倒壊寸前の自宅から救助された女性(87)。家の周りは除雪が行き届かず、ソリで運び出され、病院までやってきたそうです。

女性は、一人暮らしで身寄りがなく、介護施設も空きがありませんでした。そのため、最終的に松代病院が受け入れることになったのです。この病院に来て7年目になる大関明樹医師(52)は、こう話します。

県立松代病院 大関明樹医師
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県立松代病院 大関明樹医師
「病気の方だけではなく、“社会的な入院”の受け皿になっていた。地域の人たちの生活を支えるライフラインにもなっていて、一つの大きな役割を担っていた」

冬は雪に閉ざされるこの地域で、そうした受け皿がなくなることに、住民からは不安の声が上がります。

住民
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住民
「松代病院が近くにあったから安心していられたが、一人暮らしのお年寄りとか、私も70歳過ぎてますから、具合悪くなったときに、不安になり始めている」

十日町病院
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今後、松代病院に代わって入院機能を担うのは、山を越え、車で約20分の十日町病院です。

住民は、“入院のハードルの高さ”に不安を感じています。

相澤きよえさん
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今年1月、十日町病院に搬送された相澤きよえさん(72)。突然、ひざの激しい痛みで動けなくなりました。

相澤きよえさん
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相澤きよえさん
「手ではって、これはもうだめだと思った。通院はできないし、私は、絶対、入院させてもらえると思った。『この痛みで入院はさせてもらえないか』と聞いたら、先生が『入院は難しいかもしれない』と。どうしてかと聞いたら、『病床が、それだけの余裕がない』と」

入院はできませんでした。

その後、病院が出席した住民説明会で、不安を訴えた相澤さん。これに対し、十日町病院の院長は、こう話しました。

県立十日町病院 清崎浩一院長
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県立十日町病院 清崎浩一院長
「おそらく、整形外科の担当医の所見で、入院が必要な場合、そうでない場合を医学的に判断したと思う。ただ、状況によって、考慮すべきことだと思う」

今後は、より患者の生活環境に配慮しながら、松代病院の患者の受け入れに備えると説明しました。しかし、住民が求める“入院機能”にどこまで応えられるか、未知数なままです。

“診療所”として、再スタート
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さまざまな思いが交錯するなか、松代病院の最後の日が訪れました。
4月1日からは、“病院”ではなく、入院機能を持たない“診療所”として、再スタートします。

訪問診療
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より力を入れるのは訪問診療です。患者の異変を早く捉え、入院に至らないよう治療する。限られた環境でもできる医療を提供していく。大関医師は「いまさら言ってもしょうがない」と前置きしたうえで、こう話します。

県立松代病院 大関明樹医師
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県立松代病院 大関明樹医師
「この地域にとって、お金の問題さえなければ、絶対(ベッドは)あったほうが良かった。確かに県の赤字の額も、話を聞くと、看過できないもので、非常に厳しい判断」

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