
栃木県宇都宮市やその周辺でバスを運行しているジェイアールバス関東は、宇都宮支店管内の4路線すべてを先月31日で廃止した。地元住民への影響を取材した。
【画像】2023年に開業した次世代型路面電車「LRT」 宇都宮の公共交通の新たな柱に
地域を支えた“生活の足”
地域住民(75)
「買い物とか、医者なんていうのはもう…不便ですよね」
バス沿線のコーヒー屋店主
「バスを利用して店に寄ってくれる方もいるので、なくなるのは残念かなと思っている」
宇都宮市内で長年運行されてきた路線バスが、先月31日で廃止となった。
宇都宮を走る2社の路線バスのうち、ジェイアールバス関東宇都宮支店が運行していた宇都宮市東部から隣接する芳賀町や、市塙駅などを結ぶ路線がすべて廃止になった。
廃止と聞きつけ、バスに別れを告げに来た人もいた。
地域住民
「すごく悲しい」
「芳賀町で道の駅に行ったり、本屋さんに行ったりすることが多かったので、バスがないと行けなくなってしまうのがすごく残念です」
沿線の高校に通っていた乗客
「ずっとバスにお世話になっていたので、今回いろいろあってなくなっちゃうということで、乗り納めに来ました」
地域を支えてきた“生活の足”。なぜ失われることになったのか?
芳賀町 企画課 山本篤課長
「昼間はガラガラで、乗っていないという状態が3年続いていまして」
89年の歴史に幕を下ろす
宇都宮ではおよそ3年前に次世代型路面電車「LRT」が開業し、公共交通の新たな柱となっている。
渋滞に左右されず、時間通りに走ることから利用者は増加。一方で、LRTに人の流れが集中し、バスの乗客は減っていった。
山本課長
「最近、全国各地でAIを使ったデマンドタクシーを導入する自治体も増えて、時間にとらわれず乗れるという利便性の向上を図れるようなものが、(芳賀町でも)めどがつきまして」
町はこれまでバスの運行を支えてきた補助金を打ち切り、町が運行する乗り合いタクシーを活用する方針に切り替えたという。
廃止されるバス路線に10年乗務 バス運転手
「今はとてもさびしい気持ちですけども」
利用者が少ないながらも、顔の見える関係も生まれていた。
バス運転手
「(お客さんから)長い間ありがとうございましたという形で、お声をいただいている状況で。私も感謝の気持ちでお声掛けしている状況です」
通勤で毎日利用した人
「ずっとお世話になっているので、さびしい気持ちがありますね」
地域住民
「あしたで終わりだ。さびしい。(毎日)乗っていくんだから」
かつては“生活の足”として活躍したジェイアールバス関東宇都宮支店の路線バス。89年の歴史に先月31日に幕を下ろした。
外国人運転手採用の動きも
全国で相次ぐ路線バス廃止の原因の一つとして運転手不足が挙げられていますが、解消のため外国人を採用する動きが始まっている。
おととし3月、政府は即戦力となる外国人を受け入れる特定技能制度について対象を12分野から16分野に拡大した。
それにより、バスをはじめタクシーやトラックの運転手を受け入れることが可能となった。しかし、受け入れのハードルは低くはない。
「特定技能1号」を取得し、日本語能力試験の中級「N3」に合格することが受け入れの条件となっていて、これは日常生活での会話や文章をある程度理解できるレベルだ。
そのうえで日本人と同様に、バスやタクシーの運転に必要な第二種免許を取得する必要がある。
この二種免許の学科試験については、日本語のみで実施されていたが、おととしから20言語で試験が実施されている。
インドネシア人運転手注目
外国人のバス運転手の受け入れが進むなか、中でもスポットが当たっているのがインドネシア人運転手だ。
外国人の採用を積極的に行っている東急バスに話を聞いたところ、今月3人のインドネシア人がバス運転手としてデビューしたそうだ。
うち1人は女性で、女性外国人のバス運転手の誕生は全国で初めて。また、北海道の網走バスでは1人、愛知県の名鉄バスでは3人が研修中だという。
なぜインドネシア人が注目されているのか?
東急バスの担当者によると、(1)交通規則が日本と同じ左側通行で、右ハンドルが多いこと。(2)日本車が普及しなじみがあること。(3)インドネシアではバスの運転手という職業は評価が高く、日本で技術を学びたいという人が多いことなどだそう。
より良い運転手確保のため、日本企業が現地にある施設を設立するケースも増えている。それが、日本の交通ルールを教える教習所だ。
日本で外国人材の紹介を行う企業が去年8月に開設した。番組で話を聞いたところ、教習所では交通ルールだけではなく、日本流の交通マナーや日本語についても授業が行われているという。
(2026年3月31日放送分より)
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